表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縁の本棚  作者: 雪縁
137/306

本日の一冊 「ざりがにのおうさま まっかちん」

「ざりがにのおうさま まっかちん」【福音館】

          おおとも やすお作・絵


 もし、次男を授からなければ、生涯、ザリガニを飼育することなどなかっただろうと思う。

 彼が小学生のころ、我が家にはあらゆる生きものがうごめいていた。

 かぶとむし、オオクワガタ、ノコギリクワガタ、スズムシ、イモリ、そしてザリガニ。

 生きものが苦手な私は見ないふりをして生活していたが、次男はそれはそれはていねいに、一匹一匹世話をしていた。

 ザリガニは、近所に住む年上の友だちと、釣りにいったのだが、みるからに元気な「まっかちん」であった。しかも、このまっかちん、元気すぎてたいそう困ったクセがあったのだ。そのことはあとでふれるとして、まず、絵本について。


 はちのすほいくえんのねんちゅうぐみの六人はザリガニ釣りに出かける。

 やって来たのはまっかちんぬま。

 みんながたくさん釣り上げる中で、初心者ののぞみは一匹も釣り上げることができない。

 休日におとうさんとザリガニつりの練習をするもののまったくだめ。落ちこむのぞみを、ねんちゅうぐみの六人ははげまし、ビニールプールに自分たちのとったザリガニを放して、釣りの特訓をする。

 そしてなんとか釣れるようになったのぞみ、意気揚々とまっかちんぬまに。

 けれどもやはり、なかなか釣り上げられないのぞみは、みんなの声援を受けながら、釣り針を思いきり投げこむ。すると……。

 場面は切り替わり、まっかちんの世界へ。

 けんかするもの、よこどりするもの。まっかちんの世界もなかなか大変そうだ。

 そのうち雨が降り出す。雷に打たれながらもザリガニ釣りをやめようとしないのぞみを、担任のえっちゃん先生はじめ、みんなが応援。そして、ついにのぞみが釣り上げたものは……。


 生きものの好きな子なら夢中になって読める絵本だ。挿絵が時おりマンガチックなのもかわいい。

 

 さて、我が家のまっかちん。

 元気よすぎて、水槽のふたをもちあげ、脱走すること一度や二度ではなかった。

 朝起きて、水槽をのぞいて

「ひえ~! いない!」

 だれかが叫ぼうものなら、すぐにザリガニ釣りならぬザリガニ探しなのであった。


 一度目は、熱を出した次男のまくらもとに、赤い積み木やミニカーの玩具にまざって、ちょこんといた。二度目はキッチンのテーブルの下に。三度目は、朝起きたら、夫のふとんの中にいた。

 夜中に、家族の寝静まったころをみはからって脱走し、移動するのだろうか。

「イケメンのそばに来たいんだな。このまっかちんは」

と、夫は笑っていたが、案外、人恋しいまっかちんだったのかもしれない。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ