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縁の本棚  作者: 雪縁
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本日の一冊 「わたしの空と五・七・五」

「わたしの空と五・七・五」【講談社】

          森埜 こみち作

          山田 和明・絵


 著者とはフェイスブックを通じて知り合った。

 今や児童書だけでなく、詩やエッセイにも豊かな才能を発揮されている気鋭の新人作家だ。

 今年の二月に出版されたばかりのこの本。

 昨年度のちゅうでん児童文学賞大賞受賞作品でもある。

 図書館に新刊として入ってきたのを待ってましたとばかりに借りてきた。


 主人公は中学生になったばかりの少女、伊藤空良。

 新しいクラスに今ひとつとけこめないでいる。

 クラスメイトたちがみんな、あたかも遊園地のメリーゴーランドみたいにテンポよく、友だちとのやりとりに興じている中、空良はどうしてもそれについていけずに、クラスメイトの会話にじっと聞き耳をたてている毎日だ。

 自分だけが、遊園地の外にはじかれたかのような疎外感を感じる空良。

 そんなある日、新入生のくつばこに入れられた一枚のチラシを目にする。


『しゃべりは苦手でも、

 ペンをもったら

 本音をぶちまけられる者よ

 文芸部に入るべし」

  

 部活動の入部を迷っていた空良が、文芸部の活動を見学に行くと、そこには、のっぽさんこと滝沢冬馬部長と、おかっぱさんこと谷崎順子副部長が、新入生獲得に意気込んでいた。


 長い歴史をもつ文芸部の活動。

 それは俳句を創る会でもあった。

 新入生を集めて、句会を催そうと計画する二人の先輩を前に躊躇しつつも、空良は入部を決める。

 俳句づくりに勤しむ空良は、偶然、体育館の裏で先輩たちに乱暴されているサッカー部のクラスメイト、中村颯太を発見する。

 空良が見ていたことで大事には至らなかったが、それは、当人以上に空良の心を大きく揺さぶるできごとだった。


 自分と颯太との間に目に見えない糸を感じる空良。ありありと感じられる糸。それをとおして、ふれてほしくないという颯太の気持ちが手にとるようにわかる。


 空良は、自分の素直な気持ちを句会に投句する。

 そうすることにより、いっしょに文芸部に入った小林さんとも、こわいと感じているクラスメイトの夏美、そして颯太とも次第に心を通わせていけるようになるのだった。


 俳句をテーマにした児童書は、村上しいこ氏の作品はじめ、他にもいろいろある。

 が、この作品のテーマは、あくまで俳句をとおしての空良の成長物語だと思う。

 小学校高学年から、今の時期にはお薦めの一冊だ。


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