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16話 新たな能力

 ハド爺との会話の中に漢字について話題が上がった。


「お主なかなか酒に強いのう。儂とここまで飲める者はいままでおらんかったからうれしいぞ」


「これは俺の『肝』の能力だ。毒をなくしてくれる」


 酒に酔うことはないが、場の雰囲気に酔ってしまったのだろう。俺は普段は自分からは口にしない自分の漢字を話していた。


「そいつはうらやましい能力じゃの。いくら強くても毒で死んでいった者はたくさんおる。死ぬ可能性がひとつなくなることはそれだけですごいことなんじゃ」


 確かに俺のもといた地球でも毒殺された歴史上の人物は何人もいたな。


「お主は他にも漢字は所有しておるのか?」


「2つあるな……いや、『毒』もあわせて3つになったな」


 そういえば『毒』の能力を見てないな。やはり毒を作り出す能力なんだろうな。物騒な能力ではありそうだが、同時に頼もしく思える。やはりあの『毒』の闘いを間近で味わったからだろうか。



――どく――『毒』

所有スキル:毒生成 ??? ???



――毒生成――

あらゆる種類の毒を作り出す。毒の強さは保漢者の強さに応じて変化する。




 ……やはり毒か。


「……毒をつくる能力のようだな」


「ふむ、毒か。使いようによっては仲間をも傷つけるかもしれん……いや、それはどの能力でもそうか。剣だって味方に振れば味方が傷つくようにの」


 そうだな……『毒』に限らず、俺の持っている剣だって何があるか分からない。これから先所有するかもしれない漢字でだって味方を巻き込んでしまうかもしれない。

 もしそうなったら……俺はきっと耐えられないだろうな。使いこなせない能力なんていらないと思ってしまうだろう。


「もう一つの能力は何なのじゃ? 初対面のときにネズミのような動物を出していたじゃろ?」


 ああ、そういえば『鼠』もだった。漢字としてよりはペット感覚だから忘れていた。

 誤魔化す必要もないだろう。ここまで話してしまっているんだし。俺は観念してフォルを呼び出した。


「フォルだ。漢字は『鼠』だ」


 俺の肩を昇り、ハド爺の顔と同じ高さでフォルが挨拶をするかのように頭を下げる。あるいは生物の本能で強い者に畏まったのかもしれないが。


「ほう、こいつが噂の『鼠』か。儂も駆け出しのころは何匹か狩ったぞ」


 ハド爺の若いときか。想像つかないな。

 無理に想像してみれば、瞬時に数匹の『鼠』が消し飛ぶ様が思い浮かんだぞ。


「それでじゃ、お主は漢字を組み合わせるということは知っておるか?」


「なんだそれは?聞いたことがないな」


「まあ、そうじゃろうな。そもそも漢字を二つ以上持つ者が少ないうえに組み合わせわれる漢字の相性もある。そうじゃな、お主の『鼠』のフォルに『毒』を使ってみよ」


 使うって簡単に言うが、どうやるんだ?


「難しく考えるな。使おうと思うだけでよい」


 試してみるか。


「『毒』」


 すると、フォルの全身が薄紫色に変化した。紫といっても鮮やかできれいな色だ。


「どうやら成功のようじゃな。これがなんの毒かはわからんが、お主の任意でできるはずじゃぞ」


 俺も感覚的に麻痺毒などに変更できることがわかった。これで戦略的にいろいろできそうだ。


「ありがとう。ちなみにハド爺の漢字はなにがあるんだ?」


「儂のか。お主はどこまで鑑定できておるんじゃ?」


「残念ながら3つ所有していることくらいしかわからなかったな」


「そうか、なら2つだけ教えておこう。儂の漢字は『指』と『流』じゃ。儂はこの2つを組み合わせることで攻撃を受け流しておる」


 『指』と『流』か。『指』はともかくとして『流』って想像もつかないな。

 意味は分かるけど、使い道が分からないって感じだ。


 受け流すっていうのも『流』という漢字を所有してみなければ分からないことなんだろう。俺が感覚で『鼠』や『毒』を使ってみせたように。


「だからあのとき、すべてのフォルがハド爺をすり抜けていってるように見えたのか」


 あのときのからくりはわかった。しかし、あと一つはなんなんだろう。


「最後の一つはな、まだ教えられん。じゃが、一つだけ言っておくとこの漢字があるから儂は頼まれ屋になったのじゃ。これがなければまだ普通に冒険をしていたかもしれんな」


 ますます気になるな。


「まあ共に旅をすればいつか知るときがくるじゃろ。サンとルナの稽古もあと少しか。あの二人はなかなか見どころがあるぞ」


 そうだったな。俺はサンとルナ、アネモネとジニアの4人とハド爺とクエストを受けながら旅にでるんだったな。俺はいつしかハド爺が旅にきてくれることに頼もしさを覚えていた。



 明け方になりサンとルナを起こすと二人をそのままハド爺に預け俺は一人宿に帰った。

アネモネは心配そうな様子でこちらを軽く睨みつけていた。まあ数日前に命がけの闘いをしたんだもんな。いなくなってたらそりゃ心配するか。一言いえばよかった。


「レンガさん! いったい何処を――」


 何か怒られそうだったので急いで頭を下げる。


「すまない、お詫びに明日、街で何か買い物でもしよう。丁度アネモネとジニアの二人の漢字と魔法の適性を見たいと思っていたんだ」


「買い物? ……まあいいわ。それで許してあげる」


 どことなく嬉しそうなのは気のせいだろうか。金はまだ残っているから明日は贅沢させてやろう。うまいものでも食べれば機嫌もなおるだろう。そう考えてのことだったが、効果はあったようだ。

 少しづつ旅の準備はできている。ジニアの意識が戻り次第……いや、それよりも先に準備が出来れば旅に出られるだろう。


あっぶねえー

ctrとzで消えた文章戻せるんですね。知らなかったです。危うく2時間無駄にするところだった(汗

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