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26話 蘇りし村その5

「蘇りし村」編は今回で終わりです

 闘いが終わり、夜が明けた。ヒシバが死んだと同じころにゾンビたちは死体に戻ったようだ。だが、そのころにはゾンビは数えるほどに減っていたようだが。

 俺たちが闘いを始めてからは村人の被害は少なくなったようだが、それでも半分ほどが死んだようだ。犠牲者の中には俺たちを案内してくれた女性もいたようである。ゾンビになりアネモネたちが倒してしまったため、確認はできなかったようだが。


「人がいっぱい死んじゃった……」


「『盾』があるのに守れなかった……」


 サンとルナは相当落ち込んでいるようだ。先ほどまで生きていた人が目の前で死に、敵となるのに耐えられなかったのだろう。戦闘中は考えないようにしていたようだが、今は安心したからか、そのことが頭をよぎってしまったようである。


「サン、ルナ、お前たちはやれることはやったんだ。それにお前たちは何も悪くない。悪いのはヒシバだ。見ろ、あそこにいる人たちはお前たちが守ったんだ。死んだ人を守れなかったんじゃない、生きている人を守ったんだ」


 半分も死んだんじゃない、あの突然の状況で半分も守れたのだ。そのことは誇るべきであり、悔いることはない。


「兄ちゃん、私たちうまくできたんだよね?」


「私たちは役に立てましたか?」


「ああ、十分すぎるほどだ。だからもう休んできていいぞ。あとのことは俺たちに任せろ」


 サンとルナを呼び出した馬車で寝かせた。家のほうは戦闘の跡が残っているので時間が経過しないと使えない。俺もあいつも相当剣と杖を振り回していたからな。家具や食器はともかく、壁は時間とともに修復されるから今晩には使えるはずだ。


「アネモネ、疲れているところ悪いが、『伝』でギルドの人間を呼んでくれないか? 俺たちもずっとここにとどまるわけにはいかないからな」


「それならすでに呼んでいるわよ。戦闘前に呼んで、すぐに職員と冒険者を向かわせるって言ってたからもうすぐかしら」


 さすがは元貴族と言うべきだろうか。こういうところは抜け目ないな。この村に滞在するとしても明日には出発したい。そのころにはジニアも意識が戻り、話を聞けるようになっているだろう。




「ゾンビがでたという村はここか? とりあえず5人ほどの冒険者をつれてきたのだが」


 死体の片づけをしているとギルドの人間が到着した。


「ここだ。だが、敵はもう倒した。黒幕も殺してある。すまないが、ここの片づけを手伝ってくれないか? 何分、ゾンビになった死体の数が多くてな」


「一晩でこの数のゾンビを倒したのか⁉ ハドさんがいるというのは聞いていたが、それでもすごい。なら話だけでも聞かせてくれ。全員から聞かせてもらえたらもうこの村からは出て行ってもかまわない」


 俺とハド爺とアネモネはそれぞれ事情を説明した。サンとルナはまだ幼く、寝ていることもあって事情聴取は免除してもらえた。ハド爺がいることも大きかったのだろう。職員は俺たちの言葉を真剣に聞いて、疑っている様子はなかった。


「なんと……。ドラゴンゾンビまででるとは……。それを倒すハドさんも相当だが。ヒシバという男の死体はこちらで引き取らせてもらう。やつは結局何がしたかったんだろうな。レンガ君は何か聞いているかね? 君が闘っていたのだろう?」


「いや、やつは何も言ってなかった。今回の騒動も死体を集めるだけだったようだが、これから何をしようとしていたのかはわからないな」


「ふむ、そうか。死体から何かわかるといいが……。村人の死体は炎魔法が使える者で火葬しておく。もうゾンビになる心配もないだろう。これで全員から話は聞けたな。君たちはこれからどうするのかね? この村にまだいるというのなら私たちのほうで食事などの準備はさせてもらうが」


「いや、俺たちは少し急いでいてな。昼まで休憩し、そのあと出発する。そうだな、昼飯だけ用意してもらえるか?」


「わかった。これから村人用の炊き出しを作る予定だったからな。数人分増えても問題ない。むしろ君たちには大いに食べてほしいが」


「それはやめておいたほうがいいな。あいつらけっこう食うからな」


「む、そうか」


 俺たちは笑い合う。この暗い雰囲気を変えるために。


「じゃあ、俺たちは休ませてもらう」


「どうぞごゆっくりと。今回は本当にご苦労であった」


 俺たちも馬車で休憩することにした。ちなみにベッドのある二階はサンとルナ、アネモネ、ジニアである。俺とハド爺は一階の椅子で寝ることにした。椅子と言ってもソファのようなものだから寝るのに問題はない。みんな疲れていたのかすぐに眠ったようだ。俺もヒシバを殺したことで少し考え込んでしまったがいつのまにか眠ってしまっていた。



 昼になり起きた俺たちは職員からパンとスープをもらい、腹を満たした後、村を後にした。正直、今回の闘いでは考えさせられることが多い。人を殺したことは俺が割り切るしかないにしても、俺は弱い。剣も今回の闘いで相当ダメージを負っている。俺自身、何か決め手になるような技が必要だ。



次回はジニアが目覚めますかね

まだジニアの詳細決め手ない…

どうしよ

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