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24話 蘇りし村その3

ブックマークつけてないけど読んでくれてる人っているんですかね

それでもうれしいや

「おいみんな、起きろ!敵だ!」


 俺は慌ててサン、ルナ、アネモネを起こした。


「ん~?どうしたの~?」

「まだ外は真っ暗です。もう出発ですか?」

「敵ってどういうこと? こんな村に、魔物でもでたの?」


 まだ眠そうなサン、ルナはともかくアネモネはすぐに状況を把握してくれた。


「下手をすれば魔物より質が悪いかもな。大量のゾンビだ」


 以前ギルドで魔物などについて調べたとき、ゾンビは死体に魔力が溜まると産まれるとあった。魔力は外的要因、つまり土地に溜まっている魔力だが、魔力が死体に溜まるまでは1ヶ月以上かかるうえに、普通は火葬するからゾンビは人の住む場所では産まれづらいらしい。


 俺はヒシバを睨む。


「これはお前の仕業か? 今すぐに止めろ!」

「止めろと言われて止めると思うか? ほら、すぐに助けに行かないと村人が死んでしまうぞ?」

「くそっお前たち行くぞ」


 俺は仲間を連れ、教会を出た。そこにあったのは地獄絵図のようだった。


「た、助けてくれ! 足が、俺の足が無い!?」

「なあ母さん、俺が分からないのか? 何で父さんを食べてるんだ? 返事くらいはしてくれよ」

「いやっ、来ないで!腕を食べないで!」

「お母さん、どこー」


 あちこちでゾンビが村人を襲っていた。ゾンビは素手であるが、腕を振り回し、噛みつき、肉を喰っている。肉体の損傷を考えていないのか自身が傷づいても気にしている様子はない。村人は必死に抵抗しているが、ろくな武器がなく、せいぜい男数名がスコップなどでゾンビ数体を倒しているのみだ。だが、ゾンビによって殺された村人がすこし経つとゾンビに生まれ変わってく。そうしたゾンビには村人も攻撃しづらいのか徐々にダメージを受けていた。


「早くしないと村人すべてが『屍』の力でゾンビになってしまうぞ? ゾンビに細かい命令は出せないが、一つだけ与えておいた。それは私以外の生き物すべてを殺せ、だ。夜が明けるころには私以外の生き物はこの村には存在しないだろうな」


 教会からヒシバが出てくる。


「レンガよ、この男を殺すほかないぞ。この手の漢字は保漢者を気絶させるだけにしておくと暴走し始める危険がある。儂らで殺すほかない。人を殺したことはあるか? 儂がやってもよいが」


 正直、俺も人を殺したくはない。 この場はハド爺に任せ、村人の救助に向かおうとしたとき、


「貴様は強そうだな、念のためこいつを連れてきてよかった」


 そう言ってヒシバがさらに地面から呼び出したのは


「グギャァァァァッ」


 教会ほどもある巨体とそれに見合う翼、そして俺を軽く飲み込みそうな咢。

 ドラゴンのゾンビであった。あちこちぼろぼろであるが、とにかく大きい。


「ドラゴン、か」


 ハド爺が物珍しそうにドラゴンゾンビを見る。


「幸い下級のドラゴンのようじゃが、この大きさじゃ。こいつは儂が相手をするしかなさそうじゃな。レンガよ、人を殺すのにためらうなとは言わん。じゃが、こいつを殺さないと後々多くの人々が死ぬことになる。現に今も村人が殺されておるしの。覚悟をしておけ、冒険者をするならこういうこともある」

「わかった、いつかはこういうときがくると『毒』のときに覚悟していたさ。サン、ゾンビを倒せ! こいつらは首と胴体を切り離せば動かなくなるはずだ」

「わ、わかった! 頑張ってみる」

「ルナはジニアを守るんだ」

「わかりました」

「アネモネはルナを手伝いながらサンの支援を!」

「了解ですわ」

「いいか、死ぬなよ。はっきり言うが、俺は村人よりお前たちのほうが大事だ。だが、見捨てるわけにもいかない。だから、こいつらを殲滅し、生き残ってくれ」


 4人はそのまま村のゾンビを倒しに行った。俺はフォルを呼び出し、フォルにもゾンビを殲滅させに行かせた。なにせ敵の数は多い。こちらも数で対抗しなければならない。


「フォル、ゾンビから村人を助けてやってくれ」


フォルはこっちは大丈夫か?という目で見てきたが、俺が頷くと四方に散っていった。


「さて、儂らも移動しようかの? ここじゃと村への被害がより大きくなりそうじゃ」


 ハド爺はドラゴンをけん制しながら村の入り口のほうまで向かっていった。

 これでこの場には俺とヒシバのみ。

 ゾンビはヒシバを助けには来れない。サンやフォルが相手をしているからだ。だが、俺を助ける者もいないということ。

 ここは1対1。俺が決着を着けなければいけない。

 

「お前を殺せばこいつらは止まるんだな?」

「さてな、俺も死んだことがないからわからんな。だが、これ以上は増えることはない。俺が死ねばの話だがな」


 そう言って奴は杖を取り出した。


「接近戦で魔術師が勝てると思ってるのか?」

「私はただの魔術師と思うな。それに貴様を殺すのは別に私でなくてもいい。例えばゾンビになった貴様の仲間とかな。あのドラゴンは強いぞ。私のゾンビの半分があいつのせいで減ったからな。おかげでこんなところで死体集めをしなければならなくなった。大司教などとめんどくさい職業のふりまでしてな」

「俺の仲間はこんなやつらに殺されたりはしないさ。ハド爺だって強いぞ、俺よりもな」


 だが、仲間が心配なのは確かである。さっさとこいつを倒すしかない。


「ふむ、なら私は高みの見物をさせてもらおうか。スチーム!」


 ヒシバが魔法を使うと、あたり一面煙に覆われた。


「火魔法と水魔法の組合せだ。貴様は私がどこにいるかわからないだろう? せいぜい時間稼ぎをさせてもらう」


 周囲に何があるか分からない。剣を振るっても煙は晴れない。……くそ、仕方ない。乱暴だが、あの手を使うか。


「でてこい、『家』よ!」


 煙で周りが見えないが、おそらく俺とヒシバは家の中に閉じ込められたはずだ。すまない、家は安らぐための場所だと教えられたのにな。


「なに!? ……チッ、出口はどこだ」


 出口はない。玄関があるが俺の任意で鍵はかけることができるからな。ちょっとやそっとの力じゃ壊れない。


「逃げ場所はないぞ。俺と闘え! お前の能力と同じだ。俺を殺せばここから出れる」

「しょうがない。私はあまり闘いに向いてないがなっ」


 そう言いながら、煙の中から杖が突き出される。俺はそれをよけながら『家』に換気を命じる。これでしばらく経てば煙は晴れるはずだ。


「闘いには向いてないんじゃなかったのか? 今の杖術は相当のようだが」

「何、それでも貴様よりは強いということだ」


 ヒシバはそう言いながら杖に魔法をかける。杖は赤と青に光り始めた。


「熱したものを急激に冷やすとどうなるか知っているな? 答えは壊れやすくなるだ。その剣とて数合打ち合えばすぐに壊れる」

「ならば速攻で倒すのみだ」


 決着は数分後につくこととなった。

次話で決着つけたいっす

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