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縁の本棚  作者: 雪縁
135/306

本日の一冊 「おちゃのじかんにきたとら」

「おちゃのじかんにきたとら」【童話館】

          ジュディス・カー作

          晴海 耕平 訳


 「お茶好き」「ねこ好き」「とら年」の三拍子そろえば、どうしても選ばずにはいられない絵本がこれ。

 「おちゃのじかんにきたとら」は、ほのぼのとした挿絵とストーリーが何とも魅力的だ。


  あるところにソフィーという名前の小さな女の子がいた。おかあさんとおちゃのじかんにしようとしていたら、とつぜん、げんかんのベルがなる。

 そこでソフィーがドアを開けると、なんとやってきたのは、大きくて毛むくじゃらのとら。

「ごめんください。ぼく、とてもおなかがすいているんです。おちゃのじかんにごいっしょさせていただけませんか」

と、すこぶる紳士的なふるまいをみせる。

  おかあさんもソフィーもこわがるどころか、大喜びでとらを招き入れる。


 ソフィーがおぼんの上のサンドイッチをすすめると、とらはひとつどころかせんぶ食べてしまう。

続いて、お皿の上のパンもぜんぶ。ビスケットもぜんぶ。ケーキもせんぶ。ミルクポットの牛乳も、ティーポットのおちゃもせんぶのみほして、さらに、つくりかけのゆうごはんも、れいぞうこのものも、戸だなの中のつつみやかんづめもぜんぶ。牛乳もオレンジジュースもビールも、そして水道の水までぜんぶ、ぜんぶのみほして、

「すてきなおちゃのじかんをありがとう。そろそろおいとまします」

と、礼儀正しく帰っていく。

 さあ、何もかもなくなってしまい、困ってしまったおかあさん。

  帰ってきたおとうさんは一体どういう反応を見せただろうか?


 大きなトラをまるでネコのように可愛がりながら、そばにくっついて離れないソフィー。

 おちゃもおかしも何もかも食べ尽くされてしまったのに、なおかつ、今度、とらが来たときのために、タイガーフードの缶詰を買い置きしておくおかあさんとソフィーの優しさ。

 登場人物のだれもが優しさに満ちていて、読み聞かせながら、心地よい安心感に包まれたものだ。


  おそらくこの絵本の影響だろう。

  たまに息子たちが帰ってきて、買い置きのお菓子やジュース、冷凍庫の食料がなくなっていると、夫は「とらが来た」と笑っている。

  わが家は「ごはんの時間にくるとら」だが、実は、夫も私も大歓迎の二頭のとらなのである。


 

 


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