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18話 成長

テスト終わったーこれでしばらく暇になるぞー(良い点数だとは言ってない)

 アネモネたちとの買い物から数日、サンとルナの稽古が完了した。ハド爺いわく、そこいらの魔物なら10体きても二人なら遅れをとらないそうだ。俺はその間、素材収集のクエストを受け、小銭を稼いでいた。『毒』の能力なのだが、毒草の知識がなくても薬草か毒草なのか見抜けるという副効果があった。正確には毒草のみその種類がわかるという効果だったが、その力で薬草毒草の収集クエストは簡単だった。もはや顔なじみと言ってもいい、担当のアミのところでクエスト完了を伝えに行った。


「はい、これでクエストは完了です。しかし、レンガさんはすごいですねえ。もう草収集系のクエストは残ってませんよ。この数日でどれだけ受けたんですか。他の冒険者はあまりやりたがらないのでギルドとしてはうれしいんですけどね」


 毎日まとめていくつも受けてたからなあ。50くらいは受けたか?特に毒草の収集は楽だった。毒草は解毒薬に必要らしいのであって困ることはないらしい。

そういえば依頼者の一人から変な話を聞いた。


「旅をこれからするならぜひ試して来いと、『家』を紹介されたんだが」


「『家』ですか? ああ、その漢字は最近出現した漢字ですね。記録上は1年に一度1週間ほど出現する漢字でして、今は門をでて1時間ほど馬車で行った場所に出現したとありますね。もしやレンガさん興味あおりで?」


「命の危険がない漢字だときいたんだがそれは本当なのか?」


「本当ですよ! だけどその代わり攻略法がわかっていないんです。条件が3人でのときのみ『家』の扉が開くんですけど、そこから2日で『家』を攻略しないと追い出されちゃうんです」


「『家』は『毒』と違ってそのまま家なのか?」


「そうですね。漢字は様々な型があるのはご存知ですよね? 武器型や動物型などです。しかし、それは倒されたり攻略し漢字に認められ、保漢者が所有したときの型です。漢字が意思を持っているときの型はそれぞれまた違います。動物型は動物が多いですけど武器であれば人型が多いですね。『雨』や『雲』のときはそのまま雨や雲だったらしいですよ。今回の『家』もそのまま家ということです」


「なるほどよくわかったよ。『家』の依頼は受けられるのか?」


「『家』はその条件から受ける人数に制限があるんですが、明日なら受けられますね。3人なのですが、もうパーティーメンバーは決まってますか?」


「それならサンとルナを連れて行こうかな。危険はないようだし、あいつらも稽古ばかりだったからな。息抜きだ」


「はい……では登録しておきました。明日の朝、こちらまでお越しください。レンガさんはまだ馬車はお持ちではないですよね? 職員がお送りいたします」


 馬車か。旅をするならいずれは必要だよな。このクエストが終わったら考えておこう。ハド爺にも相談しなくちゃな。



「サン、ルナ。明日クエストを受けるんだが、お前らも来ないか? 命の危険はないようだから安心していいぞ」


「ほんと? やる! でも闘いもやりかたったな。けっこう私たち強くなったんだよ」


「これでお兄さんの力になれます」


 二人はハド爺のもとで成長したようだ。気のせいか背もだいぶ伸びたようだ。うん、というか昨日より明らかに伸びてないか?


「なあなあアネモネ、サンとルナの背がだいぶ伸びているんだが俺の気のせいじゃないよな?」


 アネモネはあきれたようにため息をつきた。


「彼女たちは獣人でしょ? 獣人は人と成長の仕方が違うのよ。二人の場合は徐々に成長するのではなく定期的に一気に成長するようね。2年分くらいかしら?」


 よく見ればサンは胸も大きくなっている。昨日まではAのはずだったのだが、今は俺の見立てでは確実にBはある。ううむ、成長期恐るべし。このままだとDくらいにはいくんじゃないか? ルナは…残念だったな。まだ成長する可能性はあるからあきらめるんじゃないぞ。


「なんか、兄ちゃん胸ばっか見てないか?」


「私、ダメな子です。これじゃあお兄さんを満足させられません…」


「いやいや。む、胸なんて見てないって! ルナ、胸のことなんかで落ち込むな! このまま大きくなったら美人さんになれるぞ。すでにこれだけかわいいんだからな」


「お兄さん…」


 ルナは嬉しそうな顔をし、すぐに鋭い目つきになった。


「胸のことなんかって、お兄さんは何もわかってません!」


 俺はまた何か間違えたらしい。アネモネ助けてーという目でアネモネを見るが、


「義妹のことをそんな目で見るなんて…軽蔑したわ。」


 冷たい目で見下ろされていた。

 いや、だから誤解だって。


「私のことを見ればいいのに…」


「ん? なんか言ったか? てか、そんなことより、明日のクエストだ!明日は早いからな。早めに寝ておけよ。アネモネはジニアのことを頼む。おそらく二日ほどかかると思う。」


 全員しぶしぶといった表情でうなずき、アネモネはジニアとともに部屋へ帰って行った。俺、男一人で寂しいよ。誰にも理解されない…。





 職員の馬車で着いた場所は草原で、『家』はそこにポツンと建っていた。『家』はなんというか、家だった。この世界の一般的な家のようだ。2階建てで、庭付き、屋根には煙突がついている。俺のもといたサラリーマンの夢であるマイホームそのものだな。


「では二日後にまた迎えにきます。もし早くでられた場合はお仲間が知らせにくるということでよろしかったですか?」


「ああ、『伝』を持つ仲間がいるからそのときはそいつからギルドに伝えてもらうようになっている」


「それではご武運を」



 『家』の内装は外見通り普通の家であった。キッチンや風呂、寝室がある。俺たちは手分けして攻略の手がかりを探すことにしたんだが…サンとルナは真面目に探してるのか? 俺には探検ごっこをしているように見える。まだまだ子供だな。まあいい。今回は二人の息抜きなんだ。無理して攻略する必要もない。どれ、俺も混ぜてもらうか。


「俺もその探検ごっこに入れてくれよ


「兄ちゃん、これは遊びじゃないよ!私たちは真面目に家の中を見てるんだよ」


「私たちをいつまでも子供扱いしないでください。いくら私の胸が小さいからって…」


 おっと、怒られてしまった。ルナ、だからそれはもう言うなって。きっと大きくなるから。しかし、これ真面目に探してるのか? 俺は二人のあとをついていき、二人を見習って家中を見て回った。そしてわかったことといえば、


「普通の家だな。俺にはなにもわからなかった。二人はどうだ?」


「私たちも何もわからなかった。それよりお腹減ったよ。兄ちゃんなにか夕飯ある?」


 おい、真面目に探してるはどこいったよ。夕食か、俺も二日分の食料は持ってきているが、さっきキッチンで見た冷蔵庫にも食料は入っていたな。『毒』の力で食料に異常はないことはわかっている。これで何かつくってみるか。


「冷蔵庫のものでなにかつくるか。そういえば二人は料理はできるのか?」


「すいません、二人とも料理は…」


「なら、俺と一緒につくらないか?俺も特別うまくはないが、人並みにはできる。将来のことを考えて料理はできておいた方がいいぞ」


「将来…お兄さんとの将来…わかりました! やります!」


「私もやってみる!」


 かくして俺の料理講座は始まったが、俺のレパートリーもそこまで多くない。今日は無難に肉と野菜を炒め、余った野菜の出汁と卵のスープをつくり、冷蔵庫にあるパンを焼き食べた。二人の包丁さばきははじめこそ危なっかしかったが、段々と上達していった。


「ふたりともご苦労さん。では、食べようか」


「うん!料理って難しいけど楽しいね。兄ちゃんと一緒に何かできるし」


「私も、お兄さんと一緒に何かをするのはとっても好きです!一緒にキッチンに立ってるなんてまるで…」


 二人ともご満悦のようである。ルナはよくわからないことを言っているが嬉しそうでなによりだ。俺でよければいつでも一緒に料理をしよう。



 食事の後は二人に先に風呂に入ってもらった。二人とも俺と一緒に入りたいと言ってきたが、さすがにもう無理だ。成長したの忘れるなよ。特にサン、お前はもう一部が大人に近づいてるんだ。俺はロリコンではないとはいえ、何か間違いがあってみろ。それがアネモネにでも伝わったらどうなるかわからん。ハド爺に伝わったら殺されるかもな。


 風呂に入った後は三人で会話をし、二人が眠くなったところで就寝した。ここまでくるとクエスト中で漢字の中にいる実感がしない。俺も不思議と緊張感はなくすぐに眠ってしまった。





 俺は夢を見ている、それがわかったのは俺が周囲に認識されていないからだ。

男たちは部屋中を荒らし、携帯食料を食べ、座って眠っていた。それを二日繰り返し、三人は追い出されていった。

 この夢はなんだ。過去のことなのか? 

 お、ハド爺らしき人がでてきたぞ。ハド爺を40年若くした感じのその男は他の男達と違い乱雑さこそはなかったが、常に警戒していることは見て分かった。しかし若いなハド爺。結局ハド爺らしき男たちも何もできなかったようで『家』から追い出されていった。

 最後に俺が見た夢は俺たち自身だった。それは家の中で探検しながら遊んでいるように見え、ともに夕飯をつくり、風呂に入り、会話をし、寝る。今までの夢と違い、笑顔があり楽し気であった。夢はそこで終わり、俺は目を覚ました。


「なんだったんだ、あの夢は……て、家は? というか『家』はどこにいった?」


 俺たち三人は草原で寝ていた。追い出されたのか? だが、あと1日あるはずじゃ?


「おめでとうございます!あなたは『家』を所有しました!」


「…え?なんで⁉俺たち何もしてないぞ?」


「しょうがないですねえ、説明しますよ。」


 神の声がきこえた。やっぱ、今までのこの声もあんただったのか?


「いえ、あの声は別の神なのですが、今回はレンガさんも混乱するかと思い、私が出張ってきました。まず、レンガさんは家というのはどのようなものだと考えていますか?」


 どういう質問だ?意図がわからないが。


「家ってのは帰ってくる場所であり、生活するところだろ?」


「はい、そのとおりです。なら、レンガさんが夢で見た人たちは『家』がつくりだした家で生活していましたか?」


「……してないな。そうか、俺たちはあの家で飯を食べ、ベッドで寝た。それが攻略条件か」


「付け加えるなら心のそこから家の生活を楽しめているかもです。決して家で窮屈な思いをしてはいけない。『家』はそれを教えるために意思を持った漢字でした。レンガさん、漢字にもいろいろあるんですよ。悪の心を持った漢字が多いですが、群れを守るため、人々を守るために存在する漢字もいます。それを忘れないようにしてください」


 そう言い残し神の声は聞こえなくなった。

 一筋の風が吹いた。


『ありがとう』


 『家』の感謝の言葉が聞こえた気がした。もしかしたら風の音なのかもしれないが、あの夢を見る限り、俺たちのような者を待っていたんだろう。


「ほら、起きろ二人とも。どうやら『家』は攻略したようだぞ」


「ん~もう終わり?」


「なんか不思議な夢を見ました。それと、ありがとうって誰かが言ってるのがきこえました」


 どうやら俺の気のせいではなかったらしい。


「アネモネに連絡して帰ろう。今日は二人の初クエストクリアのお祝いだ」


「やったー。私お肉がいい!」


「私も、おいしいお肉が食べたいです」


「昨日食べたじゃないか……って、野菜を中心にしたから足りなかったか?」


 この漢字は二人がいなかったら攻略できなかったな。俺は二人の純粋な笑顔を見てそう思った。



少し長文になってしまいました(私にしてはですが。これ以上はちょっと…)

ケモミミ娘とお風呂は私なら入っちゃいますが、みなさんはどうなんでしょうかね。

明日も投稿できたらいいなー

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