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7話 奴隷市場GO

テスト落ちたー

再試とか萎えるー

 ハド爺が去って行ったあと、俺は本来の予定である装備を買いに武器屋に向かった。場所は昨日、腕の良い職人をギルドから聞いておいた。



「いらっしゃい!何を買いに来たんだい?」

 

 武器屋に入店するとそこの親父が話しかけてきた。他に客はいないようだ。ゆっくりと選ぶことができそうだ。


「装備を一式ほしいんだが。できれば軽いやつで頼む。金属系は避けてくれ。武器は片手で扱えるものを。盾は使わないからいらない」


「あいよ、片手ってことは魔法を使うのかい?」


「魔法があるのか?」


「ん?兄ちゃんはけっこうな田舎からきたのか?魔法は適正さえあれば誰にでも使えるぞ。俺も火と土の魔法が使える。鍛冶のときに助かるんだ」

 

 そうだよな、異世界なんだ。魔法がある可能性をなぜ俺は忘れていたんだ。これはぜひとも覚えなくてわな。


「魔法ってのはどうやって覚えるんだ?」


「一番はやいのはその系統の魔法をくらってみることだな。適性があればその系統の魔法がステータスに追加される。痛いのがいやなら魔法士協会で金さえ払えば適性を見てもらえるぞ。だいたい5万エンくらいだったかな」

 

 クエストを受けるまえに行っておこう。


「兄ちゃんの要望どおりの装備ならこの辺りだな。金はどのくらいある?」

 

 何があるかわからないから少しは残すとして、


「200万エンならだせるが、足りるか?」


「それだけ出せればかなりの物が買えるが、他の仲間はどうしてるんだ?武器は仲間次第だな」


「仲間はいない。やはり必要か?」


「ソロは危険だ。複数人じゃないと突然のことに対応しづらいからな。兄ちゃんは回復と攻撃が同時にできると思うか?」


「できないな。しかし、仲間のあてがないんだが」

 

 ハド爺はまだ保留である。悪人ではないと思うんだが、やはり出合い頭に攻撃されたことがな…


「ならせめて奴隷を買っていけ。装備は少し負けといてやるから」


「いいのか?しかしなんでそんな」


「兄ちゃんだろ?チンピラを倒したのは。ウチの客も迷惑してたみたいでな。どうにもウチで買った装備を奪われたやつもいたみたいだ」

 

 あいつ本当にろくでもなかったんだな。しかし奴隷か。屈強な男か可愛い女の子か、どちらを選ぶかは悩むまでもないな。


「奴隷はどこで買えるんだ?」

 

 俺は親父に奴隷市場の場所をきいたあと、防具を買った。武器は奴隷を買ってから決めればいいと言われた。それまでは片手剣を貸してもらえた。これもチンピラのおかげだろう。



 街の隅のほうに地下へ続く道があった。

 地下へと降りていくといくつも分かれ道があり、それぞれに店が入っている。


「ん?レンガじゃないか」

 

 俺に声をかけてきたのはこの街で最初に世話になったデンだった。


「デンか。こんなところでどうしたんだ?」

 

 デンはどう見ても奴隷なんて必要としていないように見える。真面目すぎる節があるしな。


「今日は奴隷市場の見回りだ。この辺は治安が悪くてな。人数が足りなくて駆り出されたんだ。俺には『勘』があるってことで」


「そうか。俺は言いづらいが、奴隷を買いに来たんだ。一人だと冒険がきついみたいでな。まだこの街だと信用できる冒険者もいないしな」


「そうだな。冒険は信頼し合える仲間がいないとそれだけで危険度が上がるしな。奴隷なら契約で裏切ることはないだろうし。だが、これだけは言っておく。奴隷だからといって絶対に見捨てるなよ」


「わかっている。俺は奴隷だからといって別に仲間と見ないわけではない。できればずっと共に闘える仲間を見つけたい」


「それならいいんだ。よければ俺が信用できる奴隷商を紹介しようか?幼馴染がやっている店があるんだ」

 

 デンの知り合いなら信用できるだろう。


「助かる。実はここからどこの店にしようか悩んでいたんだ」


 デンには案内してもらってばっかだな。今度、酒でも奢ろう。


「いらっしゃい。……なんだデンさんでしたか。今日は何用で?」

 

 デンに連れてこられた店からとても痩せた男がでてきた。


「見回りだ。だが、お前の店を見に来たわけではない。客をつれてきた」


「これはこれは、ありがとうございます。ささ、お客様こちらにどうぞ。」


「じゃあ俺は見回りがまだあるからまたな。ザザ、頼むぞ」


「もとろんですとも。最上級の奴隷を紹介いたします」



 デンが去って見えなくなるまでザザは深い礼をしていた。

 

「お客様は奴隷は初めてで?」


「ああ、冒険用の仲間にと考えているから闘えるやつを頼む。言っておくが、使いつぶすつもりはない。それと俺の名前はレンガだ、よろしく」


「おおこれはご丁寧に。この店の主のザザと申します。どうぞごひいきに」

 

 俺は店の奥に案内された。


「少しお待ちください。奴隷をいくつか連れてきます。戦闘用以外になにかご希望はありますか?」


「ならできれば女の子で」


「さすがは男性。そのへんは私どももわかってますとも。容姿の良いのを連れてきましょう」

 

 見透かされていたみたいだ。恥ずかしい。


「お待たせしました。では一人ずつ入らせます」

 

 まず連れてこられたのは25歳くらいの女性だった。美人ではあるのだけど娼婦のような笑みと服をはだけさせて着ている。

 二人目は20歳くらいの女性だった。とても疲れた表情で全身にあざがあった。

 三人目は16歳くらいの女の子だった。目に生気がない。何があったのだろうか。


「鑑定させてもらってもいいか?」


「もちろんですとも!ぜひ鑑定で良い商品かどうかを見極めていただきたい」


 俺は三人を鑑定してみた。選ぶためには少しでも情報がほしい。



――ガーベラ――

所有漢字『女』

所持スキル:床上手

状態異常:なし

 

 

 ……うん、娼婦だなこれは。正直この手の女性は苦手だ。

ザザの説明によると自ら奴隷になり様々な金持ちに買われては金を得ているようだ。普通に娼婦になればよくないか?と思ったが、そういう趣味だそうだ。

短期契約で25万エン也。ちなみに1年間。



――アネモネ――

所有漢字『別』

所持スキル:なし

状態異常:中程度の怪我


 

 この女性は気が強く、ザザのいうことを全く聞かないために躾ということで怪我を負ったようだ。どこかの国の貴族だったらしく、実家が没落し売られたようだ。

 一応闘えるようで少しは魔術も使えるので40万エン也。



――ジニア――

所有漢字『運』

所持スキル:なし

状態異常:精神消失


 

 『運』とは自らの運を操れるらしいが、以前の闘いで相当の運を使ったらしく、その反動で精神が消失する珍しい病気になったそうだ。

 闘えるかは微妙なので20万エン也。



「確かに容姿は良いが、戦闘用とは言えないんじゃないか?」


「さすがにお目が高い。もちろんこれらの商品は一部でございます。戦闘に優れた奴隷は他にもいますが、まずは容姿を優先してみました次第でございます」


「ある程度は闘えないと困る。一々こっちに連れてくるのは面倒だろ。奴隷がいるところに連れていってくれ」


「かしこまりました。こちらでございます」

 

 俺はザザに連れられ奴隷がいる檻まで行った。そこで紹介された奴隷は先ほどの女性たちよりは戦闘に向いていたが、特別強いというほどでもなかった。



「あそこの奴隷はなんなんだ?」

 

 俺は隅にあった檻を指さして言った。ザザは意図的にその檻をさけて他の奴隷を紹介しているようだったから気になっていた。


「あちらでございますか。あの檻には双子の奴隷がいましてね。平和をとても大切にする村から買い取りました。」

 

 俺はその奴隷たちを見て驚いた。その奴隷たちは10歳ほどの年齢で、片方は勝気な金髪の女の子、もう片方は大人しそうな黒髪の女の子だった。

しかし俺が驚いたのはその年齢ではない。10歳程度なら紹介はされていないが他にも何人かいた。


「ネコミミがついているのか!」

 

 双子の頭にはしっかりと猫らしき耳がついていた。


「おそらくは隔世遺伝でしょう。先祖のどこかに猫の獣人がいたのだと思います。しかし、獣人は闘いを好む傾向にありまして、こいつらの村ではそれを良しとはしなかったのです。そこを私が買い取ったのですが」

 

 こいつらは村に見捨てられたのか。


「戦闘向けならなぜ俺に紹介しなかったんだ?」


「こいつらの躾はまだ終わっていなかったので。なんせこの黒髪のほうはあまり闘いに向いていないようなので金髪のほうだけを売ろうとしたのですが、嫌だ嫌だとごねるばかりで。まあいずれは闘いにしか興味がない獣に仕上げようとは思いますが。ああ、これはデンさんには内緒にしておいてください。怒られてしまいます」


「こいつらの親も売ることには賛成していたのか?」


「いえ、最初は反対していました。もともと家に隠して育てていたようですがそれが見つかり、一家そろって村からでていけと村長から脅されたようで最終的には賛成しておりました」

 

 俺はこいつらが不憫に思えてきた。

 さっき紹介された女性のうちアネモネとジニアも奴隷として生きるのはかわいそうだが、こいつらは生まれた時から不幸であったようだ。俺は二人を鑑定してみた。



――サン――

所有漢字なし

所有スキル:なし

状態異常:なし

特記事項:猫の獣人



――ルナ――

所有漢字なし

所有スキル:なし

状態異常:なし

特記事項:猫の獣人



「こいつらはいくらなんだ?」


「おや?こいつらを買われるのですか?そうですねデンさんにはお世話になっておりますし二人まとめて買い取っていただけるならそれぞれ25万エンでいいですよ」

 

 戦闘向けにすると言うだけあって高いと思ったがそれほどでもなかった。まだ年齢が低いのと保漢者ではないからか?


「わかった。あと、アネモネとジニアも俺が買おう。どこか治療ができる施設はないか?」

 

 決して同情だけで買ったのではない。いつか、あいつらが回復したら仲間に迎え入れるつもりだ。ガーベラはまあ、自分から奴隷になっているみたいだし俺が買ってもお互いに得はないだろう。


「ありがとうございます!治療なら魔導士協会でやっておりますよ。他にも薬士に頼めば薬を売ってくれます。……不良在庫ばかりが売れてしまったがデンさんになんて言おう」


「ん?なんか言ったか?」

 

 ザザが何か呟いていたが俺にはよく聞こえなかった。


「いえいえ、それにしても最初のお買い物で一度に4人も買われるとは太っ腹でございますねぇ。次のご来店も期待していますよ!」


「気が向いたらな」

 

 さすがにあまり奴隷だけで仲間をつくるのもどうかと思う。俺は4人分の計110万エンを支払った。ちなみに金はアイテムボックスに入るようで上限はないようだ。


「では契約ですが、契約自体は簡単です。お客様は奴隷の行動制限はどうされますか?」


「どうというと?」


「例えば半径100m以内からでない、許可なくしゃべらないなどですね。お客様によっては何も制限をしないという方もおられますが」


「俺も特に制限はいらないが、許可なく俺に向けて攻撃しないというのはできるか?」

 

 戦闘訓練のときに攻撃できなくても困るからな。


「かしこまりました。それと、お客様が死亡されたあとの奴隷の扱いですがどうされますか?お客様の後を追うということができますよ」


そんなのいるわけないじゃないか!俺は少しザザの奴隷に対する扱いにいら立っていた。


「いらないな。他になにかあるか?ないならはやく帰りたいんだが。他に用事もある」


 ザザは俺のいらだちを察したのか、


「いえ、もうありません。奴隷はこのまま持ち帰られますか?後でお運びすることもできますが」


「ならこの双子だけ連れていく。残りの二人はそうだな、明日の昼に俺が泊まっている宿に連れてきてくれ。いいか、もう俺が買ったんだから勝手に躾をするなよ?したらデンにあることないこと言いふらしておく」


「とんでもございません。このザザもうあの奴隷たちにはお役様と同じ扱いをさせていただきます!」


「ならいい。ほら二人とも行くぞ」

 

 俺はこうして仲間を奴隷として買い、街に戻って行った。


ついにヒロイン登場です。まだ一言も話していませんが笑


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