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縁の本棚  作者: 雪縁
112/306

本日の一冊 「うんちしたのはだれよ」

「うんちしたのはだれよ」【偕成社】

      ベルナー・ホルツバルト文

      ブオルフ・エールブルッフ絵


 母親が自分のクラスに来て読み聞かせをしてくれる。

 子どもの心理は不思議なもので、低学年のときは嬉しくてたまらなかったのに、高学年になるにつれて、だんだんとうっとうしくなってくるようだった。とりわけ、女の子の方が顕著に嫌がるようで、がっかりしていたメンバーもいた。

 我が家の息子たちは、母親のやる気をそいではいけないと思いやってくれていたのか、嫌がるそぶりは全く見せなかったけれど、ただひとつ注文をよこした。

 それは、クラスでぜったいうんちの話をしないでくれということ。下品な母とは思われたくないらしい。

 う~、残念。うんちの話、わたしは好きなんだけど……。


 この絵本。頭にうんちをのせたもぐらくんが怒り顔で犯人をさがしている。

 地面に顔を出した瞬間、茶色でふっくらとしたソーセージのようなうんちが頭に落ちてきたのだ。

 もぐらくんは、まずハトにたずねる。

「ねえ、きみ、ぼくの頭にうんち落とさなかった?」

「あたしが? とんでもない」

 そう言うなり、ハトはとろっとしたヨーグルトみたいなうんちを落とす。おかげで、もぐらくんの右足はしみだらけ。

 次はうま。うさぎ。やぎ。牛。ぶたへともぐらくんの犯人さがしは続く。そのたびに、

 どっしりとしたおだんごのようなうんち

 まめつぶみたいなうんち

 ジャムのようなうんち

 くさい、くさいうんちなどが絵本の見開きいっぱいに描かれる。

 うんちに群がるくろばえたちの情報により、ついに犯人をつきとめたもぐらくん。

 復讐をはたして、大満足で地面の中へともどっていった。

 さて、真犯人とは? もぐらくんの復讐とは? 

 残念ながら、息子たちのクラスでは読めなかったが、低学年のクラスで読んできかせて、朝のひととき、教室じゅうを笑いのうずにまきこんできた。


 後日。

 読み聞かせをしたクラスの女の子たちと道ばたで出会った。

 いきなり声をかけてくる。

「うんこのおばちゃん!」

 ぎょっとする。

「Aくんのおかあさんでしょ」

 女の子たちがひそひそ話している。

 息子を知ってるらしい。これはやばいぞ。

 彼の耳に伝わらないことを心底祈った。



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