本日の一冊 「サンタクロースのはるやすみ」
「サンタクロースのはるやすみ」【大日本図書】
ロジャー・デュボアザン文・絵
小宮 由・訳
学生は春休みのシーズンである。
暖かくなった戸外を満喫できる春休みは、社会人にとっても欲しいものにちがいない。
この物語に出てくるサンタクロースも春休みがほしくてたまらない。
まだ雪に閉ざされたままの北極を出て、春の光の中でさえずる小鳥の声を聞きたいし、チューリップやラッパスイセンの花が咲いているのも見たい。
春を身体中で味わいたいのだ。
そこで、サンタクロースは、通販カタログから洋服を取り寄せ、変装して街へ行くことにする。
それはそれは、みごとに上品な紳士に早変わり。
サンタクロースは望みどおりに街で春を楽しむ。
が、サンタのひげと赤い鼻を見て、子どもたちはあやしむ。
もしかして、本物のサンタさんから奪ってきたのでは……と。
ショックを受けたサンタクロース。
思わず、お忍びでということを忘れ、自分がサンタだと宣言してしまう。
さあ大変! みるみるサンタクロースをとりまく人だかりができてしまった。
たちまちおまわりさんまでやってきて、サンタクロースを警察署へ連れて行く。
ピンチのサンタクロース。どうやって身の潔白を証明したのだろう?
昨年出版されたばかりの真新しい絵本。
やわらかなパステル色の表紙に、ジャケットとサスペンダーつきのズボンをはいたサンタクロースが楽しそうに散歩を楽しんでいる挿絵。
見るからにほっこりとした気持ちにさせてくれる。
クリスマスには、世界じゅうのみんなを楽しませてくれるサンタクロースだもの。
これくらいの息ぬきはさせてあげなくっちゃ!
そんな思いを抱かせてくれる一冊である。




