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廻る世界と星界竜  作者: 中野 翼
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生まれ落ちた世界

森から帰った次の日。

「兄貴、今日はどうする?」

「依頼を達成するには、一角ウサギを後2匹倒さないといけないから、もう一度森にいくか、昨日スキルを使った後に、少し気になることがあったからそれを調べたいかな」

「それなら今日は、別行動にしないか兄貴」

「別行動?」

「ああ、兄貴は調べたいことがあるんだろ?俺の方もさ、昨日の戦闘で上手く戦えなかったから、今日は今の力でちゃんと剣を振れるように練習したいんだ」

「まあ確かに、戦う度に衝撃波を発生させられたらこっちも困るし、いいんじゃないかな。じゃあ今日は、別行動だな。僕は、宿屋にいるから何かあったら呼んでくれ」

「わかった、俺の方は街の北側の野原にいるから、そっちで何かあったら呼んでくれ」そう言ってアルトは、街の外に出掛けていった。

「さてと、僕の方も始めるか」まずは、昨日気になったアイテムボックスの中身をもう一度確認することにした。

アイテムボックス内

???の鱗(劣化)×500

???の鱗(劣化)×500

星天竜の鱗(劣化)×500

一角ウサギの体(死体)×3

落穴モグラの体(死体)×4


一角ウサギと落穴モグラ達はともかく、???の鱗ってのはなんだろう?父さんの鱗も入っているし、やっぱり僕とアルトの鱗かな?けど、?表示じゃ何の鱗かは確定出来ないからな。劣化とかついているけど、素材にして何か作成してみようかな。さて、何をつくろうかな。今作成出来るのは、キャラクター・モンスター・装備・フィールド・魔法・オブジェクトか。キャラクター・モンスターは、宿屋の中で作るようなものじゃないし、装備は劣化とかついているもので作るのは、不安だしな。残りは、フィールドに魔法それとオブジェクト。他のも似たり寄ったりなんだよな。というか、フィールド作成って実際には何を作るんだろう?せっかくだから調べてみようかな。そう思って、カードを取り出して「開示」と唱えた。


フィールド作成

自分のイメージした異空間を作成可能。異空間の広さは、作成時の魔力量と素材に依存。イメージ出来ない箇所は、条件設定及びライブラリからの転用が可能。

例1冷凍ガスを吐き出す草木が生い茂る森。


例2 酸素濃度が異常に高い山。


例3 呼吸が可能かつ水圧がない深海。


例4 重力が弱く、体格的に飛行不可能なものが飛べる空。


例5 時間の流れ方がバラバラな平原。


例6 砂が生物を補食する砂漠。


例7 死んでも一定時間で蘇生する荒野。


例8 竜の能力が強化される谷。


例9 魔法・スキルが発動しない洞窟。


例10 虫の成長スピードが異常な地底。


例を見るだけでも自由度がおかしかった。というかこれって、フィールドじゃなくて世界を作り出すスキルなんじゃ?けれど、これを使えば実験スペースは確保出来そうだ。モンスターを作成しても置いておくスペースがないと大きなやつとか生息地を選ぶやつとかを作成出来なかったからちょうど良かった。さて、どんな世界を作り出そうか。自由度が高過ぎて逆に迷うんだよな。やっぱり、現実では構築出来なくて、自分が好きなものを取り入れた世界が良いよな。自分が好きなものか、果実・水・竜・星、こんなところかな。竜は、たぶん自分のもう1つの姿がそれだから、ここでは除外して、果実といえば木が必要だな。順番に条件を埋めていくと、果実がなる大樹の周りに湖があり、大樹を中心に星が廻っている世界といったところかな。初めてだから、おかしなことになるかもしれないけれど、とりあえず試してみようか。

「さあ、生まれておいで僕の世界。作成!」そう言って僕は、スキルを発動させた。すると、アイテムボックスにあった???の鱗が400枚と手持ちの魔力の大半が消費されて、アイテムボックスの中にフィールド1というのが増えた。僕は、それを選択して「転移」と唱えた。すると、次の瞬間にはさっき自分がイメージしたとうりの世界に立っていた。最初に見えたのは、様々な果実が実った視界を埋め尽くす程に大きな大樹。下を見れば、色とりどりの花が咲き乱れる大地がかなり遠くまで広がっていた。それと、大樹の根元からはいくつもの川が外側に向けて流れている。そしてそれは、遥か遠くで合流して海を形づくっていた。視界をさらに外側に向けると、そこには先ほど見た花のように様々な色で光り輝いている満天の星空が広がっていた。イメージしたとうりの世界がそこには広がっていた。「ああ、とても綺麗だ」僕は、魔力の大半を消費して倦怠感にさいなまれているのも忘れて、その光景に見入っていた。ここまで広大な世界を自分が作り出したことがとても信じられなかった。けれど、この世界はこうして確かに存在している。それがたまらなく嬉しかった。

「ああ素敵だ。リディウスがくれた力は僕の常識を越えている。会ったらちゃんとお礼を言わないと」そして、しばらくの間感動を噛み締めてようやく目的を思い出した。「素材の力を知る為にしたのに、これだとどれくらいの力があるのかわからないな」鱗は、400枚消費されているけど、その枚数でこれだけのものを作り出した鱗がすごいのか、それともあれだけの枚数で作り出してしまうスキルがすごいのかよくわからない。けれど、どちらにしてもすごいことは確かだよな。スペースを確保を出来たし、他ので試してみたいけど、もう魔力が足りないしな。どうするかな? そうだ!しばらく休んでからアルトの様子を見に行こう。こっちは、とりあえず成果が出たことだし、アルトにもこの世界を見てもらいたいしな。さて、一眠りするか。そして、僕は、そのまま樹の根元で眠りについた。それからしばらくして、目を覚ました。この世界には、太陽がないのに、眠りについた時と同じ様に世界は明るかった。そういえば、この世界の時間の流れがどうなっているのか確認するのを忘れていた。僕は慌てて時間の確認をした。アイテムボックスのこの世界を見てみると、時間は全く進んでいなかった。どうやら、時間の設定は自分でするものらしい。僕は、この世界の条件設定を呼び出して、時の流れ方をアースターと同じにした。視界の中で、停止していた星空がゆっくりと動き始めた。まだまだいろいろと、設定することはあるけれど、今はここまでにして、アルトのところに行くとしよう。「転移」僕は、入った時と同じ様に唱えて、この世界から宿屋に戻った。宿屋に戻って最初にしたことは、窓の外を見て、時間を確かめることだった。日の位置は、スキル発動前と変わっていなかった。こちらでも時間は流れていなかった。僕は、それに安堵した。これで何日も経っていたら、アルトに心配をかけているからな。「さて、アルトは街の北側にいるはずだったな」そう思い出して、僕は宿屋を後にした。

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