第2章
「それはどういう意味ですか?」
そんな話は聞いたことがない。
私に一生を捧げる?
何を馬鹿なことを。
「本当に何も聞いていないのだな。
彼のものはお前に名を捧げ、そしてお前の守護者となった。
どうやらまだお前は正式の了承してはいないようだが、それでもその誓いは有効だ。
あれはこの先お前のためだけに在る。」
「私だけの為……?
理解できませんし、私はそんなもの要りません。
私は、自分で言うのも癪ですが、ただの、地球ですら漸く大人の仲間入りをしたばかりの半人前です。
そんな人間に、どうして人一人の一生なんて背負えます?」
「お前が背負う必要はない。
ただ、あれが我等の前でお前に一生を捧げる誓いを立てた。
それだけの事だ。
現に、あれはお前の言うことを聴かなかったことはないだろう?」
「何事も反対されてばかりいますが。」
「だが、それでも最終的にはお前の言う事を聞いているだろう。」
否定の言葉は出なかった。
そうだ、確かにあの人は何かにつけ反対をしたが、それでも最終的には大抵のことで話を聞いてくれたし、無理なときでも次善案を提案してくれた。
わかってる、彼が私のためにいろいろ心を砕いていた事は言われるまでもなく分っていた事だ。
ただ、それですら私にとっては煩わしかったというだけのことで。
「不思議に思ったことはないか?何故この世界に着たばかりのマレビトを早々にこの国では放り出すのか。」
「6日と言うのは確かに短いですが、それだけあればマレビトは十分対応できる精神構造をしているのでしょう?」
少なくとも私はそう教えられた。
「そのとおりだ。だが、中にはお前のように表面上は取り繕って、内心では周囲に壁を作るものもいる。」
よく分かっているじゃないか。
「そのためにいるのが守護者だ。」
「マレビトは、年に数人単位でこの世界に来ているのでしょう?そのそれぞれに一人守護者がつくと言うんですか?」
そんなのは人的資材の無駄のように思えるのだが。
「言ったろう、何故この国では早々にマレビトを自由にさせるのか、と。他の国では最低でも半年、長い国では数年間は自由になれない。」
「……。」
「この国の方が特殊なんだ、そもそも他の国には常にマレビトがいる。
だからマレビト同士の交流し、様々な事を教えあうのが基本だ。
種族や出身が違えども、同じ境遇と言う事で受け入れやすいのだろうな。」
そんなの、初耳だ。
私もそっちが良かった……。