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47話 十二支

ようやくバトル展開

「……五芒星について私が知っていることは以上だ。他に聞きたいことはあるか?」


 イチイの五芒星についての説明はこんな感じであった。

五芒星と言うとおり五人居り、それぞれが最低でもAランクはあるらしい。五人の情報は、

・ドラゴンを操る男(こいつが五芒星の中でも各が違うらしい)

・拳で何もかもを破壊していく男

・目で追えないほどの速さで駆けていく男

・剣で斬りつけても傷がつかないほど硬い男

・戦場で死体を兵に変える男


 この五人を中心に他にあと何人かの実力者が従ってこの国は戦争に勝ち続けているらしい。


「ドラゴンとな?詳しい情報はないのか?」


「申し訳ない。あまり生きて帰った者が少ないためそんなに情報がないのだ。何もない場所からでてきたからどうも漢字の類のようではあるらしいが……」


「そうか、ふむ……」


 そのままハド爺は考え込んでしまった。ドラゴンについて何か思うところがあるのだろうか。

 それにしてもだ、「死体を兵に変える男」というのはヒシバじゃないのか?それなら俺たちを呼ぶ理由はわかる。それをイチイに伝えると、


「私もそれについては同感だ。だが、行かぬとベムは何をするかわからない。できるだけ穏便に話をつけるつもりではある」


 もし闘うことになったらどうするべきであろう。もちろん逃げられるに越したことはない。だが、間違いなく『鬼』よりは強い。逃げさせてもらえるだろうか。闘うとしたら俺たちがばらけて闘うと勝てる気がしない。全員で各個撃破していくほうがいいだろう。


「闘うときはなるべく全員で固まってくれ。私も剣の腕には自信があるが、五芒星二人以上を一人で相手するのは勝率が薄くなる。貴殿らは常に二人以上で行動するように心がけてほしい。敵陣で孤立するのは死を意味する」


「もちろんだ。仲間を死なせる気はない」


 サンとルナは俺から離れないように言っておく。アネモネ、ジニア、カルミアはハド爺となるべく一緒に行動してもらう。イチイは俺たちのチームだ。もし二手に分かれるときはこの組み合わせが戦力的に良いと俺たちは判断した。

Aランクのハド爺、ハド爺に匹敵するというイチイ、この二人が俺たちの最高戦力だ。



 俺たちを乗せた馬車は一日かけてとある村に到着した。ベムまで残り四日ほどかかるらしい。

 村につくまで、五芒星以外にイチイについての話もきいた。


「イチイは何でミナにいたんだ?何か用事があったようだが」


「そうだな、ここまで来たのだから話しても構わないか。ミナの街で住人や冒険者が気絶するという事件があったのは知っているか?クエストにもなっていたのだが。ああ、そういえば貴殿らがあのクエストを受けたのであったな」


 内心ギクリとする。その事件の犯人は今馬車の二階でゴロゴロしているであろうカルミアなのだから。子供たちは最初は話に参加していたのだが、カルミアが飽きたと言ってサンとルナを引っ張って二階へと行ってしまった。

もし必要な情報があれば後で俺から伝えておけばいいだろう。


「実はあの事件と同時期にもう一つ事件があってだな。街の子供たちが消えるという事件だ。攫われたのか殺されたのかもわからない。突然消え、そのまま音沙汰がないのだ。まだ消えたのは数人であったため、ギルドも大事にせず、様子見の段階であった。だが先日、皆の街に来ていた貴族の息子が消えてな。それで調査のため私が派遣されたのだ」


「調査に来てるのに俺たちについてきてよかったのか?」


「問題ない。というよりも、その事件にベムが絡んでいるのではないかという考えに至ってな。ベムに調査の手を伸ばすことになったのだ。むしろ護衛がついでみたいになってすまない」


「護衛をしてくれることに変わりはないんだろ?」


「無論だ。手を抜くつもりなど毛頭ない。そこは安心してほしい」


 イチイの実力はまだわからないが、国のトップなんだろ?安心しているさ。


「よろしく頼む」


「こちらこそだ」


 俺たちは硬い握手をし、これから起こるかもしれない戦闘に向けて結束を固めた。




「今日はここまでだな。私がいるから村人も泊めてくれるだろう」


 村に到着すると、村長の元へはイチイが向かうこととなった。俺たちは村の周辺の散策だ。村にベムの者が来ていないか、ベムが村に何か仕掛けているものはないか見ておかなければならない。近くに森があるのが不安だとイチイが言っていた。何か隠すなら森が考えられるからだ。

 先ほど決めたチームで別れ、散策を開始する。俺たちのチームにはイチイがいないが、二つのチームがあまり離れすぎなければすぐに駆け付けられるだろう。ジニアの『狼』は機動力に優れているしな。俺とサン、ルナの三人は村の周辺を、他の者たちは森近くを散策することとなった。

まだ日はあるが、すでに夕方に近い時間であるはずだ。日が暮れるまでと決めて別れた。



「サン、ルナ何かあったか?」


「何もないよー」


「すいません、ただ草原が広がっていることしか……」


 村の周辺は何かを隠せるような岩も何もなく、草も掻き分けるほど深くはないのでただ歩き回るだけになっていた。ときおり、小動物を見つけたサンとルナがそれを追いかけていくだけである。はぐれないように俺も走るはめになってしまったが。


「……何もないな。ここらへんでハド爺たちを待つことにしよう」」


 そろそろ村に戻ろうかと思い始めていたところでハド爺たちと合流した。結局ハド爺たちのチームは何も見つけられなかったようであった。何も見つからずに少し粘ったみたいで時間がかかってしまったようだ。


「そろそろ周りも暗くなり始めてる。イチイのところに戻って五芒星と闘うことになったときの作戦を練ることにしよう」


「そうじゃな、五芒星の一人一人が儂と同じくらいの強さがあるかもしれん。はっきり言ってあまり戦闘にはなりたくない。お主らを守れる自信がないからの。イチイの情報で儂らの相性を考えておかんとな」


 ハド爺ですら戦闘を避けている。俺たちでどうにかできる相手なのだろうか。


「その作戦、練る必要はないですよ。なぜならあなたたちはここで死んで頂くのですから」


 突然聞こえたその声は俺たちの真後ろから聞こえた。


「っ‼誰だ!」


 振り向くと小柄な男が立っていた。身長は俺の半分ほどしかない。


「私は『子』と申します。ベム国の使いの者です。あなた方を連れてくるように命令されていたのですが……」


 そこまで言って男はニタァと笑う。気味の悪い笑顔だ。


「どうやら五芒星様を倒す計画をしているご様子。もし逆らうようならば殺しても構わないと言われていましてね。いやあ、実は連れて行くのは面倒だったんですよ。手間が省けて良かった」


 ベムの人間か‼もうここまで来ているとは。


「レンガ、ここは儂が様子を見る。お主らはその後でじゃ!」


 ハド爺がそう言って男に向かって行く。


「あなたが相手ですか?私は全員で来られても構わないんですよ?」


 男の懐からネズミがでてくる。『鼠』は俺が所有している。『子』って言っていたな?人じゃないのか?


「ハド爺、そいつは漢字の可能性がある。気を付けてくれ」


「わかっておるわ」


 ハド爺は男に向かって拳を突き出した。


「ほうら、行きなさい、『子』よ」


 ハド爺の足元にネズミが近づいたとたん、ハド爺の動きが止まった。


「そら、噛みなさい」


 ハド爺はそのまま動けずにネズミにただ噛みつかれたのであった。


「そういえば言い忘れていました。私は十二支の一人目、『子』です。短い間ですが、よろしくどうぞ」


サブタイトルが最後にようやくでてくるというね

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