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縁の本棚  作者: 雪縁
22/306

本日の一冊 「買えない味」

「買えない味」【ちくま文庫】

          平松 洋子作


 平松洋子のエッセイが好きだ。

 文章の生きが良い。ノリが良い。

 例えば、冒頭「朝のお膳立て・箸置き」の章で。


 ぱちん。

 乾いた潔い音を立てて、箸置きの位置を定める。そういや囲碁に似てますな。箸置きひとつ位置が決まれば、いきおい箸の居場所もきちんと決まり、めでたくも本日のお膳の用意が整うのである。


 箸置きとしての働きは「戻る場所」。お膳の飾り物なんかじゃなく、テーブルの上で箸の確かな居場所を得ているのだと述べている。

 つづいて、「買えない味・冷やごはん」の章で。


 米は冷えてから味がわかる。貯金は減ってからありがたみがわかる。冷え冷えと鈍重なごはんには、しかし、かみしめるうち芯から厚みのある甘さがにじむ。ごはんが冷えれば、じんわりじんわり、米の奧に潜んでいたものが正体を露わにするのである。


 リズミカルで新鮮。なるほどなあと思わずうなずいてしまう文章にたくさん出会える。

 平松氏の作品は、本書の他にも料理と食のエッセイが多数ある。どれも、その内容とともに文章の素晴らしさを味わうことができる、いちおしの作品ぞろいである。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 雪苑様 「箸の居場所」「噛み締めた冷や飯の味」 目から鱗が落ちるようです。つい台所に冷や飯を味わいに行きました。米の甘みがよくわかります。 素敵な本の紹介ありがとうございます。
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