第6話 疾く地底を駆け抜けよ
「待て」
声が、響いた。
地下坑道は、断続的に揺れている。天井から、パラパラと岩の細かい欠片が落ちてくる。時々、遠くから甲高い咆哮が、かすかに響いてくる。
ウィルマーが、伝令管の放送を聞いて走り出した瞬間だった。岩壁に思い切りぶち当たったような衝撃が、肩に走る。ウィルマーは、少したたらを踏んだ。
「ウィルマー、おめぇどこ行くつもりだ!」
親方だ。親方が、肩を掴んでいた。肉厚の太い指が肩に食い込む。ウィルマーは、ぐっと歯を食いしばると、思い切って親方を見上げる。目がかち合った。
「止めないで下さいッ……!」
親方は、いつもより険しい顔をしていた。眉間に谷のような深い皺が寄っている。
「おめぇ、どこへ行くつもりだ」
もう一度、静かに問うように親方の声が響く。坑道の揺れが、徐々に大きくなっていた。
ウィルマーは、視線を外さない。じっと親方の目を見続ける。睨みつけているのではない。決して、折れないという意志表示だ。親方の強い視線に、負けじと眉間に力を入れる。
「……探していたものが見つかったんです。昔から、どこを探しても見つからなかった。今、それを手放したら絶対に後悔する。だから──ッ」
ドン、と肩を押された。思わずウィルマーは尻餅を着く。
『おめぇが行って何になるんだ! ガキが! どうせ年神のところへ行こうとしてたんだろ!』
――そう、怒られると思っていた。ぎゅっと目をつぶっていたところに降ってきた言葉は、
「……持っていけ」
という、無骨だけれども、優しい言葉だった。
座り込んでいるウィルマーに、親方が、革袋を投げて寄越す。慌てたウィルマーの手の中に落ちてくる革袋は、使い込まれてすり切れた、古いものだ。掴むと、中から鉄のこすれる音がする。
革袋を開けると、そこには、革鞘に仕舞われた短刀があった。
〝引き抜いてみろ〟と親方が顎をしゃくる。
指示通りに短刀を鞘から抜くと、現れたのは、銀河を詰め込んだような、深い青色の刀身だった。
「これは……?」
「旅の鍛冶師が作った精霊刀だ。女だてらに汗と炭にまみれてなあ。そいつが作った生涯最高の傑作よ。……持って行け。道具は使われてなんぼだ。幾らかは、ひょろっちいお前の腕力の足しにはなんだろう」
ウィルマーは、口を引き結ぶ。なんとなく分かった。この精霊刀は、決して旅の人にお近づきの印で貰ったものでは無いと。その鍛冶師の話をする親方の顔が、とても優しく、どこか寂しそうな少年のような表情をしていたからだ。
きっと、思い出の詰まった持ち物なのだろう。革袋の感じからもよくわかる。年数を経ているが、よく手入れをされている代物だ。
ウィルマーは精霊刀に目を落としたまま、唇を噛む。
ほんとに、こんなものを貰ってしまっていいんだろうか。よそものの自分が。怒鳴られてばかりの自分が。こんな、大事そうなものをゆずり受けるわけには――。
「――うるせぇ! オレはまどろっこしいのが嫌ぇなんだ! オメぇにやるっつってんだ、さっさと持っていけ! あぁ!?」
貰えないと、資格がないと、開きかけた口に、雷が落ちた。その剣幕に、背筋がしゃんとした。認めてもらったのなら、受け入れないと失礼に当たる。
ウィルマーは立ち上がり、言う。
「……ありがとうございます」
ぐっ、と皮袋越しに、精霊刀を握り締めて、腹から声を絞り出す。
「ありがとうございますッ!!」
脳みそが揺れるんじゃないかと思うぐらいの勢いで頭を下げるウィルマー。
赤い髪が、火花のように舞った。
「チッ、いっちょ前に男らしくなりやがって……。探し物、見つけて来いよ」
「はいッ!」
頭をあげたウィルマーは、親方と拳をぶつけ合う。ゴツゴツとした親方の拳は、温かかった。
親方が、こんな大事そうなものをくれた理由はわからない。でも、若く青く、みっともなく必死になる自分に、何か思うところがあったのかもしれない。
人間とドワーフのハーフで、偏見の目に耐えながら今の地位に付いた。その苦労は、どれほどのものだっただろう。
そんな感傷と、拳をぶつけ合った痛みを抱きながら、ウィルマーは、もう一度走り出す。火土竜のいる五十二番坑道へ。
「おい、ヤバいぞ! 逃げろ!」
という怒鳴り声が、周りから聞こえる。
吊り下げられているカンテラが、キィキィと音を立てて揺れている。最早、一刻の猶予もならない。
――なんとなくその時、自分はもうこの場所に帰って来れないんじゃないかという予感がした。
だが、そうなっても仕方が無いだろう。人生、変わるときは何もかもが一遍に変わるものだ。
「ウィルマー、これだと思ったものからは、ぜってえに手を離すんじゃねえぞ!!!」
「はいッ」
親方のがなり声を背に受け、ウィルマーは、走る速度を上げた。
◆
逢咲 映は、満身創痍だった。制服のすそは焦げ、破け、髪は乱れていた。こんな姿を誰かに見せるのは、有り得ないことだ、と映は思っていた。
いつも、涼やかに、スカートの折り目はきっちりと。それが、映の矜持だった。しかし、それは中々上手くいかないものだ。
つまらないことで乱れ、ほつれ、壊れてしまう。あの時も、今だってそうだ。
すぐそこの地面には、男の亡骸が転がっている。
映は、血の付いた石を放り投げる。堅い岩肌にぶつかって、カランカランと空疎な音を立てた。
そのおぞましい行為の残滓を、少しでも遠くにやりたかったのだ。
背もたれにしている大岩は、ひんやりと冷たく、辺りは灯りもなく暗い。まるで、今の映の心象風景のようだった。
遠く向こうからはまだ、シューシューと怪物の鳴き声がする。
血の匂いを追ってきたのだろうか。
今の映に出来ることと言えば、岩陰で息を潜めて、身体を小さく丸めることぐらいだった。
さっき石を投げたことで、気が付かれたのだろうか。少し、気が動転していたのかもしれない。どこかしらじめっとした洞窟内に、気分まで絡め取られないように、映は、必死に頭を巡らせていた。
なぜこんなことになっているのか。話は少し遡る――。
◇
祭司連盟だかなんだかの兵士に連れられて、地下洞窟の探訪をしていた。
通訳の人間らしき男が色々と話し掛けてくるが、何を言っているかのはさっぱりわからなかった。
こちらからも何か言ってみるが、話しかける度に分厚い辞書をめくっている。そんな人間が内容を解っているとは、到底思えなかった。
こんなことなら……、と映は思うが、頭を振る。一人でいるのには慣れている。
通訳の男も諦め始めた頃……、一行は、何やら大きなトカゲの群に出くわしてしまった。
三メートルほどの大きなトカゲを筆頭に、脇には人間の大人程度のトカゲが二匹、辺りには子供らしきトカゲが何匹か。
その時はまだ、どうにかなるのだろう、と映は思っていた。
これが魔物の類であれ、正規の軍隊として動いている兵士たちが、そうそう遅れをとるほどのものではないだろう、と。
しかし、練達の兵士達は、ざわめいた。そして――、あろうことか壊走したのだ。
そのトカゲは、火を吐くトカゲだった。兵士たちが装備する小さなラウンドシールドでは、到底防ぎきれるものでは無い。
そもそもが、脅かされることの無い旅路のはずだったのだ。これから福音をもたらすであろう神を襲う不敬者などいるわけがない。兵士達は、あまりにも軽装備だった。
かてて加えて、兵士たちが装備しているラウンドシールドは木製であった為、防ぐ以前に燃やされ、早々に防御力を喪失する事態となっていた。
多少腕の立つ者は、火を吐かれる前に斬り伏せたりしていたが、多勢に無勢だ。動物に卑怯もクソもない。盾を失ったところにもう一度火炎が飛んでくれば、一巻の終りだ。
『見ていてください、神様! 我々がこの場を治めます!』
とでも言っているのだろうか、なにかこちらに凛々しい顔で叫んでいるドワーフがいる。迷宮案内用に駆り出された若者だろう。勢い勇んでトカゲの群れに飛び込んでいき、あえなく彼も絶命した。首にぱっくりと開いた傷口からは、血が噴き出している。
阿鼻叫喚。その言葉を、ここまで実感する時が来るとは、思ってもみなかった。
何人かの護衛の背に囲まれながら、辺りを見回す。そこは、まさに地獄といって差し支えない戦場だった。
背中を爪で貫かれ、肺を損傷したのだろう。息も出来ずに激しい呼吸を繰り返す者。火炎の直撃を受けたのち、のしかかられ、腹を食い破られる者。
片足を食いちぎられ、必死に逃げるも、火炎の餌食になる者。目を背けたくなるような光景がいたるところで繰り広げられている。
映は、唇をかみしめた。
「【私は……こんなことがしたかったんじゃない……】」
一人の護衛と通訳の男と共に、映は、その場を離れることが出来た。しかし、無事に逃げ延び、落ち着いたところで、護衛と通訳の男の言い争いが始まった。
何を話しているのかはさっぱりわからないが、通訳の者が半狂乱で取り乱しているのはわかった。『冗談じゃない!』とでも言っているのかもしれなかった。
やがて、不意を突かれたのか、護衛の者が腹を刺されて崩れ落ち、通訳の男がこちらにやってくる。目が血走っていた。何事かわめき、刃物を振りかざしながら、通訳の男が迫って来る。
組み伏せようと、そう思ったのがいけないのだろう。細長い学者然とした男といえど、男は男。映は、抵抗むなしく押し倒された。
岩肌の地面にうちつけられた背中に、じんと痛みが走る。
男が血走った目で映の顔をのぞき込んでいる。鼻息が荒い。映の鼻先に刃物をつきつけると、なにごとかを口走る。血濡れた手が、セーラーブレザーの襟元に触れた。
「(ああ、きっと私は〝確認〟をされるんだ)」
その時に、映は思った。
肌を露わにされ、本当に神なのかどうかを確認をされるんだ、と。しかし、そんなもの、結果なんてたかが知れている。
中世の魔女裁判で、魔女じゃないと審判されたものがどれだけいただろうか。人は常に都合の良い判断を下す。後々に、あれは神では無かったのだと言えば、何をしても許されるだろう。
――女に出来ることなら、なんだって。
セーラーブレザーの前開きボタンが弾け飛んだ瞬間。映は、近くにあった石で、反射的に通訳の男の頭を殴り倒していた。
映は、そこらの女子よりは、腕力に自信がある。小さな頃に護身術を習っていたからだ。覆い被さるように迫って来ていた通訳の男が、頭を押さえて仰け反る。
男を蹴り飛ばすと、映は、両手で男の脳天に石を振り下ろした。何度も、何度も――。
◇
映は、満身創痍だった。
振り切ったはずのトカゲの鳴き声が、遠くからまた聞こえてくる。
映にはもう、どうすれば良いのか、わからなかった。
そもそも私は、なんでこんな世界に来てしまったのだろう。膝を抱えて岩陰に縮こまる。
確かに、この先どうすれば良いのかと、何を目標に生きればいいのかと、思うようなことはあった……。
自分が、好きなように振る舞える世界に生きたいと願った。何者にも縛られたくないと願った。でも、それはたった一晩の感傷だ。私は、そんなに弱くない。
次の日には、普通に学校に行こうとしていた。それなのに、こんな世界に来てしまって。
この世界でも神だとは言われたけど、何も思い通りにならなくて。本当に、人生はままならない。こんなことなら、変に癇癪を起さなければ良かった。気持ちを持て余す……。
「──────」
何か人の声が聞こえた気がして、映は、はっと我に返る。
アイツのことが頭を過ぎったが、さすがにそれは虫が良すぎるだろう。悠長に思考の海に潜っている場合ではない。
今までだって孤独に生きて来たし、これからだって同じように生きていく。
隙を見せた時に、人は寝首を掻かれるのだ。
岩陰で耳をそばだてると、ひたひたというトカゲの足音が、徐々に音を増して聞こえて来ていた。
このままここにいても、きっとどうにもならないだろう。鞄はここに来る途中落としてしまって無いが、幸いスマートフォンは、ポケットに入りっぱなしだった。
使うかどうか少々迷ってから、画面を操作し、懐中電灯代わりにライトをつける。足元を取られるのが一番危ない。
三叉路坑道の合流地点にいた映は、元来た方と、音のする方を外して、第三の道に足を向けた。震える足を励まし、なるべく音を立てないように、映は走り始める。
どこかに繋がれば良い。誰かに会えれば良い。
迷宮のような坑道で、無策に動き回ることほど愚かなことは無いだろうが、動かずに取り囲まれるよりはマシだ。
これが元の世界だったら、マップアプリでも開くのだけれど。
そんなことを考えていたからだろう。映は、土色の壁に頭からぶつかった。
「【────っ】」
弾き返され、岩肌の地面に尻餅をついた映が、見上げたそこには────。
小さな隙間から、風が吹き抜けていくような鳴き声。退化して非常に小さくなった目。鋭く伸びた爪。鱗がびっしりと生えた肌。
一軒家ほどの大きさのトカゲが、こちらを見下ろしていた。ちろちろと舌が揺れている。
「【っ、っっ……】」
何の意味も無いと分かりながらも、必死に後ずさる。スマートフォンは、手放さなかったようだが、こんなものがあっても、今はどうしようもない。
トカゲが大きく口を開ける。あくびだろうか? いいや、トカゲの喉の奥に今、ちらりと火が見えた。ドン、と音がして、映は背中に岩肌を感じた。
「【……ぁ】」
言葉を発してしまった。思い出す。火で炙られた後、食らいつかれていた兵士達を。必死に唇を噛んで、凛とあろうとしていた自分が、ガラガラと音を立てて崩れ去って行く音が聞こえる。
爆発したかのような点火音がして、視界が橙と赤色に染まる。
「【……けて……】」
火矢のような勢いで、火球がこちらに飛んでくる。離れた場所でも熱を感じる高温だ。
「【……助けてよ……】」
もう、何も見たくない。
目を瞑れば、何もかもが消えて無くなると言わんばかりに、きつく目蓋を閉じる。
それでも、死の形は明確に入り込んで来る。目を瞑っていても解る明るさだ。
「【────!!】」
スマートフォンを握り締める。小さな太陽のような火球が、映の叫んだ名前をかき消し、ジュっという燃焼音が、坑道内に木霊した。
◆
三叉路坑道には、もうもうとした土煙が充満していた。ウィルマーは肩で息をしながら、精霊刀を構えている。姿勢は、刀を振り抜いた状態。精霊刀を握る手からは、血が流れ出している。
ド、と汗が噴き出して来た。
流れる汗はそのままに、若草色の瞳がギラリと光る。
「(間に……合った……!)」
肩に掛けた学生鞄を地面に落とすと、ウィルマーは、巨大な火土竜がいるだろう方角に正対したまま、ちらりと後ろを振り返る。
坑道の石壁に身体を押し付け、座り込む映が、そこにいた。可哀想なほどに震えている。
やっぱり、やっぱり来て良かった、とウィルマーは思った。何もかもが終わらずに済んだ。
「【映、大丈夫か──!?】」
「【……ィ……マ……】」
「【え?】」
縋るような声が聞こえたような気がするが、火土竜の鳴き声でかき消されてよく聞こえない。
「【っ……、どうしたら、コレが大丈夫そうに見えるのかしら?】」
話始めの声が揺れていたが、気のせいだろう。相変わらずの減らず口だ。髪で顔を隠している映の表情は読めない。
が、少なくとも大怪我はして居なさそうだ。可愛げの無い反応だが、想像の範囲内だ。
「【立てそう?】」
「【……大怪我はしていないわ】」
「【なによりだ】」
「【でもその……、今はちょっと立てないの】」
「【腰でも抜けたの? じゃあ手を貸してあげようか】」
「【ち、近寄らないでっ!】」
珍しく上擦った声をあげる映。
何だ? と思いながら、その時なぜだかウィルマーは、ふと下を見た。
映が足をずらした地面を見ると、太ももの下辺りの地面が、少し湿っているように見える。
こ、これは……。
「【うん、あ、あのごめん】」
見なかったことにしよう。ウィルマーはそう思った。彼女の名誉の為にも、見なかったことにしよう。
そう思ったのだが、どうやら遅かったようだ。
「【……ウィルマー・ジーベック。何故謝るのかしら、何か謝るようなことがあったのかしら? 無いわよね、何にも無いわよねぇ?】」
映の身体から、黒い憎悪の念がゆらゆらと立ち上がっているように見えた。
「【あ、ああ。俺は、何も見てない】」
「【いますぐ記憶を消しなさい──!】」
風鳴りの音がした。
ウィルマーはとっさに身を回し、精霊刀を振りぬく。火花が散り、硬質なもの同士がぶつかる音がした。
爪だ。一本が人の腕ほどもある鋭い爪が、五本、今、ウィルマーの目の前にある。
「名誉だなんだと言わずに、さっさと連れて逃げれば良かったな……」
そうぼやいてもしょうがない。
「【ウィルマー……!】」
「【映は、心配しなくて……良い……!】」
大爪と短刀の鍔迫り合い。鉄の音をかちゃつかせながら、ウィルマーは言い放つ。
しかし、徐々に力で押されつつある。重い。向こうは片腕だというのに、こちらは両腕だ。体重と、膂力の差は、いかんともし難い。
更に、土煙の中からぬっと現れた火土竜の口元には、火が充填されていた。後ろでは、息を飲む音がする。
「シャレになってないな!」
ふいに、大爪と鍔迫り合いをしている刀から声が響いた。聞く物を不安にさせるような、鉄の軋むような声。
『──血ヲ 寄越セ』
「……あぁ」
柄を更に強く握り込む。手の平から流れ出る血潮が、柄頭に埋め込まれた魔石に滴り落ちた。昏く沈黙していた魔石が、鈍く明かりを灯す。蒼き拍動。迸る血は、魔石の周りを廻り、銀河の如く光り出す。
「――我が血を喰らえ。激流にて飛沫を上げよ。其が敵は、今尽く流されん。 決壊せよ――、潭水刀!」
火土竜の口から火炎球が放たれると同時。刀の芯に埋め込まれた棒状の魔石から、波が迸る。その波は、刀身に絡みつくように流れていき、飛沫を上げる水の刀身が完成する。
ずるり、と、大爪が斜めに断ち切られ、地面に落ちていく。大爪を断ち切った勢いで、円弧を引いた水の刀身は、そのまま火炎球を割り裂いた。
暗い洞窟内が爆砕で照らされる。火土竜が、空気を震わせるような呻き声を上げ、たじろいだ。
大爪が地面に落ち、土煙が上がる。精霊刀を振るうと、それさえ霧散した。
「さぁ、行こうか──!!」
周りを遠ざけて、馬鹿にして、諦めて、手を離してしまった過去と。夢と現実の狭間の暗闇で彷徨う今と、未だ見ぬ未来も全部。全部、諦めないと決めた。
誰かに任せて良いことなんてない。俺の人生は、俺が主役だ……! 切り拓くための力なら、今この手の中にある。さあ、映。俺が、お前を護ってみせる――!
●ご挨拶●
お久しぶりです。
イベントとか体調不良とか気分が不良で少し間が空きましたが見せ場ですよ!見せ場!
盛り上がっていきましょう。
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H29.8.26 執筆再開を機に改稿しました。