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33話 鬼の棲まいし山その7

おじいちゃん二人だから口調が似ちゃってます笑

双子には後で私が褒美として頭をなでてやろう」


「いやそれヨスガさんが単になでたいだけじゃないですか。次は飛ばしていたハドとガラの闘いですね」


「老人対決だな。ガラの強さは族長と同じくらいなのだったな」


「それがそうでもないんですよー。本来、鬼族の族長の交代って殺し合いの勝者がなるんですけど、ガラはジブラが息子だという理由で闘わずして譲っちゃったんですよねー。だからガラのほうがジブラよりも強い可能性が高いんですよ!」


「そなたやけに詳しいな。さては暇さえあればこの世界を覗いているな?そなたの役目は異世界の人間を召喚することであろうが!」


「いや、そのためにこっちの世界に詳しくならないとなーって……。じゃあハドVSガラの闘い見ていきましょう!」



【ハドVSガラ】

「すまんがの、貴様らに息子が殺される可能性は低いとは思うが念のためじゃ、一番強いであろう貴様は儂が殺させてもらうよ」


「なあに、かまわんよ。鬼どもはもとより根絶やしのつもりじゃったからの。探す手間が省けただけじゃ」


「ほっほっほっ」


「ふっふっふっ」


 老人たちは互いに笑い合う。両者とも相手が強敵であることがわかっており死闘になることもわかっている。ハドは頼まれ屋となってからは強者と闘うことは少なくなり、ガラも族長争いの殺し合いが候補が息子であったため闘うことができなかった。待ち望んでいた殺し合いができるのだ。楽しみでないはずがない。


「鬼族元族長、現指南役のガラじゃ。いかせてもらう!」


「元Sランク、現Aランク、頼まれ屋のハドじゃ。こちらもいかせてもらう!」


 互いに名乗り構える。どちらも徒手空拳での闘いとなる。鬼族は重量のある武器を好むが、ガラは己の力が最大限に発揮できるのは己の拳であると考えていた。ハドも『指』があるため、己の手を使う攻撃を磨いてきた。どちらも戦闘スタイルは似通っている。

 先制攻撃を仕掛けたのはハドであった。というよりもガラは攻撃をしていなかった。


「流々拳流 簾斬」


 ハドは拳を解き、手刀をつくる。『指』で手刀を強化し、『流』で空気の流れを操作し空気による抵抗力を弱める。その速度は元族長のガラであっても目に追えるものではなかった。ハドの手刀がガラを切り裂く、そうハドは確信した。だが、その手刀は何も斬れなかった。ガラの体は皮すら斬れていなかった。


「ふむ、硬いのう。三人衆はそれぞれ長けた力があったようじゃが、それがお主の力かの?」


「そうよ、儂の体は鬼族一硬い。それもドラゴンの表皮以上の硬さじゃ。今まで儂の体に傷を負わせたものはいない。どんな攻撃も儂には効かない」


「それは今までじゃろ?儂をそこいらの者たちと一緒にするなよ?」


「ふははは、なら試してみい。儂は貴様からの攻撃は避けずして勝ってみせよう」


 おそらく手刀に類する斬撃系は効かないだろう。ならば一点に集中して攻撃してみるか?そうハドは考える。


「流々拳流 五指貫単」


 己の力すべてを五本の指に集める貫単は貫通力に優れた技である。指の数を減らすことにより貫通力は高まるが、攻撃範囲はせまくなる。


「無駄じゃ。その程度の攻撃なぞ効かんわ」


 だが、貫通力を高めてもガラの体は貫けない。


「流々拳流 一指貫単」


 一本にすればどうかと試すがそれでも貫けない。


「そろそろ良いか?こちらも攻撃させてもらうぞ。どうやら表のほうにもまだ人間がいるようじゃしな」

 

 ガラは拳を握り突き出してくる。硬い体はそのまま強力な攻撃となる。ガラの拳は岩をも容易く砕く威力であった。だが、ハドは本来、攻撃よりも攻撃を受け流すことを得意としている。元々ザンガの担当はハドであったのだ。いかに強い攻撃であろうともハドには関係なかった。

 

「どうやらお互いの攻撃はきかないようじゃの」


「さてな。少なくとも儂の攻撃はまだ終わってないぞ」


 ハドは次いで打撃を試す。『指』を使わず拳での攻撃なので先ほどよりも弱い攻撃になるが、ハドには策があった。


「流々拳流 止打」


 ガラにとって、今まで斬撃が効かないならと打撃武器を使ってくる相手は大勢いた。しかし、ガラの体はザンガの力でさえ傷をつけることができないほどである。ハドの拳も何もガラには意味などなかった。


「無駄だったようじゃの。貴様の攻撃は儂には効かない。じゃが、儂の攻撃は当たりさえすれば貴様を殺せる。時間はかかるがしょうがない。どうやら儂の勝ちのようじゃな」


「流々拳流 止打」


「だから無駄じゃて」


 ガラは己の勝利を確信し安堵すると同時に失望していた。強そうだと思っていたがこいつも己の体に対しては何もできず死んでいくのか。殺し合いではない、またただの一方的な虐殺になってしまう。


「せいぜい一撃で死んでおくれよ。貴様は逃げるのだけは上手い様じゃからな」


「流々拳流 止打」


 それでもハドはガラに向け拳を打ち続ける。ガラは悪あがきだろうと放っておき、ハドに向け拳を放つ。ハドは拳を打つ傍ら、もう片方の手でガラの拳を受け流す。


「言っておくが、この受け流しは技ではない。儂にとって受け流すことは呼吸をすることと同じじゃ」


「ふん、呼吸とて他者が邪魔すれば止まるじゃろう。その呼吸、今儂が止めてやろう。とっておきじゃ受け取るがよい」


 そう言うと、ガラの体からは腕が4本新たに生えてきた。


「この数を受け流し切れるか?」


 ガラは合計、6つの拳を突き出してくる。どれも岩を砕く威力だ。ハドはすべてを受け流すが、受け流すだけで精いっぱいのようである。


「くっ」


「ほれほれ、どうした?呼吸が止まりそうじゃぞ?」


「仕方ないのう。言ったよな?呼吸のようにできると。今までのは無意識のようなものじゃったが、次からは意識的に受け流す」

「流々拳流 総断」


 ハドが受け流すガラの拳はすべて他のガラの拳に当たる。


「お主の拳は硬い様じゃが、その硬い拳と他の硬い拳はどちらが硬いんじゃ?」


「ふっ。よく考えたようじゃが、それも効かんのう。儂の体の硬さは儂の力よりもはるかに大きい。自分の拳で傷つくほど柔らかくはないぞ」


「じゃが、攻撃は止まったようじゃの」

「流々拳流 止打」


「じゃから、いくら打っても儂には打撃も効か……ぐはっ」


 ハドの拳を受けガラの口からは血が流れる。


「何をした?儂の体はどこも傷ついていないようじゃが」


「儂の流々拳である拳がただの拳であると思ったか?」


 流々拳 止打、それは放ったエネルギーを相手の体から逃がさない技である。そもそも『流』は流れを操る漢字であって、導くだけではない。流れを止めることだってできる。だから、ハドはガラの体の一部、内臓だけに拳のエネルギーを留めた。一発だけではダメージは大したことはなかったようだが、繰り返すとさすがに鬼の内臓でも耐えきれなかったようだ。


「どうやらもうお主の内臓はぼろぼろのようじゃな。鬼の内臓も人と変わらないようじゃし、一撃で決めさせてもらう」

「流々拳流 止打」


 ハドはガラの胸に拳を打ちこむ。そこにあるのは人であっても鬼であっても必ずある急所、心臓である。心臓に打ち込まれた拳のエネルギーはそのまま留まり心臓を破裂させる。ガラは一瞬、胸を抑えた後、そのまま動かなくなった。


「ドラゴンゾンビにアレを使わなければもう少し楽じゃったんだがのう。さて、ここはどこじゃ?」


 ハドは自分の場所を見失っていた。ガラが自分を引きずりここまで連れてきたが、地図のどこに自分がいるのかが分からなくなっていた。


「空気の流れを頼るしかないかの」


 こうしてハドは元族長であるガラを無傷で倒した。


残るはボスのみ!

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