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マレビト来たりて  作者: 安積
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第4章

屋台街というのはこの街にある二つの大路に食事時に現れる出店の集団の通称だ。

一応郭城都市であるエグザーダナの南の正門からまっすぐ北に伸びる大路が神宮大路だ。

街のど真ん中にその大路を塞ぐ様に神殿が建ち、大路の北の行き止まりには離宮がある。

門から伸びる、神殿と離宮へ至る大路だから神宮大路とも、神族の宮に至る道だから神宮大路だとも言われているが、どちらにせよ単純なネーミングだ。

もっとも、そう思うのは私には言葉が日本語変換されているように認識されているからかもしれないけれど。

そして神殿を中心に十字を描くように神宮大路と交わり東西に伸びている大路が神殿大路と呼ばれる。

こちらの名前からすると神宮大路も“神”の“宮”に至る“大”きな“路”という意味でつけられた可能性は高い。

で、私が行こうと思った神宮大路の屋台街というのは神殿の南側に日中現れる屋台群で、酒類を置いた店は少ないが、様々な軽食や甘味などを扱う出店が集まっている。

この大路は本当に広くて、日本で言うなら片側4車線くらいで、中央分離帯が公園になっているような道路が一番近いと思う。

神宮大路も道の真ん中は公園のようになっていて、屋台街はそこに店を出し、たくさんおいてある椅子やテーブル、その他いろいろな場所で好きに飲み食いして良いらしい。

昼時から夕方にかけて、勤め人や学生、家事を終えた主婦達、子供達、いろんな人たちが利用している。

花見や祭りの出店が毎日出店しているようなもので、雰囲気的にはファーストフード店とファミレスと駄菓子屋がごちゃ混ぜになっている感じと思ってもらえれば間違いはない。

今までギルドでの仕事の途中で通りがかったことはあったが、立ち寄ったことはなかったので、絶対一度は行って見たかったのだ。

神宮南大路(神殿より南が便宜上そう読ばれている、北は勿論、神宮北大路である)にある屋台街が、所謂"昼の"屋台街であり、日中屋台街といえばここのことである。

それに対し、"夜の"屋台街と呼ばれるものがギルドもある神殿西大路のそれである。

ギルドの周りはギルド職員やギルド員が暮らす寮や月極宿(マンスリーマンション)や更には銭湯が数多くある。

勿論、彼らに自炊派がいないではないが、肉体労働系に従事している一人身の男達が余り料理をしないということに世界の違いはない様で、そういう人たちが仕事帰りや風呂上りに食事に或いは飲みに寄れるよう、日没後に数多くの屋台が出店している。

中には持ち帰りや宿への配達(デリバリー)をやっているところもあるらしく、店の種類は昼のそれに勝るとも劣らない。

ギルド員のお姉さま方御用達の店や夜勤の時にデリバリーを頼む店など色々あるようだ。

私は大抵日没前に神殿へ戻ってしまうので生憎まだ屋台"街"と呼べるほどのものを見たことはないのだが。

エグザーダナには二の郭の本街、つまりは東西の一から三の街のことだが、そこにあるギルド本部意外にも、三の郭(広大な農地を有す、この街の食料庫である)やその外(エグザーダナの街の外である荒涼とした砂漠だ、大概の魔物討伐系の依頼はこちらのものだ)などにもギルド支部が存在する。

そちらにはまだ行ったことがないのだが、やはり夜になるとギルド周辺の雰囲気は似たようなものになると聞いた。

いつかは行ってみたいとは思うが、今はまず昼ご飯である。

一部追記。

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