3話 俺の名前
初ブックマークありがとうございます!
まだ物語が始まったばかりで私にもこの後どうなるかわかりませんが、どうかお付き合いください。
まだ朝日が昇りきらないうちに俺は目が覚めた。辺りは少し暗いくらいだ。
昔から目覚めは良い。深夜の活動もお手の物だ。
「さーて、とっとと森を抜けるか」
なんだか今日は妙に元気だ。昨日のネズミの件で俺に何か変化があったのだろうか。
あれから数時間ほど歩くとようやく木々が途切れた。
この世界に来てからなのか、体調も良いし、少し身体能力も上がっているようだ。以前は2時間も歩けばへとへとであったのに今はそこまで疲れていない。
正面にはでかい門が見える。まずはこの街でこの世界のことを知らなくてはな。
門のそばには兵士らしき男が数人いて、それぞれ辺りを警戒していた。その中の一人が俺を見つけたようだ。
「待て、貴様は冒険者か、それとも商人か?何か身分を証明できるものはあるか?」
当然俺はなにも身分を証明できるものなど持っていない。
「俺は突然、神とやらにこの世界に呼ばれた。この世界のことは何も知らないし、身分など証明できない」
……正直に言ってみるが、当然信用してもらえないんだろうなぁ。
すると、男は数秒考えるように黙ったのち、
「わかった、少しここで待っててくれ。鑑定石を持ってくる」
やけに物分かりがいいやつだな。こういうときは問答無用で連行でもされるかと思ってたが。俺が言うのもなんだが普通、異世界から来たなんてやつは頭がおかしくなったんだなって思うだろ。
「おう兄ちゃん、デンが当番でよかったな。他のやつらだけなら危なかったかもしれんぞ」
他の兵士が話しかけてきた。
「あいつは何者なんだ?」
「何者というほどのやつじゃないがな。あいつの所有している漢字が『勘』なんだよ。おそらく本能みたいなもので兄ちゃんが嘘をついてないってわかったんだろうさ」
なるほどそいつは助かったな。
「あんたらも漢字を持っているのか?」
この世界の人々は漢字を持っているのは普通なのだろうか。
いんや、と兵士は言った。
「この中ではデンだけだな。なんせあいつは選ばれし者だしなあ」
兵士たちはケラケラと笑う。
「まあ選ばれたっていってもそこまで珍しいことではない。城の兵士なら漢字を所有しているやつは珍しくない。こんな門番をしているのは珍しいかもしれないがな」
と、そこでデンと呼ばれていた兵士が戻ってきた。
「待たせたな。この鑑定石でお前のステータスを見てみよう。この鑑定板にお前のステータスが映るはずだ」
デンは俺に鑑定石らしき丸い水晶玉を俺に近づけた。
すると1分と経たずに鑑定板とやらに文字が浮き出してきた。
-レンガ アイカゲ-
所有文字『肝』『鼠』
所持スキル:鑑定 アイテムボックス
状態異常 なし
特記事項(任意によって隠せます)
・異世界人
……おい!名前が俺が中二病のときに考えたやつじゃないか!これつけたの絶対あの神だよな。次会うことがあったら文句の一つでも言わなきゃ気がすまんぞ。
ん?兵士たちが驚いている。
「兄ちゃんが異世界から来たってのは本当だったのか。しかも人型の漢字を所有か!そのうえ『鼠』」を所有してるじゃないか。たしかまだ未討伐の漢字だったよな。こないだもネズミ駆除にでかけてく冒険者がいたし。こりゃギルドから報奨金がでるぞ」
やはりこの世界にもギルドがあるのか。それならギルドで冒険者になってクエストをクリアしながら生活するのも悪くないな。どうやら鑑定とアイテムボックスは珍しくないらしい。冒険者と商人には必須のようだ。
「てか兄ちゃん、鑑定で自分のステータス見れたんじゃないのか?」
あ……。すっかり忘れてた。
さっそく自分を鑑定してみると鑑定板と同じ結果になった。
デン曰く鑑定は把握できている自分の能力、自分の強さに応じて相手や物の鑑定ができるようだ。
「異世界から来たことはあまり周りに知られないほうがいいな。悪目立ちしたいなら別だが」
デンがそうアドバイスしてくれた。確かにこのことを知られてもあまりメリットがないな。任意によって隠せるそうだしな。
俺は異世界人であることを隠すように念じてみた。すると鑑定板から特記事項の欄が消えた。
「お前らもこのことは見なかったことにしろよ」
デンは他の兵士たちに俺が異世界人であることを隠すよう言った。
兵士たちもうなずいている。気のいいやつらだな。
「さて、ようこそ、アマルの街へ。じゃあどこに行く?最初の場所くらいなら案内するが」
「ならギルドまで頼む。冒険者に登録したい」
「そうだな。ついでに『鼠』の報奨金ももらっておけ」
ようやく俺は街の中へと入って行ったのだった。
かけたー
主人公の性格が定まらないなー