第3話 終わりと始まり
目が覚めると、そこは見慣れない天井だった。それに加え鼻に残る独特な臭い。起きると、病室だった。
そこには自分も含めほかに3人の知らない人たちもいた。
唖然としていると、病室の扉が開くと母親が入ってきた。
圭の所に近づいてくると怪我は痛まないかと心配してきた。圭はそれよりもどうして自分がここにいるのかを訪ねる。
すると母親は今までの出来事を話してくれた。
大規模な爆破テロが起こったそうだ。圭達がいたショッピングセンターから1km離れた所まで爆発したらしい。
圭は倒れていたところを、すぐに救助隊に救出されたようだ。犯人は未だ分かっておらず、現在調査中とのことだ
圭は思い出した。ショッピングセンターで一緒だった3人の事を。
「なぁ、瀬那達は助かったのか?」
そう、3人の所に集まる前に自分は巻き込まれ、気絶してしまった。
そこからは意識がなく、ほかの3人がどうなったのかを聞きたかった。安心したかった。
「もちろん大丈夫なんだよな、生きてるんだよな?」
そう聞くと 母親は少し黙り、決心したかのような表情でこう告げた。
「瀬那ちゃん、璃乃ちゃん、勇雅くんたちは、爆発の近いところにいて、亡くなったそうよ....」
その言葉を聞いた瞬間、圭の頭の中は真っ白になった。
「おい 嘘だろ? からかってるんだろ? バカみたいな冗談よしてさ、本当のこと言えよ...」
「なぁ、行ってくれよ。冗談だって なぁ、早く!なぁ!」
「冗談でこんなこと言うはずないでしょ!」
圭は拒絶した。受け入れたくなたっか、あの3人と一緒につるんで、わいわいするのが楽しかった。それが一瞬にして消え去った。
その日はずっと泣いていた。涙が枯れてもずっと、泣いていた。
圭は毎日が退屈だった。病院で毎日リハビリを受け、食事をとり、ベッドで横になる。そんな退屈な日々をずっと過ごした。
自分は今、何をしているんだ。退院したらまた学校に行って、くだらないことで笑ったり、喧嘩したりして、そんな日々を過ごせるのだろうか。
無理であった。今の圭には不可能だった。すべてが憎かった。自分から3人を奪った奴が。何もできなかった自分が。
怪我も治り退院することになった。圭は学校をさぼるようになった。というより、毎日休んでいた。
ずっと自分の部屋で過ごし、ベッドで横になりスマホをいじる。誰からの連絡もない。
外にでかけることもなくなった。出たってすることはない。なら家にいたほうがましであった。
圭は心をなくした。
それから毎日夢をみるようになった。3人のことではないまったく別の夢。
崩壊した街で戦う少年がいて周りにも沢山のひとが戦っていた。
その少年は戦いの中で悲しんでいるように見えた。
そして違う夢もあった。白い空間で少女が自分のために泣いていた。
少女は、もうすぐだよ、君もすぐに幸せになれるよ。
その一言だけを残し、消えていく。
その夢を何回も繰り返していた。
少年は目が覚める。
珍しく外にいこうと思った。
家の扉を開けると、一面が白い霧がかかっていた。外は寒く風邪を引きそうな程であった。
少年は歩く 目的地はないが、ひたすらに歩いた。
歩いていると、学校にたどり着いた。久しぶりに来たような気がする。
中に入って、校舎の中を探検でもするかのように見て回った。何かを探すように、懐かしむように。
自分の教室、璃乃がいた教室、屋上などいろんなところを見て回った。
気が楽になったのか、少年は校門を出ようとすると、空から羽が一枚落ちてくる。
それを手に取ろうと触れた瞬間、眩い光に包み込まれ 意識がなくなる。
意識がなくなる寸前、どこかで聞いたことのあるような声がした。
(もうこれで君は、この退屈な世界からさよならだね。今から行くところはここよりも残酷で強くないと潰されちゃうんだ。だけど安心してきっとここより、とっても素敵な世界だと
思うよ。)
その言葉をきくと完全に意識が途絶えた。
少年は目を覚ます。そこは見慣れた天井があって、テレビや時計、机やベッドがあった。
第3話 END
第1章END
短いお話になってしまいました。