話し合い
「と、言うわけなんだけど、メガアルラウネは母親に会いたい?」
僕は、さっきのイヤヌアリオスさんとエユエさんのやり取りを四人に話て、当事者であるメガアルラウネにどうしたいか聞いてみた。
「それは、会ってみたいわ。だけど・・・」
そう言って、彼女は黙ってしまった。
「どうかしたのかい?」
「どうかしたのかい?じゃないわよ!私の姿を今のにしたのは、アストでしょう!」
メガアルラウネは、服の裾を持ち上げながらそう言った。
「ああ、なるほどね」
彼女の言うことも一理あるな。なんせ、メガアルラウネの時は美女だったのに対して、今の彼女の容姿は美少女で、転生前よりも幼くなっているからな。けど。
「多分容姿については、気にしなくてもいいと思うよ」
「どうしてそう言えるのよアスト?」
「向こうは、こっちの戦闘を見ていたし、それに君が母親に直接会ったのは種の時だろう?だから、気にする必要はないと思うよ?」
「そうなのかしら?」
「というか、君が生きてることが大事なんだから、向こうも他のことは気にならないよ」
「そう、そうよね」
これでメガアルラウネの気持ちは決まったな。あとは、
「僕の方はどうするかな?」
あの二人については、仲間になってもいいと思えるんだけど、他のメンバーってどんな人がいるのかな?組織に入るかどうかは、そのあたりを聞いてみてから決めた方がいいな。というか、僕への勧誘って、組織内でどれくらいの人が知っているんだろう?中には、反対の人もいるかもしれないし、返事はそのあたりのことを確認してからの方がいいな。
僕は、そんなことをしばらく考え続けた。
「アスト様」
そんな僕に、呼びかける声が聞こえた。
僕は考えるのを中断して、声のした方を見た。
そこには、心配そうにこちらを見ているオールエルがいた。
「どうかしたのかオールエル?」
「いえ。アスト様が難しい顔をなされていたので、声をおかけいたしました」
「ああ、ごめんごめん。さっき話ことをどうしようか考えてたんだ」
「さっきのと言いますと、アスト様がメガアルラウネ姉様の母親の仲間になる件についてですか?」
「ああ、そうだ」
「アスト様は、どう思っておられるのですか?」
「僕としては、入ってみてもいいかなと思ってるんだけど、オールエルはどう思う?」
「わたくしは、アスト様のご意思に従います。ただ」
「ただ?」
「もしも、アスト様に危険がおよぶのならば、徹底的にその可能性を排除するようにわたくしは行動いたします」
「徹底的に排除って。別にそこまでやる必要はないと思うけど?それに、危険なんて普通にそこら辺に転がっているんだから、気にしだしたらきりがないと思うよ」
なんせ僕の前世の死んだ理由も、交通事故っていう、向こうではわりとよくある理由だったからな。こっちが気をつけていても、飲酒運転に脇見運転。携帯電話使用なんかで、車の方から突っ込んで来ることも結構あるからな。
「そうかも知れません。ですが、それでもアスト様をお守りすることが、わたくしの在り方です」
「そ、そうなんですか。まあ、オールエルの好きにすればいいよ」
なんか、オールエルの迫力に圧されて許可しちゃったな。
大丈夫かな。変なことにならないといいけど。
「それで、アスト様は結局返事はどうなされるのですか?」
「とりあえず、もう少し話みてから決めようと思ってるけど」
「それでは、昼にその二人に会う時に、わたくしも同行させてはいただけませんか?」
「それは構わないけど、どうしてだい?」
「簡単なことです。その二人、ひいてはその二人が所属する組織が、アスト様の害になるかどうか、この目で直接確かめたいのです」
「そ、そうか。それなら、一緒に行こうかオールエル」
「はい!」
「私はどうしようかしら?」
「今回は留守番を頼めるか、メガアルラウネ?」
「私はついて行かなくてもいいの?」
「ああ、とりあえずは君と僕の意思を告げるだけだからね。君が母親と直接会うのは、僕が君の母親に会ってからにした方がいいだろうからね」
「なんでかしら?」
「それは簡単だよ。あの二人が嘘をついているとは思わないけど、ちゃんと確認してから、君と会わせたいからさ」
「そうね。たしかに、ちゃんと見たわけでもないんだから、確かめてからでも悪くはないわね」
「そんなに待たせたりはしないからさ。今回は、この世界で留守番しててよ」
「わかったわ。だけど、確定したらちゃんと教えてよね」
「わかってる。君は、アルトやビットと一緒に連携の構築でもしていてよ」
「そうね。ある意味、母親よりも切実だものね。わかったは、あなたが帰って来た時には、少しは連携が出来るようになっていて見せるわ」
「その意気だよ。さて、それじゃあ一休みしたら、イヤヌアリオスさんとエユエさんに僕の答えを言いに行くとしよう」
「わかりましたアスト様。それでは、昼食の準備に取り掛かります」
そう言って、ビットは家の方に向かって行った。
それからは、みんなビットが昼食の準備をしている間、のんびりとしていた。




