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マレビト来たりて  作者: 安積
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第3章

英雄は、英雄となる前から偉業を成し遂げていた。

今に伝わるものは、特に知られたものだけでもギルドの設立、製紙技術や輪栽式農法、コークスを用いた高炉による製鉄の普及、教育制度の確立、火薬の発明など多岐にわたる。

まるで狙ったかのように未開化であったこの世界をたった一代で急発展させることになる知識の数々。

私も同類だから分る。

恐らくは自著でカミングアウトしている佐伯氏もまたそうだったのであろう。


類は友を呼ぶというが、オタクはオタクの臭いを嗅ぎ分けるのだ。

一つだけというならばまだしも、こんな普通の生活で必要性など全くない知識を保有しているのは、中世から近現代を専門とした研究者でもなければ特殊な人間だけであろう。

これらの知識が必要とされる状況下は極めて特殊だ。

そんな極めて特殊な状況下として一番に考えられやすい、もしかしたら異世界に行ってしまうことがあるかもしれない、なんてことを本気で脳内シミュレート(またの名を妄想という)してしまうのはオタクと呼ばれる人種だけである。


世界にとって必要な人間を呼び寄せる。

確かに、異世界トリップ、憑依、転生を好むオタクほど好条件な物件はあるまい。


大分話は脱線したが、私が呼んでいた魔法史概論は佐伯氏の著書である。

その中には魔法に関する歴史と合わせて、簡単な、本当に簡単な魔法の概論が載せられていた。

私は見つけてしまったのだ、魔法を使うための条件を。


・魔法は、大人にしか行使できない。


一体どういう制約なのか、子供は魔法を使うことが出来ないのだという。

これは、新手の嫌がらせなのだろうか?


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