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69話 七匹と一匹

城の構造ってどうなっているんでしょうね。知りたい

 城門を抜け、城の中を走り抜ける。

 時折兵士を見かけるが、すべてハド爺が音もなく気絶をさせていく。


「中央を目指しているんだよな?」


「うむ。外から見たときは中央から城の最上階へと通じているようじゃった。王の間というのは大抵が広い場所にある。それに先ほど兵士に聞いたところ、王はおそらくそこにいると言っていたしの」


 何時の間にそんなことを……。やはりハド爺は頼りになるな。

 そしてこの城は広い。というか、簡単には王の間とやらに行けないようになっているようだ。


「おそらくは侵入者対策じゃの。じゃがこれでは住んでおる者も暮らしにくいはず。どこかに抜け道はないかの……」


 今いるのは食堂のようだ。さすがに食堂で働いている人間に危害は加えられない。


「あら、お腹が空いたの?でもまだ夕食には早いわよ。もう少し我慢していてね。」


 おばさんたちが話しかけてくる。


「あ、ああ。俺もまだ大丈夫だ。夕飯、楽しみにしているからな」


「良い子ね。そうそう、これでも食べててね。他の人たちには内緒よ?そこのちょっと偉そうな人はあなたの上官かしら?一緒に食べるのよ」


 そう言っておばさんはお菓子をくれた。

 焼き菓子のようで小腹を満たすのにはちょうど良さそうだ。


「ありがとう。俺たちはまだ用事があるからここで失礼する」


「ええ、しっかりと働くのよ」


 幸いにも食堂で働いているおばさんたちには敵と思われていないようだ。

 お菓子をアイテムボックスにしまい、辺りを見まわす。


「レンガ、あれを見てみい」


「ん?」


 おばさんから大きな鍋を受け取った兵士がいた。

 その兵士は鍋を重そうに持ちながら壁の一部を押す。

 壁は押されるとそのままくるりと回転し兵士はその裏へと消えていった。


 俺とハド爺は兵士が消えていったその壁をよく観察する。


「なるほどな。壁の回転する上に模様のような文字が書いてある」


「これは兵舎となっておるな。この先に兵舎があるということで間違いないじゃろ」


 食堂をしばらく探したが兵舎以外への道はなかった。


「どうする?さっきの道をまた進むか、兵舎の方へと向かうか」


「先ほどの道の方が良いじゃろう。兵舎に行って敵を増やすわけにもいかん。まだどこかに王の間へと繋がる道があるはずじゃ」


 それから俺たちは部屋を見つけるたびに王の間に繋がる道はないか、隠された扉はないか探した。


「お!これは……」


 とある客間らしき部屋にその扉はあった。

 その部屋は他の部屋と比べて少しだがより綺麗にしてあり、違和感を覚えた。

 違和感ではあるが、一応念のために調べてみるとクローゼットの裏に王、と書かれているのを見つけた。


「ふむ。よく見つけたの」


「よし、行くぞ」


 クローゼットをどかして壁を押してみる。

 だが壁を押してみても回転する気配はない。


「これはこうするのではないかの」


 そう言ってハド爺が扉を横にスライドさせる。

 押しても全く動かなかった扉はスッと横に移動した。

 ……色んな開け方があるんだなあ。


「少し暗いからの、気を付けて進むぞ」


「ああ」


 道は狭く一人ずつしか通れない。俺が前、ハド爺が後ろを歩く。

 

 

 しばらく進んでいると、行き止まりとなった。やはり横にスライドさせる扉のようだ。

 

「ハド爺、ここを押すと王がいるかもしれない。気を引き締めていこう!」


「うむ。いかに強い者も一瞬の油断で死ぬときがあるでの」


 恐る恐る扉を開けると光が漏れ出る。

 やがて扉は開かれその景色を俺たちへ見せる。


「……どうなってるんだ、これは」

 

 城の中へと侵入していた俺たちは王のいる部屋へと目指していた。

 そしてそれらしき道を発見し、進んでいった。

 だが、扉から見える景色は明らかに城の外である。


「どうやら罠であったらしいの」


 ハド爺はなぜか落ち着いている。

 焦る気持ちはいらないということか。


「……とりあえず外に出て見るか?」


「そうじゃの。念のため、フォルを先行させたほうがよいかのぅ」


 言われた通り、フォルを数匹召喚し、扉の外へと出させる。

 しばらく辺りを走り回っていたが何も起きない。


「ゆっくりと、出てみるか」


 扉から外に出てフォルが安全だと判断した場所へと移動する。

 見晴らしも良く、周りの様子も知ることができた。


「ここは城の裏手のようだな。あの広いが特に目立つものもないから偽の扉だったということか」


 そう判断したとき、


「フハハハハ!よくぞここまで来たな。そうだ、その道は罠だ。王である俺が貴様らをこの場所へと呼び出すためのな」


 そう声が上から聞こえた。


「俺は五芒星の頂点にして王。名をヴェルツルだ。死ぬその時まで覚えておくがよい」

 

 城の二階のバルコニーから俺たちを見下ろす男が王と名乗った。

 若くはないが、闘う人間としてはまだまだ現役という年齢であろう。

 そしてヴェルツルのそばには3人の人影があった。


「さあ!俺自らが闘いに赴いてやったのだ。貴様らも良い闘いをして俺を楽しませてみせろ!」


 ヴェルツルの右手が光り出す。


「『隷属』されし七匹の『竜』よ、我が闘いに馳せ参じよ」


 ヴェルツルの右手から魔法陣が浮き出る。

 魔法陣は見る間に大きくなり空へ浮かぶと、やがて七匹の生物を吐き出し、消えた。


 それぞれ赤、青、黄、茶、緑、白、黒の巨大な生物が咆哮をあげる。


「「「「「「「ギャルラォォォォォ‼」」」」」」」


「……ドラゴンが七匹だと⁉」


「フハハ、こいつらはそれぞれ火、水、雷、土、木、光、闇を司るドラゴンだ。俺が以前に能力で支配下にした漢字である『竜』そのもの。力を出し惜しんでいると、すぐに死ぬぞ?」


 ドラゴンを一匹ならどうにかできる。

 ハド爺も昔はドラゴンを倒したことがあると言っていたし、この間も一人でドラゴンゾンビを倒していた。

 しかし、七匹なんで無理だ。しかも一斉にかかってこられたらその巨体で潰れてしまう。


「……ハド爺、一か八か『窮鼠猫ヲ噛ミテ己ノ血肉トセヨ』を使ってみる。明らかにあいつらのほうが俺よりも強い。できる限り削って見せるから、ハド爺はその間にヴェルツルを倒してくれ」


 おそらく操っている人間を倒してしまえばこのドラゴンも止まるはずだ。


「……いやレンガ、お主が王の方へと行ってくれ。あの『竜』は儂が、儂らに任せてくれ」


 ハド爺はそう言いながら七匹のドラゴンの方へと歩き出す。


「久しぶりじゃな、『龍帝』」


 天が割れ、雲がかき消され、空から新たなドラゴンが現れた。

 七匹のドラゴンよりも一回り大きなそのドラゴンは何色とも言えない色で輝いていた。


「ようやく、出会えたぞ。お主の家族にの」


七匹のドラゴンは『竜』

最後に出てきた一匹のドラゴンは『龍』ですね

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