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縁の本棚  作者: 雪縁
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本日の一冊 「くんちゃんのはじめてのがっこう」

「くんちゃんのはじめてのがっこう」

         ドロシー・マリノ作

         まさき るりこ訳


 今日から大多数の小・中・高校では新学期が始まるのではないだろうか?

 そして数日後には、新入生を迎える入学式。

 学校というものに縁がなくなってしまった今、

 自分の時代も、子どもたちの時代も、入学式の、あのまっさらな気持ちをとても懐かしく思い出す。


 数十年前の自分自身の小学校の入学式。

 当時は黒い羽織をきた着物すがたのおかあさんばかりだった。

 式のあと、おかあさんといっしょに新しい教室に入りなさいといわれ、母を探すも見当たらない。

 他の友だちはどんどん行ってしまう中、立ちすくむわたしのところに、ひとりのおじさんがやってきた。

 理由を聞いたおじさんは、優しくわたしと手をつないでくれた。

 あちこち探し回っているうちに、母が顔をひきつらせて走ってやってきた。

「校長先生、申し訳ありません」

 お手洗いに行っていたと何度も頭を下げている。

「おかあさんが見つかってよかったねえ」

 にこやかに手をふり、校長先生は去っていった。

 校長先生、大好き!

 それ以来、わたしは校長先生と会うのが楽しみになったのだ。


 こぐまのくんちゃんは今日から一年生。

 うれしくてたまらないくんちゃんは、道すがら出会うみつばちやこうもりやビーバーに、学校に行くんだよと話しかける。

 そしてくんちゃんたち三人の新入生は、上級生と同じ教室で、はじめての授業をうける。

 ところが、上級生たちは教科書をすらすら読めるし、字も書けるし、計算もできる。

 あてられたらどうしようとどんどん小さくなってしまうくんちゃん。

 先生が、新入生三人に前の方に座るように指示を出したとき、くんちゃんは、開けっ放しの戸口から思わず飛び出していってしまうのだ。

 さあ、くんちゃん、また教室にもどって来られるのだろうか?

 先生は新入生を集めて、どんな授業をしたのだろう?


 もしあの入学式の日に、母がいなくて不安なわたしの心にだれも寄り添ってくれなかったら、わたしは学校がきらいになっていたかもしれない。

 くんちゃんの先生も、ちゃんとくんちゃんの心に寄り添ってくれるところに読者は安心する。

 そういえば、長男は、幼稚園から中学校まで環境が変わると、必ず熱を出していた。

 一年生は期待も大きいけれど、それ以上に、身体も心も知らず知らず緊張しているものだ。

 そんな緊張をときほぐしてあげられるのは、おかあさんをはじめとした家族や先生たち。

 みんなにあたたかく見守られて、元気にスタートを切ってほしい。



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