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2話 初バトル?

 森を抜けないことにはどうしようもないな。 

 このまま森の中をいつまでもうろついているわけにもいかない。

よし、優先事項を確認しよう。

1.自分の能力を確認

2.森を抜ける

3.目的を決める


 1については当てがある。こういう異世界転移系でお馴染みの能力である『アイテムボックス』と『鑑定』だ。中学のときに読んでたラノベででてきたな。

 まずはアイテムボックスからだ。…念じてみるか。


「(開け、アイテムボックス)」


 意識の中に俺が持っているアイテムの有無が分かるようになる。

 まあ何も持ってないんだけどな。アイテムを入れるのも同様に念じればいいみたいだ。

 試しにその辺に転がっている小石や木の枝を入れてみた。どうやらかなりの数が入るようだ。

 次はこの小石でも鑑定してみるか。これも念じてみようか。


「(小石を鑑定)」


 念じる。


「……」


 念じ続けて約1分後、ようやく小石の情報が頭に入ってきた。


――小石:投擲武器 攻撃力2――


 ……まあ小石だしな。木の枝も似たようなものだった。

 しかし、1分か。長いと見るか短いと見るかまだ分からないが、もし闘うとなったときにこの1分を相手は待ってくれるだろうか。

 いくつかの実験をした後、分かったことがいくつかあった。

 一つ目は1分間、対象から視線を外してはいけないようだ。30秒ほどたった時に小枝から目線を外してしまったとき、また1分間経ってから小枝の情報が入ってきた。

 二つ目は同じものならまとめていくつか鑑定できるようだ。小石と小枝は同時に鑑定できなかったが、小石を3つ、4つ並べてでも鑑定できた。10個以上鑑定したら情報が多く少し頭が痛くなってしまったが。

 神が言っていた能力はこの二つとは別なんだろうか。確かに便利だとは思うが、これだけでは生きることはともかく、敵に出会ったときに勝つのは難しいだろう。

 



 2の森を抜けるは歩いていればそのうち抜けられるだろう。まさか呼んだ神もそんなに奥深い森に召喚したわけないだろうし。


 3の目的は森を抜けてからだ。街に行ってからだな。仲間をつくって旅をするのもいい。


 

 俺は森をひたすら歩いた。とにかく歩いた。

 5時間ほど歩いたところで辺りが暗くなり始めた。

 夜の森は危険だろう。夜行性の生き物がいるかもしれないし、道が見えなくて転倒する可能性もある。異世界でも同じかは知らないが。

 半日ほど何も食べていなかったせいか力が上手く入らない。何かその辺に食べるものでもないかな。


「ギィッ」

 

 食べ物を探していたらネズミが飛び出してきた。大きく汚いドブネズミみたいなやつで噛まれたら変な病気を貰いそうだ。

 ネズミか……焼いたら食べられるかな?俺は空腹のせいか変なことを考え始めていた。……後で猛反省したわ。病気持ってるか言ってるのに食べるとかな。


「うおっと」

 

 突然ネズミがこちらに突進してきた。案外すばしっこいな。

 足元を走り抜け、時折飛び跳ねてくる。長ズボンを履いているとはいえ、それだけでネズミの歯を防げるとは思えない。

 しょうがない、降りかかる火の粉は振り払うだけだ。

 俺は歩いている間に集めた大量の小石をネズミに投げつけた。


「ギィィッー」

 

 投げた小石のいくつかがネズミに当たったようでネズミは頭から血を流して倒れた。どうやら死んだようだ。


「ふっ、虚しい勝利だな」

 

 本当に虚しかった。ただネズミを殺しただけなのにかっこつけてしまった。

 殺してしまったことだし焼いて食べるか。

 幸い火の起こし方は知っている。いつ無人島に行っても大丈夫なように勉強しておいたあの頃。まさか役立つなんてな、中二病万歳だ。


「ん?」

 

 ネズミが光りだして宙に浮き俺に近づいてきて、そしてそのまま俺の中に入っていった。なぜか俺に抵抗や避けるという行動はできなかった。


「え?今日の夕飯が⁉」

 

 いや、マジで死活問題なんだけど。


「おめでとうございます!あなたは『鼠』を所有しました!」

 

 あの神のような中世的な声が頭の中に響いた。

 ああ、これが意思を持った漢字だったのか。なんか大事のはずなのにあっけなく終わったな。


 

 漢字よりも今はこの空腹をどうにかしなければ。もとよりあんなネズミ一匹で腹が満たされるはずはないと考えていたが、ないよりあったほうがましだった。

 お、あの辺に何か実ってるな。一口かじってみると甘さは少ないが、実が詰まっており、おいしい。その辺の果実や木の実などを食べて腹を満たして寝ることにするか。


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