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縁の本棚  作者: 雪縁
145/306

本日の一冊 「しろかきの季節」

「しろかきの季節」【新風舎】

         関 今日子・作


 当地では、先週あたりから田植えの準備が始まっている。

 最近は減反や過疎化に伴い、田舎でも田植えの風景を見ることが少なくなった。

 田んぼの風景は、私にとっては原風景。

 本書は個人の詩集だが、好きな詩ばかりで、どれを紹介しようか、とても迷った。

 まさにそうだと自分の心にビビッときたものを二篇挙げることにしよう。


  緑色のじゅうたん


 育苗箱にびっしり詰められた

 チビ苗たち

 ビニールハウスの中で

 緑色のじゅうたんになって

 すましている


 のんきだなあ

 田植えが始まったら

 みんな離ればなれになっちゃうぞ

 冷たい水にどぼんだぞ

 風もびゅうびゅう吹いてくるぞ


 あんまりいごこち良さそうなので

 いじわるな言葉

 ごくりと飲み込む



  はげましたくて


 田植えのすんだ田んぼ

 小さく細い

 赤ちゃん苗が

 こころぼそげに


  てん・てん・てん


 あぜは

 どうにか

 はげましたくて

 タンポポ

 レンゲ

 ハルジオン……

 たくさん花を

 咲かせています


 作者は、関東在住の詩人である。

 内容からして、こちらは若干、田植えの時期が早いのかもしれない。

 当地は、優しい花たちで赤ちゃん苗を励ますことはできないけれど、カエルたちが夜な夜な大合唱で力づけ、螢たちが応援の光を送るだろう。


 しろかきのあと、めぐってくる田んぼの躍動の季節。

 あたりいちめん、泥のにおいがただよってくる。

 田んぼは、赤ちゃん苗たちが育つまで、ずっと見守り続ける「おかあさん」でもある。

 がんばって!とエールを送りたい。

 


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