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縁の本棚  作者: 雪縁
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本日の一冊 「いえでだ ブヒブヒ」

「いえでだ ブヒブヒ」【福音館】

          柳生 まちこ作・絵


「まもめーる」という、県内一斉お知らせメールに登録している。不審者、不審電話などの注意を促す情報がいち早く入ってきて便利ではあるが、最近、とみに小中学生が行方不明になる情報が相次いでいる。けれども、そのほとんどが三日以内に無事に解決しており、事件性もないようでホッとするのだが、彼らはもしかして、家出のつもりなのかなと気になってしまう。

 

 この絵本に出てくるブタの兄弟、ブウ、トン、ヤンはわんぱくざかり。

 タオルのとりあい、ごはんの好き嫌い、おもちゃを散らかしっぱなし、きょうだいげんか。

 やりたい放題で、ついにおかあさんの堪忍袋の緒が切れる。

「おかあさんのいうことがきけないような子はうちの子じゃありません! どこへでもいきなさい」

 しょんぼりしたのもつかのま。

 もっと居心地のいい家、もっと優しいお母さんを求めて、兄弟は家出してしまう。


 そして、見つけたのはうさぎの家。

 ここのうちの子になっていい?とたずねる子ブタたちに、驚きながらも、じゃあ、しばらくいなさいなと優しくこたえてくれるうさぎのお母さん。

 ところが、ごはんは彼らの苦手なにんじんづくし。ブウたちはあわてて逃げ出してしまう。

 次にやってきたのは、わにの夫婦の家。

 子どものいないわに夫婦は大喜びで、あまいおかしをいっぱいくれて、むりやりにおひるね。

 おひるねのきらいな彼らは、そっと逃げ出す。


 次はからすのおかあさんの家。

 たくさんの赤ちゃんがぎゃあ、ぎゃあ、ぎゃあ、ぎゃあと泣きわめいている。とてもうるさくて居られたものじゃない。


 ついに兄弟たちはシーツでテントを作って、野宿を決める。

 おかしを食べて、張り切って暮らし始めるが、だんだん暗くなるにつれて、心細くなって……。


 さあ、ブーとトンとヤンは、いったいどうなるのだろう。


 オニの形相のおかあさんが、最後の頁では、女神さまのような微笑みを見せている挿絵。

 こんなワンパクッ子たちがそろえば、おかあさんがヒステリーを起こしてしまうのも、もっともだわと、思わず同情してしまいそうだ。


 小さな子どもたちにとって、自分の家はなにより安らげるところ。ときに叱られても、やはり我が家がいちばん!と思ってもらえるような環境にしてあげたい。

 やがて彼らが成長して新しい家庭を持つとき、いちばんのお手本になってくれるのは、お互いが過ごした、居心地のいい家庭であるだろうから。

 


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