表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生態漢字  ~漢字に抗う異世界のやつら~  作者: そらからり
6章 The Next World at the End
90/115

80話 一回戦開始

仲間は一人一人スポット当てていきたいですね

「終わったようですね。あちらの方々は昨日でそろっていたのであなた待ちだったんですよ?」


 昨日って、違う時間帯で呼ばれているのか。

 俺だけ仲間はずれ?なら一緒に呼んでほしいところだが……。


「自己紹介も終わったのならそろそろ一回戦でも始めますよ。分かっていると思いますがこれは5対5の団体戦です。自分が負けても仲間が勝てばチームとして勝てるかもしれません。逆に自分だけ勝っても仲間が全滅ならチームとしては負けです。その辺、分かっててくださいね?」


 一回戦が始まる……内容にもよるが、味方同士協力できるものだといいのだが。

 頼りにはなると思う。女を武器にするガーベラ、見るからに強そうなブレゴリオ、エルフのカナリア、……まだ名前しか分からないティミド。


「安心してください。まだ体と魂が完全には繋がってない方もいらっしゃるでしょうし、闘うってことはありません」


 ……俺か?

 別に違和感は感じない。実際に闘うとその辺は分かるのだろうか。

 ともあれ、闘わないなら、何をするんだ?


「一回戦は【能力当て】です。一人ずつ互いのチームの人が出てきてもらい、相手の能力を当ててもらいます」


「それじゃあ、いくらなんでも難しくないか?」


 ブレゴリオが尋ねる。

 漢字なんていくつあるんだよ。未攻略未発見未使用の漢字なんて知りようもないし。


「はい!なので、皆さんには能力を使ってもらいます。一つでもいいですし、二つでも三つでも。漢字をたくさん所有しているなら好きな数の漢字使って構いません。回答者は一つでも相手の漢字を当てられたら正解とみなします。交代して同様に行って、それを五組で三勝したチームの勝ちとなります。質問はありますか?」


「……あの、私はどうすれば」


 質問をしたのはカナリア。どうすれば、との意味が分からないが『冥』はああ、と頷く。


「あなたは何もしない、という選択肢をとればいいですね。相手がそれに気づければ相手の勝ちですが、気づかなければあなたの勝ちです」


「……分かった」


 カナリアはそれで理解したようだ。

 全員頭を傾げているが、カナリアだけ理解したということは俺たちのチームに有利だということでいいだろう。


「これで負けたチームはどうなるんだい?それと、さっき協力できない人は外のアレのようになるって言っていたが……」


 次に質問したのは相手チームの男。

 金髪の優男で、日本ならリア充間違いなしの容姿をしている。


「俺だって生き返りたいけど、相手を蹴落としてまで生き返りたいとは思わない!そうだろ、みんな?」


 ……確かに俺も自分を善人とは言わないが、五人を殺して先に進むのは気が引ける。

 

「……はあ。言われるとは思っていましたけどね。まあいいです、あなたたちには生き返るための理由と、勝ったときの罪悪感を減らす言葉を差し上げましょう!」


 『冥』は全員を見渡し、そして先ほど入ってきた入り口の方を見る。


「外にいる方々。彼らがかつてこの闘いでの敗者です。自意識はなく、ただこの世界で生きているだけ。死ぬこともなく平穏な生活が保障されます」


 『冥』は再びニコリと笑う。


「どうです?生き返りたくなりませんか?負けても死ぬわけじゃありません。むしろ負けた方が幸せかもしれません。生き返る理由があるならそれも良し、負けてこの世界で生き続けるのも良しです。闘いやすくなりませんか?」


 なるほど、なら闘いに躊躇はなくなるな……って思うわけないだろ!自意識はないって、それは生きているって言わないぞ。

 ほとんど死んだも同然じゃないか。

 見ると他の面々も俺と同じ考えのようだ。何が何でも生き返らなければならないという顔をしている。

 だが一人だけ、


「なるほど、なら安心だ。なあ君達、俺はどうしても生き返ってやらなければならないことがある。俺たちに勝たせてくれないか?君たちもこの世界で安全に暮らせるなら心配ないだろ?」


 『冥』の言葉に騙されたのか、それとも勝つために俺たちを騙そうとしているのか。優男は俺たちに提案をしてくる。

 だが、そんな言葉に従うほど俺は善人ではない。相手を蹴落として生き返るのは躊躇するが、譲ってやる気もない。


「「「「断る(……断る)」」」」


 四人の声が重なる。俺と仲間の声だが……四人?


「お、俺は別にこの世界でもいいが……どうせこの先も勝ち残れそうにないし」


 ティミドは弱気な声であちら側に行こうとしていた。


「馬鹿者!そんなのでどうする!貴様も男なら負けられないとか言ったらどうだ!」


 しばらくブレゴリオの説教が響き渡り、終わったころにはティミドも諦めたように乗り気ではないが参加することを宣言した。


「ではまず一組目。ティミドさん、バラサさん来てください」


 対戦相手は『冥』が決めるようだが、一組目がティミドか。

 初戦は頼んだぞ!



次回はティミドさんの力を出します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ