本日の一冊 「うんちしたのはだれよ」
「うんちしたのはだれよ」【偕成社】
ベルナー・ホルツバルト文
ブオルフ・エールブルッフ絵
母親が自分のクラスに来て読み聞かせをしてくれる。
子どもの心理は不思議なもので、低学年のときは嬉しくてたまらなかったのに、高学年になるにつれて、だんだんとうっとうしくなってくるようだった。とりわけ、女の子の方が顕著に嫌がるようで、がっかりしていたメンバーもいた。
我が家の息子たちは、母親のやる気をそいではいけないと思いやってくれていたのか、嫌がるそぶりは全く見せなかったけれど、ただひとつ注文をよこした。
それは、クラスでぜったいうんちの話をしないでくれということ。下品な母とは思われたくないらしい。
う~、残念。うんちの話、わたしは好きなんだけど……。
この絵本。頭にうんちをのせたもぐらくんが怒り顔で犯人をさがしている。
地面に顔を出した瞬間、茶色でふっくらとしたソーセージのようなうんちが頭に落ちてきたのだ。
もぐらくんは、まずハトにたずねる。
「ねえ、きみ、ぼくの頭にうんち落とさなかった?」
「あたしが? とんでもない」
そう言うなり、ハトはとろっとしたヨーグルトみたいなうんちを落とす。おかげで、もぐらくんの右足はしみだらけ。
次はうま。うさぎ。やぎ。牛。ぶたへともぐらくんの犯人さがしは続く。そのたびに、
どっしりとしたおだんごのようなうんち
まめつぶみたいなうんち
ジャムのようなうんち
くさい、くさいうんちなどが絵本の見開きいっぱいに描かれる。
うんちに群がるくろばえたちの情報により、ついに犯人をつきとめたもぐらくん。
復讐をはたして、大満足で地面の中へともどっていった。
さて、真犯人とは? もぐらくんの復讐とは?
残念ながら、息子たちのクラスでは読めなかったが、低学年のクラスで読んできかせて、朝のひととき、教室じゅうを笑いのうずにまきこんできた。
後日。
読み聞かせをしたクラスの女の子たちと道ばたで出会った。
いきなり声をかけてくる。
「うんこのおばちゃん!」
ぎょっとする。
「Aくんのおかあさんでしょ」
女の子たちがひそひそ話している。
息子を知ってるらしい。これはやばいぞ。
彼の耳に伝わらないことを心底祈った。




