10話 魔とは
朝食を食べ終えた俺たちは武器屋に向かった。二人の装備と俺の武器を買いにだ。
「お、昨日の兄ちゃんか。どうやら仲間ができたみたいだが、こんなちっこいのか?獣人なら身体能力はそれなりだろうけどよ」
「色々あってな、もうこいつらは俺の家族みたいなもんだ。それに二人は『矛』と『盾』の保漢者だからな。これからどんどん強くなるぞ」
「ほう、そいつは楽しみだ。となると、二人には良い武器と盾を買ってもらわなきゃな。兄ちゃん…ええと、名前なんだっけか」
「レンガだ。こいつらはサンとルナ」
「よろしく、おじちゃん!」
「よろしくお願いします、おじさん」
「おいおい、俺がおじちゃんかよ。もうそんな年か」
親父は遠い目でどこかを見ている。見た目はもう40近いからもうおじさんだろう。俺も二人におじさんと呼ばれる日が来るのだろうか。
いや、来させないぞ!絶対に兄と呼ばせ続ける!
「サンには槍を、ルナには盾を頼む。俺はこのままこの剣を買い取る」
「わかった。この店でもそれなりのものを持ってこよう。鉱石とか持ってきたらそれを素材にして作ることもできるんだがな。魔物もたくさんいるんだ。武器の手入れには気を付けないとな」
「魔物ってどんなのものなんだ?まだよく知らないのだが」
「魔物は『魔』の漢字が産み出した生物だ。そういばこないだ、『鼠』が倒されたらしいな。それと同じだ。『魔』の大元である魔王を倒さない限り、魔物は増え続ける。しかも、たまにとてつもなく強い魔物を産み出すんだ」
もう『鼠』が倒されたことが知られているのか。実は俺なんだって自慢してやりたい。
「へえ、近くの森にもいるのか?」
「ああ、数は多くはないが確認されてるな」
よく会わなかったな俺。あのときは近くに『鼠』がいたからなのか?
「よし、槍はこの中から好きなのを選びな。盾はこの中からだ」
……ううむ、俺が見ても何が何だかよく分からない。
「サン、この槍なんかはどうだ?長いから遠くの相手でも届くんじゃないか?」
「ああ、それは嬢ちゃんには少し長すぎだな。こっちの方を持ってみろ」
「あ、この槍振り回しやすい!これにする」
「ルナ、この盾は軽いから持ちやすいんじゃないか?」
「この盾は薄すぎてちと耐久性に不安があるんだ。嬢ちゃんにはこっちのほうがいいんじゃないか?」
「そうですね。こちらのほうがしっくりときます」
……もうこれ俺いらないよね。
二人の武器は親父に選んでもらおう。俺は隅っこで大人しくしていよう。
しばらく待っていると二人の武器が決まったようだ。
「兄ちゃんも、その剣は同じやつは何本かあるから予備も買っていくか?槍も盾もそうだが、戦闘中の武器の破損は避けてくれ」
「わかった。なら俺たち三人の武器をもう一つずつ。それと、防具なんだが、どうすればいい?親父に任せるよ」
「ふーむ……そうだな。二人の特性を生かすようにしたいが、嬢ちゃんたちは速さと力、どっちが優れてるんだ?」
と、俺に聞かれても俺もまだよく二人の身体能力がどのくらいなのか分からないんだよな。
しかし二人の様子を見る限り速さであろう。猫だし、すばしっこいイメージがある。
「足なら速いよー」
「あんまり重いものは持てないです……」
二人の返事を聞き親父は
「じゃあ兄ちゃんみたいな軽装備のほうがいいな。なるべく丈夫な素材で軽いものを選んでやるよ」
と、親父は店の奥に入って行き、しばらくしてから戻ってきた。
「こいつは昔、間違って発注してしまったもんなんだがな。見ての通り、小さくて売り物にならなかったんだが、嬢ちゃんたちなら問題ないだろ」
親父が持ってきたのは小さい毛皮でできた皮鎧であった。
「お、ちょうどいいみたいだな。素材も少しだがドラゴンの鱗が使われていて質は良いんだが、小さくて買い手がつかなかったんだ。4つあるから全部買い取ってくれるなら3つ分の値段で良い。どうだ?」
「全部でいくらになるんだ?」
「そうだな少し高くなっちまうが、これでどうだ?」
親父が示してきたのはギリギリ、今の手持ちでも支払えそうな金額だった。
まあここで渋って命を落とすわけにもいかない。ここは買っておくべきだ。
武器屋で二人の装備を買ったあと、宿屋に戻った。これから奴隷商のザザの使いがくるはずだからだ。
しかし、二人増えるとなると、さらに宿の部屋を借りなくてはならないな。残りの金は10万エンほどだ。一度、ギルドでクエストを見ておかないとな。
短いですが一度、ここで更新しておきます。
授業中に書いていたのですが、そろそろ授業が終わりそうなので笑