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縁の本棚  作者: 雪縁
189/306

本日の一冊 「自分の時間」

「自分の時間」【三笠書房】

         アーノルド・ベネット・著

         渡部 昇一・訳


 一日二十四時間でどう生きるか?

 本書の副題でもある。

 専業主婦歴が長かった私は、外で働く母親たちに比べれば、自由になる時間が多かったことは確かである。

 その自由な時間を、自分自身のために効率よく活用してきたかと問われれば、残念ながら答えはノー。もしイエスだったとしたら、ひょっとして今ごろはプロの童話作家になれていたかもしれないなんて、愚かなことを考えてしまう始末だ。


 人間だれしも一日に与えられた時間は二十四時間。仕事以外にもやりたいことをやって、心から満足できる一日を送りたいと思っている人は多いだろう。そんな人たちに向けて、作者は声を大にして、以下のように強調している。

―そうすることは、いかに至難のわざであるか、そのためにいかに多くの犠牲を払い、倦まずたゆまず努力し続けなければならないだろうか。


 本書の中で作者はこうも述べている。

―たいていの人にとっての一日は、外で働いている時間が「一日」なのであって、その前後の時間はプロローグとエピローグであり、単なる残余の時間と考えがちである。この残余の時間に情熱を燃やせないのなら、充実した一日など望めそうにはない。


 作者は、充実した一日を過ごしたいと願うなら、一日の中にもうひとつ別の一日を設けること。すなわち、ひとまわり大きい箱に入った、小さな箱の「内なる一日」を設け、専ら自分の心と身体を成長させ、同胞を啓発させよと説く。

 理想とする時間は、一日九十分。毎晩でなくても週に一回でも二回でも、その時間が、一週間のうちの最も大切な時間になるようにする。

 友だちと飲んだり遊んだりする時間を我慢してでも、確保すべき大切な時間とするのだ。

 さらに大切なのは、自分にとっての必要な思考を集中させるということ。どんなに雑踏の中でも、ただひたすらに集中して考え続ける。そういう訓練を繰り返すことが必要なのだという。


 本書は、ともすれば、日常の忙しさの中で見失いがちの自分の時間というものをふりかえらせてくれる。

 ささやかでもいい。小さな努力の積み重ねが悪しき習慣を変えて、一歩一歩理想に近づいていく。

 そういうものだと、たとえわかっていても、挫折したりあきらめたりするのが人間というもの。

 しかし、「なろう」のサイトの方たちは、「書く」という自分の目標に向かって、常に努力をされている方々の集団である。

 限られた二十四時間をさまざまに工面して、生みだし続けている作品は、まさにその努力の賜だといって過言ではない。

 NHKのチコちゃんではないが、改めて「ぼーっと生きてんじゃないよ!」と、自分自身を叱咤激励せずにはいられなくなるのだ。

 


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