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縁の本棚  作者: 雪縁
120/306

本日の一冊 「いそがしいよる」

(ばばばあちゃんのおはなしシリーズ)

「いそがしいよる」【福音館】

       さとう わきこ作・絵


 ばばばあちゃんにはお世話になりっぱなし。

 本書をはじめ、やまのぼり、すいかのたね、おもちつき、どろんこおそうじと、どれほど楽しいお話を聞かせてくれたことだろう。

 息子たちも、そして読み聞かせの子どもたちも目を輝かせて聞き入ってくれていた。


「いそがしいよる」は、ばばばあちゃんシリーズの第一巻である。

 ある夜のこと。

 ばばばあちゃんは、うっとりと星空をながめながらつぶやいた。

「なんてきれいな星空だろうね。これじゃあ、うちに入ってはいけないよ。もったいない。ここでねちゃえばいいんだよ」

 グッドアイディアを思いついたばばばあちゃん。

 うちの中からベッドをひきずりだし、毛布とまくらも持ってきた。

 そして横になってみたのだが……。

「おちゃがあればさいこうなんだけどねえ」

と、おちゃのどうぐをとりにいく。

「あ、これをのせる台がいるねえ」

 テーブルもはこんでくる。そうなると、こんどは夜食を食べるための電子レンジがほしくなり、れいぞうこもほしくなり、たんすも、ほんだなもスタンドも、バケツも、ミシンも、みんなみんな家から運んできてしまった。

 なにもかも運び終わり、ひと息ついたばばばあちゃん。

 家財道具が雨にぬれないよう、大きなテントをはることも忘れない。

「これであんしんだね。ほんとうにいそがしいよるだったよ」

 すでに空は白んで、星空どころではないのだけれど……。

 そんなことはすっかりわすれて、ぐうぐう、高いびきでねむるばばばあちゃんがなんともゆかい。


「いそがしいよる」

 そう、引越しが秒読みに入り、まさに忙しい夜を過ごしている。

 ばばばあちゃんみたいに、夜の数時間でタッタッと家をすっからかんにできたら、どんなにいいことだろう。

 箱につめても、つめても、あとから、あとからなんだかんだと出てくる。ため息といっしょに。

 新しい所へ越すためのいろんな手続きもめんどくさい。でも……。

 これまでいちばん不安だったのは子どもたちの転校の手続き。

 それがもう必要でなくなったことだけでもよしとしようか。




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