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40話 教育方針

数少ない読んでくれていいる方々、本編の更新遅くて申し訳ございませんでした

「そろそろ街に着きそうだな。次の街にはギルドはあるんだよな?『鬼』の報奨金をもらわなきゃな」


「『村』発見の報奨金も少しはでるそうよ」


「はやいとこ誰か攻略してほしいところだ」


 『村』は精神攻撃をしてくる漢字じゃないかって疑うレベルで意味がわかんなかった。剣は良いものだけどさ。


「お兄さん、あれは何でしょうか?」


「ん?どれだ?」


 見ると、前方で大きな鳥が二羽、飛んでいる。二羽は別の鳥のようだが、闘っているようだ。


「魔物、にしてはただでかい鳥のようだが……」


 魔物は大抵どこか普通の生き物とは姿が違う。しかしこの鳥は姿は普通だ。まだ見てないだけでこんなのもいるんだろうか


「レンガよ、あれは動物型の漢字のようじゃぞ」


「師匠、どうやって倒せばいいの?」


「そうじゃな、空を飛ぶ敵は強い。なんせ一方的に攻撃されるわけじゃからな。鳥ならばこちらに向かってきたところを逆に攻撃すれば良いが……」


「ちょっと、待ってくれ。どうやら保漢者がいるようだぞ。馬車はいったんここで止めて、俺とサン、ルナで様子を見てくる。ルナなら鳥の攻撃くらい止められるだろうし、サンの槍なら相手よりも先に攻撃できるだろ。アネモネは念のため、魔法を用意しておいてくれ。ジニアも弓の用意を。ハド爺、馬車とアネモネ、ジニアを守ってくれ」


「わかったわ」


「了解です!」


「うむ」



 三人を残し、俺たちは鳥と保漢者たちのほうに向かう。どうやら二人は争っているようで、それで鳥に闘わせているようだ。近くに来るとさらにでかく見えるな。あれは……鷹とか鷲か?大きいほうの鳥(あれは鷲かな?)は一撃が重そうだ。もう一方の鳥(こっちは鷹か?)にぶつかるたびに鷹はよろめく。鷹の方は素速く、手数で押すようだ。鷲が一発当てるたびに鷹は三発は当てている。二羽は互いに攻撃を重ねていたが、最後にどちらもぶつかると墜落していった。そろそろ話しかけていいかな。


「「こんにちは!」」


 サンとルナが挨拶をすると二人は俺たちが近づいてきたことに気づいたようだった。それほど熱中していたのか。


「すまんが、何をそんなに喧嘩しているんだ?」


「あ?関係ないやつはひっこんでいろ!」


「あなたのそういう態度が原因なのよ!すいませんね、でも危ないからどいていてください」


 保漢者は二人、荒っぽい男と同年齢くらいの女だ。


「一体何をそんなに争っているんだ?俺でよければ話をきくが」


「あ?お前が話をきくだと‼……いや待てよ、お前も俺の話をきいて俺の方が正しいとこいつに言ってやってくれ」


「いいえ、正しいのは私です!あなたはいつだってそうやって自分の正当性を……」」


「いいから、話をきかせてくれ」


 二人は互いに争いながら俺たちに何があったのかを説明した。この二人、名前を男がクル、女がミモザというのだが、夫婦なのだそうだ。それぞれ戦士と魔術師として冒険者をしていたのだが、出会った瞬間に互いに惹かれた。お互いに『鷹』と『鷲』という鳥の漢字を持っていたことも話が合い、悩みや成長過程について相談できそのままどちらからともなく告白。そのまま結婚したそうだ。一結婚一年目はたいそう仲が良かったそうなのだが、ミモザが身ごもり、子供を産んでから二人の仲は一変した。男の子なので二人とも冒険者として育てたいのだそうだが、クルは剣を学ばせ良き戦士として育てようと、ミモザは魔法を学ばせいずれは名のある魔術師にならせたいと考えたのであった。それが10年続いているらしい。教育方針の違いってやつか。俺の両親は放任主義だったからなあ。


「息子はどうしたいって言ってるんだ?」


 こういうのは本人の気持ちが大事だとよく言われている。俺は剣と魔法のどちらが良いかなどとはわからない。どちらも冒険者になるには大事ではあると思うのだが、本人の適性もあるだろう。


「それは……」


「別に……」


 おや?急に口数が減ってきたぞ?


「実はあまりうちの子供は自分の気持ちを口に出さないんだ」


「自分の中にため込んじゃうタイプなのよ」


「親だからこそ言いづらいものもあるんだろう。俺がきいてみようか?どこにいるんだ?」


 初対面の男を信用するかどうか二人はしばらく話し合っていたが、サンとルナがいるのを見て、危険はないと判断したようだ。


「あそこにある馬車が俺たちのなんだが、その中にいる」


「お願いします。どうかあの子の率直な意見をききたいの。あの子が魔法を教えてくれというのなら私の教えられる限りを教えるわ!」


「俺だって、剣だって盾の使い方だって教えるぞ!」


「剣なんてあの子には危ないわ!」


「何を!魔法なんて男らしくないものをあいつにやらせるか!」


 俺は背中でまた二人が言い争っているのを聞きながら息子がいるという馬車へ向かった。馬車の中にいたのは15歳ほどの少年であった。剣を握らせても杖を持たせて魔法を使わせてもどちらも似合う、そんな体格に特徴のない少年であった。


「やあ、向こうで君の両親が喧嘩しているのが見えてな。君があの二人にあまり自分のことを言わないらしくて何をしたいのか知りたいらしいのだが、君は何をやりたいんだ?」


「……」


 あまりおびえさせないように柔らかい口調で話すが、少年はそれでも何も言わない。少し強引に聞いたほうが話してくれるのかな。クルとミモザはあまり踏み込めていなかったようだしな。


「お前は何をしたいんだ?いいから、話してみろ!言わないからお前の両親は喧嘩しているんだぞ!」


「……」


 何も言わないな。それに少し言い過ぎた。ただおびえさせただけかもな。少し反省。


「……こうなれば強硬手段だ。サン、アネモネを呼んできてくれ」


「わかった!」


 サンが俺たちの馬車へと走って行く。さすがに『毒』を使って自白剤を用意するわけにはいかない。ならば他の手だ。


「お兄さん、アネモネさんを呼んで何をするんですか?」


 あまり何をやるかは少年にききたくはない。ルナに顔を近づけ耳元で囁く。


「前にジニアが意識がなかったときに『伝』で言葉がきけたときと言っていただろ。今回も同じことをやってもらおうと思ってな。このくらいの年の男の子だとあまり素直になれないことがあるんだよ。『伝』でその隠れた本音をききたい」


「な、なるほど(お兄さんと顔が近い……)」


 ルナは顔を赤くし、頷く。どうしたんだ?熱でもあるなら自分から言ってほしいが。


「兄ちゃん、連れてきたよ……って何してるの⁉ルナから離れて!」


「レンガさん、あなたまさかルナにキスを……」


「ち、違う!これからやることを説明していたんだ!」


「……まあ、そういうことをする人じゃないとわかってるけど、それなら馬車の外に出なさいよ」


 ……ごもっともだ。俺は誤解を解き、アネモネにこれからやってもらうことを説明する。今度は馬車の外でだ。


「わかったわ。でもあれは本来の『伝』の使い方ではないから成功するかわからないわよ?」


「ああ、それでもいい。駄目ならあきらめるさ」


 所詮は他人事だ。だが、両親が息子を気にしているのにその息子は何も言わない、俺も親が放任主義だったからほとんど親子らしい会話はしなかったが、もしもかまってくる親だったらこういう風になっていたのかもしれない。できることなら力になってやりたい。

 

「じゃあ、見てくるわね。レンガさん達はあの二人を止めたほうがいいんじゃない?」


 見ると、また二人は鷲と鷹を召喚し闘わせていた。くそっまたかよ。でも俺、空中にいるやつにできる攻撃ないんだよな。二人を説得するしかないのか。


「剣だ!」


「魔法よ!」


「待て待て!今、俺の仲間がお前らの息子に話を聞いている。それを聞くまで鳥はひっこめておいてくれ!」


 俺の声は届かず、二人は剣を魔法を自分が教えると主張する。こうなったら、二人を直接抑えるしかないかと思った瞬間、突然現れた鳥が鷹に攻撃し、どこからか放たれた矢が鷲を射抜いた。


「父さん!母さん!僕はハンターになる。この『隼』と『弓』で!」


 少年が馬車からこちらへ叫んでいた。


「レンガさん、ごめんなさい。ちょっと失敗しちゃったかも。少し強く『伝』を使ってしまったみたい。一時的なものだとは思うのだけど……」


 アネモネがこちらに近づいてきて説明する。


「大丈夫だろう。何はともあれ、少年がやりたいことは両親に伝わったんだ。これで喧嘩することは少なくなるだろ」


 両親も最初は驚いていたようだが、それでも息子のやりたいことを応援するようだ。


「わかった。俺もできる限りのことはするぞ」


「あなたのやりたいようにやりなさい」


 これで解決だな。


「さあ、馬車へ戻ろう。もう少しで街に着くんだ。今日中には行けるといいんだが」


 俺たちが馬車の方へと歩き出したそのとき、


「俺は武器を一通り使える!俺がこいつに弓の使い方を教えるんだ!」


「いいえ、弓は魔法と同じようなもの。私が教えればきっと百発百中の弓の使い手になれる!」


 どうやら、どちらが息子に弓の使い方を教えるかでまた言い争っているようだ。


「……行くぞ」


「レンガさん、いいの?また喧嘩しているようだけど」


「大丈夫だ。この問題ならすぐに解決するさ」


 なんたって、あの少年はすでに両親に弓を教えてもらう必要はないだろう。空中を飛ぶ鷲に命中させたのだ。すでに相当な腕であることに違いない。そう説明すると三人は納得し、


「なら早く旅を再開しましょう」


「なんで仲良くできないんだろうね!」


「二人で教えればいいのにね」


 と会話しながら馬車へ戻っていった。


「……あんましあの二人に興味なかったのかよ」


そんなに話は進んでませんがね、次話は!次話はちゃんとやります!(お約束はしません……


最近、作業用と言ったら失礼ですが、高嶺の花子さんを女性が歌っているバージョンを聞きながら書くのが好きです。

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