17話 デート?
「ふんふふ~ん」
アネモネはだいぶご機嫌なようである。そんなに欲しいものがあったのだろうか。
買い物に行こうと言った翌日、俺はアネモネに連れられて街へと出ていた。
旅に出るときに必要な物資の買い出し。そのついでにアネモネに服の一つでも買ってやろうと思っての発言であったが、どうやらアネモネは服を見に行く方をメインイベントと考えているようだ。
いや別に、俺の選んだ服はどうにも受けが悪いようだから自分で選んでくれるのならそれはそれでいいのだが……。
しかし、買い物は良いがそれよりも先にもっと大事な用事を済まさないと。
俺たちはまず漢字の適正を調べに大聖堂へ向かった。最初に適正を調べて後でゆっくりと買い物をしようという魂胆だ。
ジニアは意識を取り戻さないと分からないが、アネモネは10年前に魔法の適正と一緒に漢字の適正を調べたようだ。そのときに『別』の保漢者になったのだとか。
10年経っているなら新たに漢字に選ばれる可能性は十分にある。
漢字を所有して弱くなるという事は無いだろう。適性を調べておいて損はない。『毒』を倒したことにより金はあるしな。
意識はないが、手を引っ張れば歩き出すし、ジニアを連れて行っても大丈夫だろう。
「いらっしゃいませ。漢字の適正を調べに?」
「ああ、この二人を頼む。それと、こっちの娘なんだが、精神消失で反応ができないんだが、それでも大丈夫なのか?」
俺が適性を調べてもらったときは漢字が俺に吸い込まれるような感覚があった。もし、
「はい。適正があった場合には鑑定で確かめられるので大丈夫です。ではお先に20万エンを。…はい、ちょうどお預かりいたしました。では、お二人はあちらにお越しください」
「わかったわ」
アネモネと職員に連れられたジニアが部屋へ案内されていく。
30分ほど例の豪華な部屋で待っていると、アネモネとジニアがやってきた。
「やったわ!『伝』という漢字の適正になったわ!」
「『伝』は遠く離れた相手との意志疎通ができる漢字ですよ。前任者はギルドの職員でしたが、昨年病気で亡くなったようですね」
職員によると連絡手段としては優秀な能力を持つ漢字のようだ。極めれば国を離れようとも、山を海を隔てようとも連絡をすることができる。
これなら旅ではぐれたときでも連絡をとることができるな。しかし、『別』と『伝』か。アネモネは集団戦で力を発揮してくれそうだな。
ジニアのほうはどうなんだ?鑑定すれば見れると言っていたな。
-ジニア-
所有漢字:『運』『狼』
所有スキル:なし
状態異常:精神消失
お、『狼』が増えてるな。動物型の漢字か。俺のフォルと同じようなものか?
--(名前を決めてください)『狼』
所有スキル:狼群
-狼群-
狼のリーダーを召喚する。召喚されるのは一匹だけなのだが、リーダーを慕う群がついてくる。一匹一匹に知性と命があるため、狼が死ぬごとに群れが減っていく。闘いの後に生き残る狼が多いほど、次回の群れは大きくなる。
フォルとは別の形で狼の群れがでてくるみたいだ。そういえばまだジニアの強さを知らないんだよな。あと一週間と少しくらいだ。少しでも早く良くなって欲しいものだ。
大聖堂をでるとジニアのお腹からくぅ~と音がなった。俺はアネモネと顔を合わせると、くくっと笑った。
「昼飯にするか。さっき待っている間にこのへんの飯屋はひととおり調べた。何か食べたいのはあるか?」
「じゃあ、野菜を使った料理がいいわ。さっぱりとしたやつね」
昼食に選んだ店は野菜を使った麺料理を出す店であった。俺はトマトみたいな酸味のあるラーメンのようなものを、アネモネとジニアは野菜たっぷりのスープを選んだ。デザートには果物がふんだんに使われたパフェであった。サンとルナが聞いたら羨ましがりそうだな。……何か土産を買っていくか。
「あの子たちならたくさん食べられるものがいいわね」
アネモネに教えてもらい、お土産用のクッキーの袋をいくつか購入した。安価であり数が多い。確かにたくさん食べるあの2人なら喜ぶだろう。
俺たちはそのまま昼飯を食べた後、服やアクセサリーをみながら街をめぐった。アネモネもジニアも素材は良い。俺は服のことはわからないが、二人の服を選ぶのは楽しかった。
「だから、なんでそんなに変な服を選ぶのよ!蛇柄の服なんか着ないわよ!」
えー、似合うと思ったのに。俺たちは夜になるまで買い物を楽しんだ。
作者にデートはわからないので、省略します