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マレビト来たりて  作者: 安積
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第3章 (1)

下手に言葉が通じてしまうために、時折この世界での常識が抜け落ちている事を忘れられてしまう。

これもそんなことの一つだった。




「先生、魔法って誰にでも使えるものなんですか?」


「あれ、言ってなかったっけ?

 ごめん、ごめん、日本人って聞いてたから知ってるものだとばかり思ってたよ。」


「何故、日本人だと知っていると?」


「え、だって、魔法使いの始祖は日本人だよ。」


「……ここでそれが来るか。」


「そんなに難しくないし、魔法史の本貸してあげるから自分で勉強しておいで。

 丁度いいから、それ今週の課題ね。」




そんな会話があったのが数日前のこと。

私は先日の失態から、ギルドでの仕事を週の半分に制限されている。

そしてその余った時間は神殿での勉強に費やす事となった。

最初の1週間で学んだのは必要最低限の知識。

今はそれだけでなく、この世界に関する幅広い知識を広く浅く学んでいる最中だ。

この世界では1ヶ月は4週というのは地球と変わらないが、1週間は6日で曜日というものはない。

一週間の最初の3日はギルドで働き、後半の2日は神殿で勉強、最後の1日は休日という過ごし方をしている。

そのため、出来る仕事は限られてしまっているが、それは仕方のないことだ。

神殿での勉強は時間に余裕のある神官や街で教師を生業にしている人、またハルディアさんのように今は引退した人が教えに来てくれている。

これは私の持ってる知識が誰かと一緒に学ぶには偏りすぎているためで、ある程度出来るようになったら街の学校に通う可能性もあるらしい。

私一人のために色んな人を煩わせるようで気乗りがしなかったのだけれど、実はどの道いずれこういった勉強はすることになっていたらしい。

私がギルドに行ってばかりだったため、延期に継ぐ延期で、その内私がこの世界になれてから、と思っていたところに先日のことがあり、ちょうど良い機会だから、と予定を組まれた。

つい先日まで義務教育を含め16年間の学校生活を送っていた身とすれば、勉強は懐かしい反面、悪夢のような時間でもある。

特に今は自分で何かをする、というよりはとにかく知識を詰め込むような講義ばかりで、さらに課題も出されたりするとその上更に気が滅入る。

しかし、それも数日前までのこと。

"魔法"という如何にも異世界らしい事象は、私にやる気を取り戻させた。

好きこそ物の上手なれ、オタク(軽度、これ重要)だった私にこれ以上の餌はない。

折角の休日も潰す勢いで、部屋に引き籠って魔法史の本を読み薦めた。




……日本人が魔法使いの始祖って、マジな話しだったようだ。

しかもこいつ、絶対オタク(重症)だっっっ!!!!!

新章開始です。


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