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6話 恐らくこの街最強

【???視点】

「おい爺さんきいたか?チンピラの野郎が新入りにやられたようだぜ」


 儂がいつもの酒場で酒を飲んでいると、いつも仕事を紹介してくる若者が酒場に飛び込んできた。


「ほう、あいつがな。最近悪評がひどくなってきておるからそろそろ儂が注意しにいこうかと思っとんだがの」


「爺さんのは注意だけですまなそうだな…」

 

 まあ軽く一発入れようかとは思っておったがの。


「しかし、『倍』の力はちょっとやそっとの力じゃ敗れないはずだがの。その新入りはどうやって倒したんじゃ?」


「どうにも、チンピラは普段から『倍』を使っていたらしい。だからあれがやつの限界だったんただな」

 

 なんと、あやつの恐ろしさはあの力が倍になるからこそだったのにな。それならそこらの冒険者のほうがよっぽど強いに違いないわい。


「その新入りとやらはまだこの辺におるのか?少し興味が沸いてきた」


「まだいるんじゃないかな。爺さんが興味を持つとは珍しいな。普段は頼まれ屋のハドさんよ」

 

 儂は普段は冒険者のパーティーに臨時で頼まれて入って報酬を貰っている。

 自分から他の冒険者に近づくことはめったにない。ここで酒を飲んでおれば向こうから寄ってくるしの。


「その新入りとて最初はチンピラの力を知らなかったんじゃろ?それなのにチンピラと闘い、勝つとはどんなやつなのかの」

 

 自分より強い者に挑むのには長年の闘いによる経験などがなければ無謀となる。とても勇気と呼ぶことはできない。

 せっかく見所がありそうなのだ。ただの無謀者か見極めておくとするか。


【レンガ視点】

 俺は闘いの後、疲れがでたのか猛烈な睡魔に襲われた。死の危険もあったことで精神が弱くなっていたんだろう。ギルドで良さそうな宿の場所を聞き、そこで一晩休んだ。


「今日は装備の準備だな。できれば仲間もほしいけど…」


「もし、お主はレンガとかいう者かの?」

 

 袴姿の老人が俺に話しかけてきた。

 ぶっちゃけ、昨日チンピラと闘ったからなのかすごく弱そうに見える。


「そうだが?あんたは?」


「ふむ」

 

 突然、老人は俺に手を伸ばし、気づくと俺は地面と平行になっていた。俺は何が起きたのか全く分からなかった。


「チンピラに勝ったというから来てみたものの、こんなものか。しかし、勝ったというのも事実…」

 

 老人はなにやら呟いている。くそっ、やられっぱなしは癪だ。


「でてこい、フォル!」

 

 俺の前にすでに100近くに分裂したフォルがでてきた。


「フォル、この爺さんを押さえつけろ」


「チイッ」

 

 フォルの大群が爺さんに飛びかかっていく。


「それがお主の漢字か。じゃが、一匹一匹が弱いな」

 

 なんと、全てのフォルが爺さんをすり抜けるようにして後ろに吹き飛ばされていく。


「……爺さん何者だ?」


「儂の名はハドという。冒険者の冒険を助ける頼まれ屋をしておる。お主はチンピラに勝ったということじゃが、まだまだ弱いな。これから冒険をしていくとすぐに死ぬぞ?よければ儂がしばらく共に旅をしようかと提案しに来たんじゃ」


「あんたの目的はわかった。しかし、それが何の利益になるんだ?」


「少なくともお主がこれから先の冒険での闘いの負担が減るぞ」


「違う、あんたの利益だ。金か?」


「それもあるがの、儂は若い芽を育てていきたいんじゃ」

 

 なるほど、老人の引退後の娯楽ってことか。しかし、あの強さだ。俺も何かしら盗めるところは盗みたい。


「ふむ、その目はいいぞ。あわよくば儂から技を盗もうとしておるな。儂はこの先の酒場にいつでもおる。期限は一週間以内じゃ。旅の依頼をしたいなら来るがよい」

 

 そういうと老人――ハド…ハド爺とでも呼ぶか――は背を向けた。

 ……そろそろ1分経つな。


「なっ!」



――ハド――

所有漢字『?』『?』『?』

所有スキル:???

状態異常:なし


 

 名前と状態異常しかわからんぞ!そうか老人なのに健康なのはいいことだ…とか言っている場合じゃない! 俺とハド爺の間にはかなりの差があるみたいだ。


「鑑定は終わったかの?なら今度こそさらばじゃ」

 

 どうやら鑑定していたのを見抜かれていたみたいだ。そのままハド爺は去っていった。


ヒロインはまだでませんね。

次にはだしたい!…

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