早すぎる最終決戦
すでに身体の感覚はない、立っているのか、倒れているのか、目は開いているのか、ナニモワカラナイ。
最後に残った魂だけが、俺の意識を覚醒させていく。
喰らえ、奴を。喰らい尽くせ!
一つ目の魔王の力、吸収。
「馬鹿な!異世界の力は封じたはず!?」
「第一段階完了だ!お前の汚ねぇ意識なんざ欲しくねぇんだよ!」
二つ目の魔王の力、反射。
「グゥォォ!?我が力が引き剥がされていく・・・だと?」
力が流れ込んでくるに連れて周りの視界が明確になってくる。
暗い空間に、淡い水色の炎が揺らいでいる。目の前にある炎、これが魔王の今の姿なのだろう。そして、光の玉が俺の周りに六つ浮かび、それぞれから異なる力を感じる。
これが、今までに死んでいった異世界仲間の力なのだろう。
その姿がどうだったか、今の俺には見ることはできないけれど、その思いに答えることはできる。
「貴様を殺して次の生贄を待つ他ない、死ね!虫けらが!」
「うグッ!?・・・いてぇ」
魂を直接締め付けられる感覚、少しづつ意識が刈り取られていくような、不安感。こんな状況で破壊を使えば回復する前に自分の魂が消えてしまうかもしれない。
「オれは、にひゃくネん、生きナきゃ!」
三つ目の魔王の力、催眠。
「なにを!?力が、動かない!?」
催眠は魂に直接効果を与える精神への異能。
魂だけの魔王は動かなくなった自分の力をどうする事も出来ず、俺はすぐに呪縛から逃れた。
「催眠強えじゃん、馬鹿にしてスマンかった」
「オノレ!異世界の人間風情が!我は神になる者、魔王で」
「御託はいい、お前の敗因はただ一つ。・・・想像力の欠如だ」
四つ目の魔王の力。破壊。
「ウグゥォォォ・・・」
魔王の魂はガラスが砕けるように粉々になり、塵一つ残さず消え去る。
これが、異世界にまで迷惑をかけた魔王の、あっけない最期だった。
「・・・終わった、のか?」
その言葉を皮切りに、俺の周りを漂っていた光の玉がふわふわと俺の周りを回り始めた。
前魔王達の言葉を聞く事はできないが、その様子から喜んでくれている事だけはわかる。すると、そのうちの一つが俺の目の前で止まった。
五つ目の魔王の力。回復。
「ところで、魔王なのに回復ってどうなのよ?」
俺の目の前を横切る光、これはトムだろう。奴の言いたい事はなんとなくわかる。
「それは言わない約束だろぉぅ!」
とか言ってくるに違いない。
俺の身体が光に包まれ、元の身体を取り返していく。
ただ魔王の力を取り込んだせいで、身体にどんな影響を受けるか、それだけが心配だ。角や翼が生えたり。目が三つになったりとかは遠慮したい。
徐々に消えていく光達に、最後に黙祷を捧げる。
一度きりの仲間との別れ、願わくば、彼等が元の世界に帰れますように、と。
今回少し短くなってしまいましたが、黒幕が4話目で死ぬとかどうなのよ?
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