本日の一冊 「ありがたいこってす」
「ありがたいこってす!」【童話館】
マーゴット・ツェマック作
わたなべ しげお訳
小さな家のひと部屋に、ぎっしりと詰め込まれた大家族。けんかするものあり、食事するものあり、ねむってるものあり、実に賑やかな挿絵。読み進めていくと、まさにこの絵のとおり。あまりの騒々しさとみじめさに、この家の主人は、ラビとよばれる博士のところへ相談に行く。すると、ラビの出したこたえは、
「ひなどりとおんどりとがちょうを飼ってるなら中に入れなさい」
その言葉どおりにした主人。さらなる騒々しさに耐えかねて再び相談に。そのたびにラビの答えは、
「やぎがいたら中に入れなさい」
「牛がいたら中に入れなさい」
まったくむちゃくちゃなのだ。堪忍袋の緒が切れそうになった主人に向かって、ラビはひと言。
「どうぶつたちを外に出しなさい」
そのとおりにした主人。うってかわった平和さに思わずラビのもとに走ってさけんだ。
「おれのくらしをらくにしてくださった。家のなかにはかぞくのものがいるだけで、しずかで、ゆったりで平和なもんでさあ……ありがたいこってす!」
いろいろあって、あらためて気がつくありがたいこってす! なにかの拍子に、この言葉が口をついて出るのは、まさにこの絵本の影響にちがいない。ホントにホントに、ありがたいこってす!




