60話 侵入者
前話でスルドという国名出しましたが、以前に他の名前で出してませんよね?ちょっと探したんですが見つからなかったんで…
「王さんよ、また何かこの国に侵入してきたやつがいるらしいぜ」
王が笑っているときにそう報告してきたのは十二支の『申』であった。隣には『未』の姿もある。
「どいつもこいつも王に対して無礼だぞ。本当に敵であるのか?」
ウァルマーは周りの王に対しての言葉遣いを注意するが実はウァルマー自体は敬語は使っていない。それは信頼故にか友愛故にか、決して王を軽んじているわけではない。王もそれを分かっているからこそウァルマーの自分に対する言葉遣いを正すことはない。
「どこからか侵入しているのを見つけた衛兵数名が止めに入ったらしいのだが、応援に駆け付けた衛兵が見たのは死んだ衛兵だったらしい。外傷はなかったようでなんで死んだのかは分からないらしい」
そう答えるのは『未』だ。城の巡回を任せていたが報告のために一度主力は全員集合させている。
衛兵数名を無傷で殺すなどかなりの手練れだ。対処したいが今手が空いているのはここにいる十二支三名とウァルマーのみだ。王はこの場で堂々と座ってもらわねばなるまい。十二支も強いが、ここは確実に排除するために自分が向かうほうが賢明であろう。
「王よ、私が行ってくる。すぐ戻るが、王の身に何かあれば十二支かアレで対処してほしい」
「ああ、行ってこい。お前の闘いも楽しみにしている。後の酒の席で聞かせてもらうからな」
そして瞬く間にウァルマーはいなくなった。
【神の語り】
「ヨスガさん、この辺でみなさんの戦闘状況を整理していきましょうよ!」
「そうだな、私も五芒星のやつらがよくわからない。レアナなりに説明してくれまいか?」
「はい!じゃあ順番に説明してきますね……
チンピラ『倍』『鬼』&シダ『行』vsジェド『拳』『殴』
アネモネ『伝』『別』&アカツメ『音』vsウリノーム『骨』
イチイ『固』vsインフォルト『崩』
謎の侵入者vsウァルマー
以上の4組が闘っていますね。まだレンガさん達は城の中に入ったばかりなのでこれから王や他の十二支と闘いそうです」
「敵が一人なのに対してこちらは二人がかりで闘っている組み合わせもあるな」
「それはそうですけど……シダさんもアネモネさんも所有している漢字があまり戦闘向きではないですのであくまでメイン闘うのはチンピラさんやアカツメさんになりそうですね」
「なるほど。しかし十二支も残りは三人か。『申』『未』『亥』だな。何やら『亥』が能力を使っていたようだが」
「ああ、そのことですか。『亥』の能力はどうやら相手の思考操作系みたいですね。そこまで大したものではないのですが相手に一つのことしか考えられなくさせる能力みたいですね。これと王の能力を組み合わせて国民を闘わせていたみたいです」
「お前の情報力はすごいな。しかし、思考を操るとは大したことないとは言うがかなりのものなのではないか?」
「いえ、能力をかけられる人がある程度持っている思考のみが対象でその思考を強めるだけなので、元から持っていない思考――例えばレンガさんたちが服従するなんてことはできないみたいです」
「制約付きということか。そういえば他の者はどうしているんだ?」
「ジニアさんは門のところで『戌』を倒したのちベム国に入ってはいるようですが、もうろくに動く体力は残っていないようですね。カルミアさんはまだ下水道をさ迷っています。この調子ならあと一日は出てこれませんね」
「まあその二人は戦闘後だ。これから闘うほどの体力もないだろう」
「サンちゃんとルナちゃんは老夫婦の家で昼食を食べてますね。どんどん料理が出てきているため二人も目的を忘れているみたいです」
「ある意味ご飯との闘いだな。レンガたちを思い出すことができるか不安だ。まあ闘わずそこでのんびりしててもらうのもいい。私個人としてはあまり闘って傷ついてほしくないからな」
「それには私も同感ですねー。これで全員ですが、まずどの闘いから見て行きます?」
「ふむ……そうだな。イチイとインフォルトは同じ国の騎士と犯罪者としての因縁があったな。まずはそこから見てみようか」
「了解です!イチイさんの闘い方はまだ分かりませんからね。少し楽しみです」
じゃあ次回から闘いまーす