本日の一冊 「かばくんとおとうさん」
「かばくんとおとうさん」【あかね書房】
ひろかわ さえこ作・絵
毎年父の日が近づくと、よくこの本を読み聞かせに持っていった。
「かばくんシリーズ」のひとつ、「かばくんとおとうさん」だが、表紙絵、おとうさんに甘えるかばくんの笑顔がかわいらしい。
日曜日の朝。
おかあさんはお出かけで、かばくんはおとうさんとおるすばん。
だけど、おとうさんはなかなか起きてくれない。
えいやっと、おなかに飛びのって、強硬手段で、おとうさんを起こしたかばくん。
おひるごはんを作ってとたのむけれど、かばくんの食べたいものはおとうさんには作れないらしい。
ジャーにごはんがあることに気がついたおとうさん、いちばんシンプルなメニューを考えつく。
それはなにかといえば、おにぎり!
やった~とよろこぶかばくん。
さっそく、二人でよいしょ、よいしょ。
大きいの、小さいの、たくさんとりまぜ、おいしそうなおにぎりの出来上がり。
次に、おとうさんは新聞紙、せんたくばさみ、空箱にシーツをそろえてきた。
おとうさんは、いったいなにをこしらえてくれたのだろう?
絵本をみてのお楽しみ!
子どもが手を離せない時期、ほんのひとときでも気分転換したいおかあさんにとって、いちばんの頼みの綱はおとうさんだろう。
わが夫も、私が同人誌のしめきりに追われて執筆にはげんでいるとき、同人の会に出席するときには、快く息子たちのお守りを引き受けてくれた。
その時に食べさせてくれたのは、やはりおにぎり。私の作るおにぎりより、ずうっとちっちゃなちっちゃなおにぎりに、のりと梅干しで、息子たちの大好きなアンパンマンの顔を描いて、喜ばせてくれていた。
今思えば、夫がそうして協力してくれたからこそ、わたしはずっと同人誌を続けられ、童話を書きつづけることができたのだと感謝している。
おにぎりだけのごくシンプルなお弁当と、おとうさんが庭に作ってくれたおうちで、ごきげんなかばくん。
おとうさんならではの、すてきなアイディアだ。
現在は主夫のおとうさんもおられるから、いちがいには言えないけれど、子どもが小さい時期はほんのひととき。たくさん、たくさん遊んであげてほしい。
私自身、忙しい仕事の合間をぬって、父が一緒に遊んでくれた記憶は、この年齢になっても、決して色あせることがないのだから……。




