表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廻る世界と星界竜  作者: 中野 翼
44/45

連携の大切さ

「さて、アルト達はっと?」


転移でフィールド1のダンジョンの傍に戻った僕は、周囲を見回してアルト達を探した。


「お!」


そして、アルトやビットは見つけられなかったけど、ダンジョンわきにいたオールエルを見つけた。


「おーいオールエル!」


僕が声をかけると、僕に気がついたオールエルが、空を飛んで僕のもとにやって来た。


「お帰りなさいませアスト様」


「ただいまオールエル。アルト達は、まだダンジョンの中?」


「はい。アルト様達は、今もわたくしが作成したダンジョン内でレベル上げ中です」


「そう。アルト達のレベルはどれくらい上がってる?」


ゲームだと、序盤なら簡単に上がるけど、レベル制だとどうかな?


「ビット兄様が一つ上がった程度で、アルト様もメガアルラウネ姉様も、レベルアップはしていません」


「そうか」


全くレベルが上がってないな。いや、ユニークハイのアルトと、ランクS相当のメガアルラウネのレベルがそう簡単に上がるわけないか。逆に、上がっていたら二人はどれくらい強くなったんだろうな?うん?


「ビット兄様とメガアルラウネ姉様?」


「はい。お二人は、わたくしよりも前に生まれていますから」


「そうか」


ビットはともかく、メガアルラウネもオールエルにとっては、姉になるんだ。ちょっと意外かな?


「そういえばアスト様。遅かったですね、何かありましたか?」


「あ?ああ、少しな」


「アスト様がお戻りになりましたし、アルト様達をダンジョンから呼び戻しましょうか?」


「ああ、頼む」


「では、少々お待ち下さい」そう言って、オールエルは目を閉じて何語か呟いた。


「対象選択・・・完了。対象存在座標確認・・・確定。念話接続開始・・・接続を確認」


その後、オールエルは口を閉ざして動かなくなった。先程の呟きからして、現在アルト達と念話で話ているんだろう。あれ?でもオールエルに、念話のスキルや能力なんか持たせたっけ?


そんなことを考えていると、オールエルの念話が終わったみたいだ。


オールエルは、閉じていた目を開いた。


「アスト様、アルト様達にアスト様が帰って来たことを伝えました。今から戻って来るそうですので、少々お待ち下さい」


「わかった。というかオールエル、一つ聞いてもいい?」


「なんでしょうかアスト様?」


「僕って、オールエルに念話を持たせてたっけ?」


「はい。わたくしは空属性の魔法で念話が可能ですよ」


「空属性。ああ、そういうことか」


そうか、スキルじゃなくて魔法か。魔法は、属性だけで細かく考えてなかったから、出来ても不思議じゃないな。


「どうかなされましたかアスト様?」


「いや、気にしないでいいよオールエル」


「そうですか」


それから30分程経って、ダンジョンからアルト達が出てきた。


「お帰り、みんな」


「ただいま兄貴」


「ただいま戻りましたアスト様」


「今帰ったわアスト」


?三人は、少し元気がない風に見えた。


「初めてのダンジョンはどうだった?」


アルト達の様子が気になったので、とりあえずダンジョンの感想を聞いてみた。


「あ~、ダンジョン内が迷路になっててさ、迷路の中を行ったり来たりを繰り返しながら、出て来る魔物を倒していったな」


「ふーん、楽しかったか?」


まあ、ダンジョンが迷路なのは定番だからな。


「楽しかったというか、為になった感じだな」


「為に?どういうことだ?」

そんなすぐに、為になるような要素がダンジョンにあったっけ?


「連携の大切さが身に染みたよ」


「?」


僕は、アルトが何を言いたいのかよくわからなかった。連携?魔物との戦闘関係で何かあったのか?


「連携って、魔物と戦った時に何か問題でもあったのか?」


「まあ、そのあれだよ兄貴。戦う前に事前に自分の仲間のことを知っておくべきだったっていうかさ」


アルトは、歯切れ悪くそう言った。


「ビットとメガアルラウネがどうかしたのか?」


僕は、視線をアルトからビット達に移した。


「あ~、そのですねアスト様。少々私の力が及ばず、アルト様にご迷惑をおかけしてしまいまして」


ビットは、申し訳なさそうにうなだれながら言った。


「いいえビット、私にも問題があったわ。だから、そんなに落ち込まないで」


メガアルラウネがビットを慰めている。


けど、本当にどうかしたのかな?


「それで、結局のところ何があったんだ?」


僕の質問に、三人は顔を見合わせた。そして、アルトが口を開いた。


「はっきり言っちまうと、連携が上手く出来なくて、戦闘に支障が出たんだよ兄貴」


「それでさっき、連携がどうの言ってたのか。それで、実際のところどんな問題があったんだ?」


これは、これからの為に聞いておかないとな。問題を改善する為には、原因を理解することが大切なんだから。問題を放置しておくと、たいていろくなことにならないし。


「それは私が説明いたしますアスト様」


「頼むよビット」


そうして僕は、アルト達にどんな問題が出たのかを聞いた。


「・・・というわけですアスト様」


「なるほどね」


ビットの話をまとめるとこうだ。


アルト達は、僕が言ったとおり三人でダンジョンに潜って行った。そして、さっきアルトが言っていたとおり、迷路になっていたダンジョン内をただひたすらに進んで行った。その過程で、ダンジョン内を徘徊する魔物と遭遇して、戦闘になった。しかし、アルトとビットはともかく、メガアルラウネとは初対面と言った状態だったにも関わらず、互いの戦い方や能力を教えあっていなかった為、三人がバラバラに行動することになり、結果として、明らかに弱い相手に苦戦することになったそうだ。


具体的には、アルトはいつものノリで敵に突っ込んで行き、敵を双剣で切り伏せようとした。


ビットの方は、そんなアルトをフォローしようとした。


最後にメガアルラウネは、茨による中距離攻撃をした。


が、アルトは敵に突っ込んで行くばかりで、連携なんて考えていなかったらしい。


まあ、それもある意味当然か。


なんせ、普段は僕がそんなアルトのフォローとサポートを行っていたんだから。


さすがわ双子というべきか、僕にはアルトの次の行動が手にとるようにわかるので、アルトはただ突っ込んで行くだけでよかったんだから。


もっとも、今回はそのせいでビットやメガアルラウネが苦労するはめになったようだけど。今度、アルトに連携の仕方でも教えるかな?


とか思いつつ、思考をビットの話のまとめに戻すことにした。


アルトが敵に突っ込み、ビットはフォーク投げで支援したそうだ。


しかし、投げたフォークは後から攻撃して来たメガアルラウネの茨に当たってしまうことが何度かあったそうだ。


逆に、メガアルラウネの茨のせいで、アルトとビットの行動が阻害されることもあり、散々だったらしい。


たしかに、この内容だとアルトが連携が大切だと思うようになるのは、当然だと思った。


また、アルト達が連携の大切さを知ってくれてよかったと思った。


これがダンジョンではなく、実戦の中で起きていたらと思うと、ぞっとする。


「まあ、ダンジョンで連携の大切さがわかったんだから良しとしよう。みんな、そんなに気にしなくてもいいよ。これから、僕達の連携を見つけていけばいいんだから」


僕はそう言って、落ち込んでいるビット達を励ました。


「わかったぜ兄貴」


「これから挽回して見せますアスト様」


「私も頑張るわねアスト」


「うん、そのいきだよみんな」


とりあえずは、立ち直ってくれたみたいだな。


「そういえばアスト様、遅かったですね。何かありましたか?」


立ち直ったビットから、疑問が飛んで来た。


「うん?・・・!あっ!忘れるところだった」


僕は少し考えて、イヤヌアリオスさんとエユエさんのことを思い出した。


「ビットありがとう。重要なことを話忘れるところだった。みんな、みんなに、話ことがあるんだ。ちゃんと聞いておいてくれよ」


そう言って、僕はギルドで会った二人、イヤヌアリオスさんとエユエさんについて四人に話始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ