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縁の本棚  作者: 雪縁
177/306

本日の一冊 「ほこらの神さま」

「ほこらの神さま」【偕成社】

           富安 陽子・作

           小松 良佳・絵


 田舎の家々の屋敷内には、必ずといっていいほど、ほこらがある。

 屋根がついたものもあれば、ただの石というのもあるけれど、それは遠い昔、その家々のご先祖がおまつりされていた神様……たとえば、勧請された稲荷様、金毘羅様、天神様などと一緒に、守り神となったその家のご先祖様が宿っておられるということで、とても御霊験あらたかなものらしい。

 実際、その家の者たちが引っ越したあと、残されたほこらを、業者が勝手に処分したりして、悪いことが起きたりする話もよく耳にする。

 このへんに住む方々は、年に一度は、屋敷祭りといって、お坊さんや神主さんを呼び、丁重に、家のほこらを祭っているのだ。


 さて、この物語。

 主人公は、ぼくこと五年生の北川勇平と、その友だちである野本準一、安井数馬の三人組だ。

 ある日、学校の帰りに、三人は、解体された桜屋敷の工事現場で、小さなほこらを見つける。

 彼らは、それを、自分たちの秘密基地に運び入れようという計画を企てる。

 八幡橋と呼ばれる石橋の下にある、狭い狭いコンクリートの台座。そのいちばん奥まった部分にある、秘密の部屋が、ほこらを隠すおあつらえ向きの場所だった。


 ほこらを運び入れた三人組は、神様の力を試すべく、いろんな願い事をしてみる。

 ゲームボーイが欲しかった数馬は、棚からぼた餅のようにそれを手に入れることができ、自転車に乗ることが自信なくて、いじめられていた勇平の弟は、みんなの前でちゃんと坂道を自転車で降りてみせる。

 そしてふしぎなことに、神様が願いを聞きとげてくれる証には、キーンという金属音が聞こえてくるのだった。


 しかし、そのうちに勇平はあることに気づく。

 願いが叶えられると、なにかひとつ不幸が起きる。

 幸運と不運は一セットというのが、ほこらの神様のルールではないんだろうかと……。


 やがて、勇平たちのクラスで、ある事件が起こる。

 大森敦のノートに落書きをした犯人さがしに、日頃から目の敵にされている準一に濡れ衣が着せられたのだ。

 だんだん深刻になっていく事態。三人は真犯人を教えて下さいとほこらの神様にお願いする。

 そして、その驚きの結果!

 ほこらの神様とはいったい……?

 準一への疑いを晴らすことはできるのだろうか。


 元気な勇平、おっとりとした準一、機転が利き、楽天的な数馬。

 三者三様の彼らの活躍に、時間を忘れて、わくわくしながらページをめくってしまう。


「ほこらの神さま」

 我が家にもいて下さるだろうか?


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