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廻る世界と星界竜  作者: 中野 翼
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次の目的地

僕は、片足を引きずりながらみんなのところに移動した。


「うわあ~、大丈夫か二人共?」


たどり着いた先では、アルトとメガアルラウネの二人がボロボロの状態で倒れていた。


「だ、大丈夫なわけねぇえだろう兄貴!!」


「や、やり過ぎよアスト!」


二人共ボロボロだが、文句を言えるだけの元気があるようだから大丈夫だろう。


「オーイ、オールエル!僕達の方の回復も頼む」


「わかりました」


そう言って、ビットを回復させているのを除いたオールエル達がこちらに移動して来た。


オールエル達は、僕達の傍まで来ると、膝を着き僕達に向かって、両手を向けた。


「それでは早速。<ヒール>」


そして、オールエル達がそう唱えると、オールエル達の両手から暖かな光が僕達に降り注いだ。


僕達の0と1のHPがみるみると増えていき、身体のあちこちにあった傷もどんどん治っていった。


「やっぱり回復魔法があると便利でいいな」


僕は、回復魔法の利便性を確認した。


ゲームでも定番だったけど、回復手段のある無しで物事のリスクがかなり変わってくるからな。現実では特に必要不可欠だ。


ゲームの場合は、ボス戦や持久戦では回復手段の数が勝敗を分けることが多たある。けれど、バランス調整の関係で魔法・アイテム・スキル・アビリティー・装備の効果とかに回数制限や使用制限があるものも少なくない。だから、回復手段は多く持っているにこしたことはない。


だけどこれはゲームの場合だ。現実は、死んだら終わりなのが普通。現実とゲームの回復手段の必要性は秤にかけるまでもなく現実に傾く。


だが、現実であるがゆえに回復関係は難しい。この世界、アースターの魔法はイメージ通りに現実をかき変えるものだ。その為、目に見える傷を治したりは出来るが、目に見えない箇所については、専門知識を持つ医者などしか対応出来ない。それに傷を治せても、治す時にばい菌が入って後から化膿したりすることもある。他にも目などの感覚器の表面を治せても、機能を回復させることは出来ない。その為この世界の回復手段は、通常の医療機関・薬草・スキル等が主になる。一部では異世界らしいアイテムや手段もあるが、それはかなり珍しいものだ。


ゆえに、アースターでの魔物と戦う兵士や冒険者等の死亡率はかなり高い。ゲームみたいな即時回復手段が無いいじょう、当然だけどな。


だけど僕達は、オールエルの存在によってそれが当て嵌まらなくなった。これはかなりのアドバンテージになる。まあ、オールエルがいなくても、時属性の魔法や回復アイテム等を作成してでどうにかなる気もする。けどやっぱり、仲間に回復してもらう方が安心だしな。この辺は、心理的な印象で。


だけど、今度回復アイテムを作成して、アースターで販売してみようかな?やっぱり人が死ぬのは悲しいし、助けられるなら助ける方が倫理的に良いしな。けど漫画や小説だと、こういう世界に干渉する行為はトラブルが発生するフラグなんだよな。ふむ。今度信頼出来る人を捜して、販売させてみるか?いや、確か叔母さんが店を持っていたか?ええと店の場所は、うろ覚えだけどこの国の王都にあるんだったか?昔遊びに行ったことはあるはずだけど、昔過ぎて思い出せないな。せっかく冒険者になったんだし、王都に遊びに行くのもいいかもしれないな。そうしたら、久しぶりにあの子に会えるかな?


僕はあの子、叔母さんの一人娘の従姉妹のことを思い出して、しばらく懐かしい思い出を思い返した。


そこでふと思い出した。叔母さんが父方の親戚であることを。


父さんがユニークハイなんだから、当然父さんの兄弟の叔母さんもユニークハイということになる。


それなら、叔母さんの正体は何かな?僕が小さい頃に話てもらった昔話に出て来たのはたしか、星天竜、火変狐、水渦鯱、風流鷲、地記亀、雷轟虎、樹促桜、氷停狼、光照蛍、闇夢獏、時刻兎、空間鯨、聖祈鹿、邪欲羊、虚無龍、の十五体。他にもいるのかも知れないけれど、僕が覚えている範囲ではこれだけだな。


それにしても、数えてみるとユニークハイって、結構いるんだな。その内、知っている親戚の数は、叔父さんが五人、叔母さんが三人。一応、半分近くのユニークハイには会ったことがあるのか?うん?そういえば、父さんの親戚にはこれだけ会っているのに、母さんの親戚には一度も会ったことがなかったな。母さんに昔聞いた時には、元気にしていると言っていたのに、実際に会う機会はなかったんだよな。だから、僕もアルトも祖父母の顔を知らない。ユニークハイの父さんの親はこの世界の創造主なんだから当然だけど、母さんの方は何で祖父母に会わせてくれなかったんだろう?不思議だ。


脱線したな。今は、叔母さんの正体についてだな。叔母さんの職業は商人だから、叔母さんの正体は、移送関係で推理すると、風流鷲か水渦鯱、あるいは空間鯨辺りが有力かな?まあ、会った時に聞いてみればいいか。


「おおーい兄貴!」


「どうかしたかアルト?」


「いや、兄貴がぼうっとしてたから呼んでみただけ」


「ああ、そう。なあアルト」


「何だよ兄貴?」


「依頼達成の報告をギルドにしたら、王都に行かないか?」


「王都?急にどうしたんだよ兄貴?」


「いや、少し考えたんだけどさ。ユニークハイのスキルを使って、少しやってみたいことが出来たんだ。そのやりたいことを実行する為に、王都にいる叔母さんの手を借りたいんだ。アルトは、王都に行くのは嫌か?」


「別に兄貴が行きたいなら、俺は何処にでもついて行くから気にしなくていいぜ」


「そうか、それなら良かった」


良し!アルトの了承は得た。後は、僕は視線をビット達の方に向けた。


「ビット達も構わないかい?」


「アスト様の望むままに」


「わたくしも同意見です」


「私もそれでかまわないわ」


他の三人も問題なし。


さて、さっさと用事を片付けるとしようかな。

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