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縁の本棚  作者: 雪縁
220/306

本日の一冊 「もこ もこ もこ」

「もこ もこ もこ」【文研出版】

       たにかわ しゅんたろう・さく

       もとなが さだまさ・え


「ブックスタート」ということばすら、まだ、ほとんど知られていなかった時代。

生後まもない長男と過ごすいちばんたのしい時間は、いっしょに絵本を読むことだった。

絵本を読むといっても、相手はようやく首がすわった赤ちゃん。いっしょにあおむけにねそべって、顔の上に絵本を広げてみせる。

さて、どんな表情かな?と横をむくと……。

おーおーと両手、両足をばたつかせ、目をまんまるくして、開いた絵に見入っているのだ。

あぶぶ、ばぶばぶ、ぶぶー、何かお話しているつもりなのだろうか。

しきりに喃語を発しながら、彼が身体じゅうで絵本を楽しんでいる感覚が、ひしひしと伝わってきた。


そんな彼のために選んだ数多くの赤ちゃん絵本。中でも、本作品は特にお気に入りだった。

黄色の表紙に、「もこ もこ もこ」と書かれたピンク色の文字のタイトル。

表紙いっぱいに描かれているのは、みどりいろのみょうちくりんな形。それは笑っている口にも見えるし、ふたのあいた箱のようでもあるし。ページをめくると、いちめん水色で、下の方だけむらさき色。まるで水平線のよう。ページには「しーん」という二文字だけが入っている。

続いてめくると、むらさき色の部分が一ヶ所、もこ!と盛り上がる。

さらにめくると、盛り上がりはさらに大きく、もこもこ! 横の方にも小さな突起がにょき!

もうひとつめくると、もこもこはさらにさらに大きくなり、にょきにょきも大きくなる。

ついに巨大化したもこもこもこ。大きく口をあけて、にょきにょきをぱくっ!


もこ、にょき、ぱく、しーん、つん、ぽろり、ぷーっ。

ページをめくるたびに出てくる形の変化と擬音語のみの絵本。なのに長男は、ケタケタと声をたてて笑うのだ。

 生後まもない赤ちゃんに、もこもこが口のようだとか、にょきにょきがおだんごのようだとか想像する力はないはずなのに……。

 ただ、目にとびこんでくるものに対して、驚き、笑っているだけなのだろうが、とにかく彼が喜んでくれるのがうれしくて、何度も何度もくりかえし、絵本を広げては読んであげた。


 その後、盛んになりはじめた「ブックスタート」

 赤ちゃんだから、まだ絵本は早いということはぜったいにない。むしろ、大人よりもずっと純粋な感覚で、絵そのものを受け止めているのかもしれない。


 もしこれから、赤ちゃんに絵本を買ってあげたいとお考えの方、「もこ もこ もこ」は、雪縁、自信を持ってお薦めいたします。


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