表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縁の本棚  作者: 雪縁
131/306

本日の一冊 「ハのハの小天狗」

「ハのハの小天狗」【ほるぷ出版】

          飯野 和好さく・え


「あなたとこのAちゃんとKちゃんは、いつも背中に刀さしてたねえ」

 息子たちの小さい頃を知っている方々は、なつかしそうに口を開く。

 そうなのだ。

 平成の世に生まれ出たはずの二人の兄弟は、まるでタイムマシンにのって昭和の時代からやってきたかのように、ふろしきのマント、おもちゃの刀を背中にさして、いつも二人で走り回っていた。

 そんな二人に、おそらく多大な影響を与えたであろうこの絵本。「ハのハの小天狗」を久々にとりだしてみた。


 飯野和好氏のくっきりとした、大きな挿絵が実に魅力的。

 頁をめくると……。

 春も盛りのある日、いい気分でみすずちゃんと学校から帰っていたぼくは、とつぜん忍者の一団に襲われる。

「ハのハの小天狗、みすず姫はもらいうけたぞ」

 とっさにぼくの手が腰に行く。

 刀のさやを抜いているぼくは、いつのまにか、りっぱな小天狗に変身していた。

 みすず姫をかばいながら、

「こいっ」

「ターッ」

 あっちへ飛び、こっちへ飛び、手強い忍者たちとの戦いが始まる。

 と、ひとりの忍者がみすず姫に斬りかかる。

「小天狗さまっ」

「あっ! 姫」

 ところが、姫も負けてはいない。

「えいっ!」

とばかりに刀をふりおろし、忍者を撃退させる。

 逃げていく忍者たち。

「まていっ!」

 追いかけるハのハの小天狗。

 すると岩かげからずいっと現れた忍者の頭が、手裏剣を猛烈な勢いで投げつけ、反撃してきたのだった。


 ビュッ ビュッ

 カンカン

 とおーっ

 コーン カチーン


 息をのんで、絵本をめくる手をじっと見守っていた息子たちの幼い横顔が目の前に浮かんでくる。

 忍者の頭との一騎打ち、とつぜんのけむり玉など、まだまだ頁は続く。

 縁版「思い出の絵本」のベスト3を作るとしたら、まちがいなく、「ハのハの小天狗」は殿堂入りであろう。



 刀の好きな、小さな男の子がお知り合いにいたら、これはぜひぜひお薦めの絵本である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ