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廻る世界と星界竜  作者: 中野 翼
17/45

有用性

僕とビットは坑道をさかのぼり、地上に戻ってきた。

「さてと、どの辺りで実験をしようかな?」僕は適当な場所がないか、周囲を見回した。

「アスト様。それなら私に提案があります」

「提案?」

「はい。アスト様は斬岩カマキリを倒しに行く前に私が言ったことを覚えていらっしゃいますか?」

「ビットが言ったこと?ええと、確かビットが戦えるかどうかの話をしたと思うけど?」そこまで時間は経っていないのに、曖昧な答えしか出てこなかった。

「そうです。その時に、向こう側でもスキルを使用することが出来る方法があると言ったでしょう」「ええと、確かにそんなことを言ってたっけ。でも結局ビットはフォークしか使わなかったから今のいままで、忘れてたよ」

「そうですね。私としても、使わずに終わったのは残念でした。せっかくアスト様にいいところをお見せしたかったのに見てもらえなかったのですから。ですが今お困りのアスト様にとっては役立つことなので、今からお見せします。アスト様、あちらの花畑とアイテムボックスの操作を見ていて下さい」そう言ってビットは、少し離れたところの花畑を指さした。僕は、視線を花畑とアイテムボックスに向けてビットの話に耳を傾けた。

「ではまずは、フィールド作成で適当な大きさのエリアを作成します。そうですね、今回は学校のグランドぐらいの大きさにしましょうか。作成。」アイテムボックス内を確認すると、フィールド2が追加された。

「問題無く作成出来ましたので次にいきます。今度は、今作成したフィールド2を選択します」アイテムボックスのフィールド2が点滅して、いくつかのアイコンが出て来た。


フィールド2

転移

条件設定

展開

設定確認

改装

削除


今までは、転移と条件設定しか見てなかったけど、他にもいくつか項目があった。

「今でてきたアイコンの展開を選択します」


展開

一展開地点指定

一展開範囲指定

一展開形状指定

一展開高さ指定

「次にその中から展開地点指定を選択して、今アスト様が見ている辺りを指定します」

すると、指定された地点を中心に一定の範囲が点滅しだした。

「点滅している場所に問題がなければ、『展開』と唱えます」そうすると、点滅していた範囲が花畑から白いタイルのようなものに変わっていった。あっという間に花畑が消失して、白いエリアが出来上がった。

「なんだこれわ!!」思わず驚きの声を上げてしまった。

「驚かれましたか?これが展開です。作成しているフィールドを任意の場所に実体化させることが出来ます。そして、展開されているフィールドはアスト様のお決めになった理が適応されます。ゆえに、この中はアスト様の影響下として扱われるのです。それゆえに、この中ならば私はクリエイターサポートをぞんぶんに使用出来ます」

「確かにこれはすごいと思うけど、ビットはクリエイターサポートを戦闘中に使うつもりなんだよな?」僕は首を傾げながらビットに聞いた。

「そのとうりです!」

「作成スキルで戦闘中に何をするんだ?」元気よく返事が返ってきただけに、作成スキルで戦闘中に何をするつもりなのかがよけいにわからない。

「ああ、アスト様はあちらのゲームを基準に考えているのですね」

「うん?普通作成といったら、戦闘前に装備をととのえたり、回復薬を準備したりして次の戦闘に備える為にやるものだろう?」

「それは、次の戦闘内容が決まっているゲームの話ですアスト様。こちらでは戦闘中に作成出来ることは、かなり有利なことなのですよ」

「どんな風に?」そう言われてもやっぱりピンとこなかった。

「例えば、現実にはいつでも不測の事態が発生する可能性があります」

「ああ、それはあるだろう」ここ最近でも一角ウサギと落穴モグラとの同時戦闘に、本来ならいるはずのなかった斬岩カマキリとの遭遇。たかが二日程度でも不測の事態は発生しているからこれには心の底から同意した。

「それゆえ素材と魔力さえあれば一瞬で完成品を作成出来るゲームクリエイターとクリエイターサポートの価値は計り知れません」

「そうなのか?」不測の事態と僕達のスキルがどう繋がるのかがやっぱりわからない。

「そうなのですよ。例えば、毒を持つ敵から毒を受けたとします」

「うん」

「ですが手持ちに解毒剤はありません。アスト様ならどうしますか?」

「そりゃあ、スキルで解毒剤を作るけど」

「そうですね。アスト様のスキルならば、戦闘中でも作成出来ますから。けれど、普通は作るのに時間がかかる為戦闘中に作成するなんて難易度が高すぎます」

「確かにそうだろうな」状態異常は厄介だから対策があれば確かに安心だ。

「これが一つ目です。二つ目は、相手に合わせて武器を変えられる点です」

「武器を変える?」

「魔法使いのアスト様はピンとこないかもしれませんがこれは大事です。なぜなら、ダメージを与えられない武器で攻撃するよりもダメージを与えられる武器で攻撃出来る方が戦闘時間が短くなり、それだけ危険が減らせます」

「そうだな、戦闘が長引くとミスをする可能性が増えるものな」

「そして三つ目は、自分にとって有利な状況を、相手にとって不利な状況を作り出せることです」

「有利な状況と不利な状況?」

「そうです。相手が魚ならば陸に上げてしまえばいいし、特定のものが弱点ならばそれを設置すればいい。天敵がいるならばそれを生み出し戦わせればいい。自分の好きなように戦場をいじくり、相手にとって不利な状況にもっていけばいいのです」

「確かに、ここまで聞かされると僕のスキルがどれだけ戦闘に使えるかがわかるな」ここまで聞けばビットが向こうでスキルを使用出来るようにすることがいかに重要かがわかった。ん、待てよ。

「なあビット」

「なんです?」

「スキルの有用性はわかったんだけどさ、フィールドを展開したときに元からあったものはどうなるんだ?」それは結構重要だと思った。

「それなら心配いりません。上書きされた部分は、アイテムボックスの中に収納されますから」

そう言われたのでアイテムボックスの中を確認してみると、花畑というのが追加されていた。

「これってちゃんと元に戻せるのか?」元に戻せないのなら、下手なところでは使えないな。

「それは大丈夫です。展開しているものを戻せば入れ代わりに入っていたものが外に出てきますから」

「それなら安心だな」心からほっとした。

「さて、アスト様に説明も終わったことですし、そろそろ実験に移りましょうか」

「そうだな。今展開している場所でやればいいのか?」

「ええ、条件設定でダメージを0にしていますから爆発しても大丈夫ですよ」

「いやいや、なんで金属が爆発するんだよ」手を左右にふりながらビットにツッコミを入れた。

「アスト様、金属や鉱石が爆発することを想像したことがないとでも?」ビットの口調が断定的だったので、つい昔を振り返ってしまった。そうすると、思い当たるふしがいくつかあった。あっちにいた頃は、魔法とか無かったから中二病的な感じでいろいろと考えた中にそんなのがあった。衝撃を受けると爆発するやつとか、水を吸収して爆発するやつとかいろいろあった。ビットの指摘したことは普通にありそうだった。

「ごめんビット。普通に爆発しそうだった」

「そうでしょう」

「はあ、僕の無意識はいったい何を実装したことやら」自分でも段々不安になってきた。

「それを今から調べるんじゃないですか。きっと有用なのもありますよアスト様。だから元気を出してください」そう言って、ビットは僕をなぐさめてくれた。

「そうだな。とりあえず、全部調べてから使えるかどうかは後で考えよう」僕はビットのなぐさめもあって、前向きにいくことにした。

「そのいきですアスト様。さあまいりましょう」

そうして僕はビットに連れられてフィールド2に入った。

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