9話 朝っぱらからやつがでたー
朝、目が覚めると頭の中にあの神の声が聞こえてきた。
「仲間ができたようですね。おめでとうございます」
「そんなことより、なんだこの名前は!哀影 憐牙の名前はとっくに封印したはずなのに!」
「しかし、あなたの本名である田中 助肋とどっちがよかったですか?これでも親切心のつもりだったんですけど」
くっ、それを持ち出されると…学生時代はからかわれたこともあったしな。
「そんなことより、あなたに良いことを教えにきたんですよ?実はあなたの鑑定は他の人たちの鑑定と違って、ステータスにある情報をさらに鑑定することができます」
そんなことって……。スケロクとレンガなら確かにレンガのほうがマシだけどさ。
「それは、漢字の能力を見ることができるということか?」
「あくまで発現している能力だけですけどね。今日はそれだけ言いにきました。あ、その娘達に手は出しちゃいけませんよ?」
「誰がだすか!こんな幼い娘に!それにこの娘達は俺を慕ってくれているはずだ!襲ったりはしない」
「それは、合意ならOKということですか?」
「違うわ!」
それだけ言うと神の声は聞こえなくなった。何しに来たんだよ、あの神。ああ、鑑定について教えに来たんだったか。漢字の能力までを鑑定できるんだったか。
――フォル――『鼠』
所有スキル:分裂 ??? ???
これの分裂だけ鑑定できるようだ。
――分裂――
自信の姿、能力をそのままに増やせる。上限数は保漢者の強さに応じて増減する。また、分裂するごとに保漢者の精神力を使う。
俺が強くなればフォルの分裂する数を増えるってことか。分裂しすぎると俺の精神を削るようだが。
ちなみに精神力は魔法を使うときのMPみたいなものらしい。魔法も同様に精神力を使うみたいだ。昨日、魔導師協会でそんなことを言ってた気がする。
ついでに『肝』も見ておくか。
――きも――『肝』
所有スキル:毒解除 ??? ???
――毒解除――
保漢者が毒状態になったとき毒を解除する。保漢者の強さに応じて解除できる毒の強さは増減する。無効化ではなく解除なので毒にはかかる。
二人の『矛』と『盾』どうなんだ?
――ほこ――『矛』
所有スキル:熟練度上昇 ??? ???
――熟練度上昇――
通常よりも速く熟練度が上がる。
――たて――『盾』
所有スキル:攻撃無効 ??? ???
ー攻撃無効ー
一定以下の攻撃を無効化する。保漢者の強さに応じて無効化できる威力を増減する。保漢者自身に当たる攻撃も無効化できる。
大聖堂の職員が言っていたのとほぼ同じか。こいつらの成長に期待だな。
二人はすやすやと幸せそうに眠っている。ちなみに俺は一人で一つのベッドを使ったが、二人は二人で一つのベッドを使ったようだ。二人はお互いに抱きしめ合いながら寝ている。
苦しくないんだろうか。まあ表情からそれはないと思うが。もう少し寝かせておいてやろう。
その間に俺は宿の厨房まで行き、主人に部屋で食事をとる許可をもらい、朝食を部屋まで持って行き、二人を起こしたのだった。二人は眠そうにしていたが、朝食のにおいをかぐと、尻尾をふり朝食を食べ始めた。
書き忘れてましたが、耳だけでなく、尻尾もあります