地獄
雲一つない青空からの日差しが心地よいので、一面熱砂色の戦場へと散歩に出掛けた。
すでに戦争は終わっていたが、変わらずどこかで悲鳴が聞こえる。探すと、砂の大地がすり鉢状になっている部分を見つけた。
アリ地獄だ。
寄って中を見下ろすと、人が這い上がろうと必死の形相でもがいていた。
こりゃもう長くないなときびすを返し立ち去ろうとすると、目の前を巨大なアリの行列が渡っていた。しばらくここからは動けない。
仕方なく人地獄の惨劇の続きを見物することにした。
助けてくれともがく姿を見ながら、いつものくせで額の一角をなでる。
おしまい
ふらっと、瀨川です。
自ブログに発表した旧作品です。
地獄ってのは、必ずしも地獄にあるとは限らないんですねぇ(なんだそりゃ