プレゼント
今回はいつもより長いです。
「おはよう。早く椅子に座ってね」僕が部屋を出ると母さんからそう言われた。テーブルの方を見るともうアルトも父さんも椅子にかけていた。
「アストがアルトよりも遅くに起きて来るのは珍しいな」そう父さんに言われた。アストというのがこの世界での僕の名前だ。向こうでは、黒髪黒瞳だった容姿も夜色の髪に銀色の瞳になっている。弟のアルトは髪の色は同じだけど、瞳の色は金色だ。父さんも髪と瞳の色はアルトと同じだけど、エスト父さんの方が少し瞳の色が濃い。アリア母さんは、髪の色が金色で瞳の色が蒼銀色である。知り合いによると僕は母さんに、アルトは父さんによく似ていると言われる。
「少し夢を見てたら起きるのが遅くなっただけだよ」
「そうか、珍しいから体調でも悪いのかと思ったんだ」そう心配そうに言ってきた。
「親父もそう思うよな」アルトも同意した。
「アスト体調が悪いの?」母さんが心配そうにこちらを見ている。
「大丈夫だよ」僕がそう言うと三人とも安心したみたいだ。
「よかったは、誕生日に寝込んだりしなくて」そう安心したように笑った。こうして見るとやっぱり両親揃って若いと思った。二人共僕らよりも二つ・三つ上にしか見えない。こちらでは、魔力が高いか強いと若い時が長いけど、知らない人が見たら兄弟に見えそうだ。
「そうそう、まだ言ってなかったわね。誕生日おめでとう」嬉しそうに言ってくれた。
「ありがとう母さん」「ありがとう母ちゃん」僕とアルトはそう言った。
「俺からもおめでとう」父さんからもそう言われた。
「「ありがとう」」僕ら二人は揃ってそう言った。
「じゃあそろそろ朝食にしましょう」母さんはそう言ってテーブルの上を指した。
「うん、そうだね」僕はそう言って朝食を食べはじめた。
「今日はこの後街の冒険者ギルドに行くのよね?」
「うん、そこで登録して旅を始めようと思ってるけど」
「そう、じゃああなた誕生日プレゼントを今の内に渡してしまいましょう」
「わかった。二人共腕輪を出してくれないか?」父さんはそう言って僕達の方に手を伸ばした。
「腕輪?腕輪って今しているやつ?」
「ああ、二人が今付けているやつだ」そう言われて僕とアルトは今付けている腕輪を父さんの方に向けた。
「何をするの父さん?」
「腕輪の封印を解くんだよ」そう言って父さんは腕輪の表面を指でなぞった。すると腕輪の色が透明から夜色に変わった。
「これでいいぞ」
「父さん、これでどうなったの?というか封印って何?」
「これでお前達は今まで封印されていたスキルなんかが使えるようになるんだ。それから封印っていうのは、お前達が生まれてきた時から持っていたスキルや身体能力を押さえ込んでいたことだ」
「封印しないと駄目なような感じなの?」僕は、どんなスキルとかなのか気になって聞いてみた。
「ああ、封印する前の赤ん坊の時には、色々やってくれたからな」
「色々?」聞くのが怖かったがやっぱり何をしたか知りたかったので聞いてみた。「まずは、触れてもいないのに物を動かしたり、泣く度に嵐を巻き起こし、はいはいすれば床に穴を開ける。他にも色々やらかしたよなアリア」父さんは信じられないことを言って母さんに話を振った。
「そうねエスト。後は、魔力を撒き散らして爆発とかもしたわね」母さんもそんなことを言っている。とても信じられないことを二人共懐かしそうに話ていた。「なんでヒューマンの僕達にそんなことが出来るのか謎過ぎるんだけど?」僕もアルトもとても信じられずに聞き返していた。
「それも話ておこうか。確かに母さんは、ヒューマンだけど俺の方は違うんだよ」そう父さんは言った。
「「ヒューマンじゃない?」」僕達は揃って父さんに聞き返した。
「ああ、俺の正体は星天竜エステリウスだ」
「星天竜?それって確かユニークハイ(上位固有存在)の一体じゃなかったっけ?」この世界アースターは、創造主を頂点にして創造主に直接仕える三従者。三従者の手で産み出され、この世界の自然秩序を司どる精霊王達と配下の精霊達。その秩序の中で諸種族を産み出した神がみ。最後に産み出された諸種族と、この世界が定期的に産み出す魔物達がいる。この中には入っていないが、ユニークハイとは創造主が直接産み出したこの世界に一体ずつしか存在しない生物の総称である。位置ずけとしては三従者と同格である。今の父さんの言うことが事実なら、確かに赤ん坊でも色々やってしまっていそうだ。
「親父、それって本当なのか?」アルトは、かなり興奮した様子で父さんに詰め寄っていた。
「ああ、事実だ」父さんは断言した。
「けれど父さん、ユニークハイに子供が作れるの?一体しかいないいじょう子供はできないと思ってたんだけど?」僕は疑問を口にした。
「俺も最初は出来ないものだと思っていたんだが、三従者達から今の時期なら作れるって言われて、実際にお前達が生まれたんだよ」
「私も子供は諦めていたから、あなた達二人が生まれた時はとても嬉しかったわ」今の時期っていうのは、僕が転生してきたからかな?この世界の創造主は、リディウスの友人らしいし。それともアルトも生まれているし本当に時期の問題なのかな?分からないけれど話を戻すとしようか。
「結局、封印をといたなら赤ん坊の頃に使っていたスキルとか全部使える様になったの?」
「いいや。今使える様にしたのは身体能力の部分だけだ」
「親父、なんでなんだ?」
「さっきも言ったが、赤ん坊の時でも危険だったんだ、今はどうなっているか分からない。が、これから冒険者になるお前達には必要だと思ったんだ。」
「確かにそうだけど。他のスキルは使えないの?」
「安心しろ。お前達が強くなるごとに、今の自分に見合ったスキルが解放される様にしてある」
「それなら問題ないね」
「俺達からのプレゼント気に入ってくれたか?」
「「うん」」僕達は頷いた。
「そうか、それはよかった」
話てる内に朝食を食べ終わっていた。僕達は、後片付けをして家の前に移動した。
「「二人共行ってきます」」二人で挨拶をして家から歩きはじめた。後ろから両親の「「いってらっしゃい」」と言う声が聞こえた。
世界の序列の設定をかいてみました。