本日の一冊 「いもうとのにゅういん」
「いもうとのにゅういん」【福音館】
筒井 頼子・さく
林 明子・え
私は二人姉妹の妹。それも姉とは六歳も離れている。
小さいころは、身体の大きさからして、姉がおやつをたくさんもらえるのはあたりまえ。
いっしょに遊ぶというよりは、いやいやながら、姉に相手をしてもらうといった感じだった。
かわいそうに。姉はひとりでゆっくりと羽を伸ばしたいのに、家にはいつも、お守りをせざるをえない、ちっちゃなものが一匹いたというわけだ。
そんな姉が、私の誕生日にこんなメッセージをくれたのは、つい最近のことである。
―ごめんなさい。六年間も一人っ子で甘えていた私には妹の存在を素直に受け止められないところがありました。ちっともお姉ちゃんらしくなかったことを反省しています。
なるほど。両親のいないところで、時々、姉につねられたり、しかられたりした記憶がうっすら残っているのはそのせいだったのかも?
姉は六歳も年上という暗黙の了解のもとに、ずいぶん、いろんなことを我慢させられたのかもしれない。私が悪いわけではないけれど、申し訳なかったなあと感じてしまう。
たまたま、先に生まれてきたばかりに、「おねえちゃんだから」「おにいちゃんでしょ」
と一方的に決めつけられるのは、なんて理不尽きわまることだろうか。
きょうだいの存在ゆえに、ストレスをつのらせる上の子の気持ちを、大人はよくよく理解してあげなければいけないと思う。
さて、この絵本。
盲腸で急に入院することになった妹、あやちゃんのために、幼稚園に通うお姉ちゃんのあさえは
自分がなにができるのか、いろいろ考える。
あやちゃんあての手紙を書き、ツルや手裏剣やバラの花を折り紙で折り、そして大きな紙包みを準備する。
翌日、おとうさんとあやちゃんのおみまいにいったあさえは、あやちゃんに紙包みを手わたす。
それを開いたあやちゃんは……?
自分がいちばん大切にしているものを、おしげもなく、病気の妹にゆずってあげようとするおねえちゃんの愛情に、思わずほろりとさせられる。
おかあさんが抱きしめてあげるのは、病気の妹ではなく、心細げに見守っているおねえちゃんの方なのだった。
「こんとあき」や、「はじめてのおつかい」でも知られる林明子さんの挿絵が本当に愛らしい。
我が家の兄弟たちも、幼いころにくりかえし読んだ懐かしい絵本である。




