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縁の本棚  作者: 雪縁
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本日の一冊 「神社若奥日記」

「神社若奧日記」【祥伝社黄金文庫】

         岡田 桃子作


 桃色の表紙に「若奧日記」という文字だけ目にはいって、何やらあやしげな予感をいだいた殿方はおられないだろうか……?


 奥様の名前は桃子。ダンナ様はダーリン。

 ごくふつうの結婚をした二人だったけれど、ただひとつちがったことは、ダンナ様が神主であったということです。

……という書き出しで始まる、この日記。

 鳥居の向こうの別世界がおもしろおかしく描かれ、思わずよみふけってしまう。


 お正月やその他個人的な祈願で、神社にお参りされた方は多いと思うが、ひとくちに「神主」といえど、いろんな職種がある。

 会社の組織と似ていて、社長にあたる人が、まず「宮司」、ついで宮司を補佐するのが「禰宜ネギ」、禰宜ときに宮司を補佐するのが「権禰宜(ゴンネギ。ごんぎつねとまちがわないで)

 大きな神社であれば、宮司と禰宜の間に「権宮司ゴングウジ」という職種もあるらしい。

「ネギ」ということばは、神様の心を和め、ご加護を願うという意味の「ねぐ」に由来があるらしい。

 神主になるルートや、神主という職業の舞台裏、おみくじのことや、神道でのお葬式あれこれ、神主さんと切り離せない御神酒おみきのことなど、初めて神社に嫁いだ、若奥さんならではの発見が新鮮な感覚で語られている。


 神社の一年間の行事には、さまざまなものがあるが、明日、六月三十日は「夏越しの祓え」の行事が、全国ほとんどの神社で行われる。

 この半年間についたケガレを祓い、さっぱりとした無垢の魂をとりもどし、来る夏の疫病をさけ、福徳開運を願う、神社でも大切な行事のひとつである。

 明日、神社の入り口にもうけられる「茅のちのわ」と呼ばれる、茅で作った大きな輪。これをくぐることで疫病除けとされる。

 そのくぐりかたにも決めごとがあり、左回り、右回り、左回りと8の字を描くように三度くぐりぬける。そうすると、身も心も清らかに祓われるということであるらしい。


「失礼ね。わたし、ケガレてなんかないわ」

という方にひとこと。

 ケガレとは気枯れ。

 日々の生活で感じる不安、心配、後悔、落ち込み、欲望、妬みなども、すべてケガレというふうに神道ではとらえるそうだ。だから、ケガレのない人間なんていない。生きている以上はだれもがケガレてしまうものだけれど、それを祓いながら生きていくという方法は、わたしたちの先祖から伝わったものなのである。

 興味をもたれた方、明日はさっそく、近くの神社の茅の輪くぐりをなさってみては……?


 ちなみに作者の岡田桃子さん。

 あれからお子さんを出産されて、今はご自身も神主さんをされているそうだ。

 



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