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65話 音が届かずとも、骨が砕けようとも! 前編

修正頑張ってます

現在は10話くらいまでですが、それでも変なとこあれば教えてください。

なるべく直していきますので。

 『音』という漢字は『歌』、『鳴』、『声』といった他の音に関する漢字とは違う。

 歌えば『歌』となり、鳴けば『鳴』、声を出せば『声』となる。

 音に関係のあるすべての漢字の能力を使える。

 もちろん、それぞれの分野に特化しているわけではない。


 『歌』のほうがより綺麗な歌を歌える。

 『鳴』のほうがより高く響ける。

 『声』のほうがより相手に伝わる声となる。


 だが、その分野に特化しているだけ他の分野には弱い。

 『歌』は鳴いても響かず、声を上手くだせない。

 『音』だけなのだ、様々なことができるのは。

 良く言えば万能、悪く言えば広く浅いだけの能力。それがアカツメの『音』に対しての印象だ。



 現在のアカツメが使える音は大きく分けて三種類。

 ――衝撃として飛ばし物理的な攻撃をする衝撃音。

 ――精神に訴えかけ眠りにつかせたり幻覚を見せる催眠音。

 ――音の振動を操り反響させる超音波。


 以上が『音』の『全音』の能力である

 すべての音を操り聞き取るため、心臓の音も聞こえる。隠し事もできない。

 アカツメが革命軍のリーダーたる所以の一つである。

 

 アカツメがリーダーである限り裏切者など出るわけがない。

 アカツメが信用した者はみなが信じられる。

 革命軍がここまで大きくなったのも裏切者が出ず、お互いに信用し合ってきたからだ。





 全員が仲間だった。全員が好きであった。全員と生きてこの闘いを終わりたかった。

 しかしもうその夢は叶わない。

 

 これからという時であった。

 新たな同士を得、強力な能力を持つと思わしき者が数名、敵の敵として現れた。

 強大な敵も何名か欠けて王国を造り替え、元の平和な国に戻す未来が見えてきていた。


 だがすべては夢で終わった。

 一から創り上げた革命軍の仲間は幾人も殺され残りは今ここにいる10数名のみ。

 何が悪かったのか。自分が甘すぎたのか。敵を舐めていたとでもいうのか。


 そしてその原因ではっきりしているのは目の前の男だ。

 名をウリノーム、『骨』を使い骨を飛ばす保漢者で五芒星の一人だ。


「てめえは俺が殺す。骨の一欠片も残ると思うなよ」





 アカツメの飛ばす衝撃音は一般家屋ですら半壊させる。

 一般人が当たればよくて骨折、悪くて即死だ。

 だが、ウリノームは衝撃音に吹き飛ばされ、家屋とともに半壊したはずなのに平然と立ち上がった。

 

「身体をほぐすには中々良い攻撃じゃねえか。俺の骨だけじゃ防ぎきれなかったかもしれねえぜ」


 ウリノームの身体中からは骨が飛び出している。

 怪我をして骨が皮膚を突き破っているわけではない。

 骨を腕から、足から、背中から、腹から、顔から出していた。

 鋭く尖った骨があちこちに向けられ、近づく者を傷つけ貫くように飛び出ていた。

 

 すべての骨が鋭く尖っているわけではない。

 半数は尖り攻撃用に使われる。

 残り半数は全身を守る外骨格となっていた。


「出し惜しみはしねえよ。そんなことして死んじまうのはマヌケのやることだ。『骨柱』、『堅固』さらには『狂骨遊戯』だ!」


 加減を知らず、手を抜かず、最初から全力を出すことで彼我の力の差を示し、相手を絶望させる。勝てるなどと一度でも思わせず場を恐怖で支配する。それがウリノームの闘い方であった。


 『骨柱』と『堅固』で骨をより強く、より硬く、より鋭くさせた。

 『狂骨遊戯』で骨を自在に操り己を守る盾と敵を貫く矛をつくった。さらに指先からは骨を発射させ遠距離攻撃もできる。

 骨が砕かれようと、無くなろうとすぐに次の骨は生成されていく。


「そこに転がってるやつらは1分と持たなかったが、お前は何分持つんだろうな?」


 誰も彼もが恐怖に支配されながらもウリノームに向かっては来た。

 しかしそれで勝てるほど、勇気を持って闘うことで勝てるほどウリノームは弱くないし甘くもない。

 半数を指から発射させた骨で頭を撃ち抜き、それを避けた者は両手に持った骨の剣で刺し、抱き着くことで全身の骨で貫き殺した。


「いいや、何分持つとかじゃない。お前が死ぬんだ!」


 ウリノームを殺したところで死んだ革命軍の仲間が戻ってくるわけではない。

 そもそも闘うべき相手であったのだ。それが先送りになっただけ。

 ウリノームを殺すことで仲間の死を意味のあるものにしてやる。それがアカツメの今の想いであった。


 仲間を守るために一人で闘う。

 フェリシーもゲレオールもこちらには来させない。

 二人が来れば勝率も上がるだろう。だが、二人が死ぬ可能性も上がる。

 リーダーとしてはあるまじき考えだが、アカツメにとって二人は唯一無二の存在だ。

 他の仲間以上に二人には死んでほしくない。


 だからアカツメは一人で闘う。『酉』は戦闘力がないと知られていたから安心して任せられた。

 だが、こいつは別格だ。

 今まで見たどの人間よりも強いだろう。


 本来、闘うのに味方を必要とするアカツメは一人で闘うことを選択した。




 ウリノームは指先から骨を撃ち出す。硬度は鉄、速度は拳銃並みだ。

 それに対するアカツメの行動は一つ。

 パン、と柏手を一つ打った。

 柏手の音は響き、その音の衝撃ですべて粉砕していく

 背後には仲間がいる。一つたりとも後ろに通したりはしない。


「ほう、この程度ならお前には当たらないってわけか」


 すでに骨の硬度は鉄や銅と同等の硬さになっている。

 それを小さいからとはいえすべて粉砕させるアカツメの音の能力。

 ウリノームの攻撃法は骨を飛ばすだけではないため別に手詰まりではないが、アカツメを警戒しなければならない。


「こいつはさらに硬くしておかないとなあ」


 今のままでは身にまとわせている骨さえ粉砕されそうだ。

 そう考え、ウリノームは骨をさらに硬くさせる。


「後ろの足手まといを守りながらいつまで闘えるんだ?」


 先ほどから飛んでくる骨を砕くため柏手を打ち続けているアカツメは未だに攻撃をできないでいる。


「……くっ‼」


 音で何かをするにはまず音を生み出さなければならない。先ほどから柏手を打っているのは音を生み出し増幅させその衝撃で骨を砕くからだ。

 小さい骨なら柏手一つでいくらでも粉砕できるだろう。だが、さらに硬い骨や大きい骨なら果たして粉砕できるかどうか……。


「今度は指じゃない。腕の骨でどうだ?」


 先ほどまでが小石の大きさの骨だとしたら今度は木の枝ほどの大きさの骨だ。

 硬度は木の枝と比べ物にならないのは言うまでもない。


 そして腕には骨が三本ある。尺骨、橈骨、上腕骨である。


 まず、尺骨が撃ち出された。腕の骨の中でも比較的細い骨であるため柏手一つで粉砕に成功。だが、粉砕できたときには骨が目の前までに来ていた。

 次に橈骨が撃ち出された。尺骨よりも太いこの骨は易々と粉砕できず、


「アーーーーーッ!」


 と、アカツメが声を出し、音をより大きい衝撃とすることで粉砕する。


「ケホッケホッ。あまりやりたくはないんだがな」


 そしてウリノームより上腕骨が撃ち出された。これまでで一番太い骨。


「ア―――――――――――――ッ」


 柏手と大声を同時に出し、粉砕を試みる。

 そして何とか粉砕はできずともその勢いは止めることはできた。


「はっはっは!やるじゃねえか。じゃあここからは近くでやりあおうぜ」


 そう言って両足から二本の骨を取り出す。


「こいつは特別な骨でなあ。人体で最も太く硬い骨だ。さらに俺の能力が加われば骨であって骨以上のモノとなる」


 アカツメも剣をぶら下げているが、そこまで近距離戦は得意ではない。

 そもそもで司令塔として働く彼は仲間がいてこそその力を発揮する。土台、一人で強敵と闘うのは無理があった。


 ウリノームの二本の骨剣がアカツメへと迫る。

 アカツメも避け、剣で受け止め、音を生み出しその剣を粉砕しようとするが、まるで効果はない。

 少しずつ追い詰められ、一本目の骨剣を剣で受け止めたが、二本目の骨剣が振りかざされる。


「(一か八かあれを使うか?いや、一人じゃ何も意味がない……)」


 自分の音ではウリノームの骨は砕けない。

 そう悟ってしまったアカツメは骨剣が迫ってくるのをただ見ている。


「ダメー!」


 だが、二本目の骨剣を受け止める鋸があった。


「馬鹿野郎!お前1人が革命軍じゃないんだぞ!」


 ウリノームへと火が放たれた。ウリノームはその火を払うが、その間に飛び込んできた二人がアカツメを引き離した。


 骨剣を受け止めたのはゲレオール、火魔法を使ったのはフェリシーだ。


「ここからは三人で闘います。アカツメさん、いいですね?」


「他のやつらは逃がした。残ってるのはアネモネだけだ。だがあいつもなるべく遠くにいさせている」


 もう後ろを気にするということはしなくてもいいのか。だが、それでもこの二人にはなるべく闘いに参加してほしくなかった。


「……だけど。だけど、ありがとう、二人とも」


「おう!」


「アカツメさんを死なせたりはしませんよ!」


 これで先ほどよりもだいぶ状況は良い。少しは闘いがマシになるだろう。


「なんだ、そんな雑魚が来たところで勝てると思ってるのか?」


「分からないか?俺は音を使うんだぞ。音を出す人間が二人増えた。つまりここから俺の力は三倍だ!」


一応、この章の次も考えています

そっち書きたくて今から楽しみ

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